[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第237回】
悪魔将軍級の輝きと硬度!チタン筐体&ダイヤモンド振動板イヤホン「TFZ No.3 Ti」レビュー
■ベースモデル「No.3」はよりなじみのあるサウンド
おまけと言ってはなんだが、「No.3 Ti」のベースモデルである無印「No.3」も同時にお借りできたので、Tiとの違いを中心にこちらも軽く紹介しておこう。現在の実売価格は税込1万6400円程度。
スペック的な違いはTiのところで紹介したのとちょうど逆になるだけなので、
「ハウジングがチタン合金ではなくクリア樹脂」
「ケーブルが極太8芯銀コートOFCではなくより一般的な太さや構造の銀コートOFC」
となる。
さすがにプレミアム感ではTi筐体に及ばないが、こちらのクリアハウジング+埋め込みステンレスフェイスプレートもなかなかの美しさだ。そして重量が軽い分、着け心地も軽い。
サウンドだが、現代的なクリアネスを感じさせるNo.3「Ti」に対して、こちらはナチュラルというかプレーンというか、声や楽器の音色に素朴な手触りを感じられるサウンドだ。またTiで強烈だったS/N感も、こちらではそこまでではない。
Tiのサウンドを「高級コンデンサーマイクで録音した声のようにクリアな生々しさ」だとしたら、No.3のサウンドは「定番ダイナミックマイクで録音した声のように馴染みのある生々しさ」とでも表現すればよいだろうか。適度なザラつきをまとった音色は、これはこれで悪くない感触だ。またベースやドラムスの重心はTiよりもやや高め。
全体として、現代的なサウンドプロデュースが施された曲にも対応はできるが、シンプルなバンドサウンドなどの方によりフィットする印象だ。
何にしても、Tiの1/3弱の価格でこのサウンド、そしてこの外観の美しさとなれば、こちらもこちらで十分に魅力的。
というかこのNo.3がこのクオリティだからこそ、それをベースにそのポテンシャルをさらに引きだすチタンモデルという企画が持ち上がったのだろう。
■個人的「TFZ最高傑作」!
というわけでTFZ No.3 Ti。TFZ歴代モデルはおおよそ聴いてきたはずの筆者としても、何のエクスキューズもなく「現時点でのTFZ最高到達点」と評したいモデルだ。
同社の持ち味である高域のキレも、ジャギッと荒削りなキレからシャキッとクリア、洗練されたキレに進化。それでいて整いすぎてつまらないという感じにもなっておらず、TFZらしい迫力と現代ハイエンドらしい洗練をバランスよく備えている。
TFZに注目してきたTFZファンに聴いてほしいのはもちろん、これまでのTFZはいまいち好みではなかったという方にもぜひ聴いてみてほしいモデルだ。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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