オーディオの常識を覆すフレンチブランド
「DEVIALETを最も多く売った店」で聴く、その魅力。川又利明氏(ダイナミックオーディオ)×山之内 正対談
■「ここまで音楽だ」と思う瞬間までが音楽
この川又氏の言葉を聴いた山之内氏は、非常に納得したようにうなずく。自身もオーケストラでコントラバスを弾く山之内氏も、この余韻の表現は音楽再生における非常に大事な要素だと話す。
山之内: 「これは楽器をやる人間にとっても音楽を聴く人間にとっても、一番大事なところだと思います。私は音が立体的に聴こえなければ音楽そのものの意味が薄れてくると思っています。例えばヴァイオリンであれば弓を引ききったあとでも、奏者は指揮者がタクトを下ろしてから初めて弓を下げるんです。ピチカートも同じで、弾いた腕をタクトよりも先に下げたら、指揮者に怒られるんです(笑)。
例え音はでていなくても、指揮者が「ここまで音楽だ」と思う瞬間まで演奏家は止まっていなければいけないんですね。そうすることで、音楽そのものに立体感や奥行きが出てくる。この気持ちというのをプツッと切られるのは、リスナーとしても最悪なことだと思います。
だからこそ、いまのお話というのはすごく良く分かるわけです。音楽が鳴っていない部分で聴こえる音は、音楽ではないと思うかもしれませんけど、決してそうではない。そこは少なくとも、ハードウェアを作っている人間が決めることではないんですよ」。
山之内氏はまた、デビアレの大きな魅力の一つに低音の再現力があるとも語る。デビアレに搭載されるアンプは、ADHという名前が示すとおり「アナログ」と「デジタル」が融合したものだが、それがこの低音表現につながっているというのが山之内氏の考え方だ。
山之内: 「アナログとデジタルのハイブリッド。ここが大事ですよね。その良さを具体的にいえば、ひとつは低音。デビアレで聴ける低音のレスポンスは、すごく良いと思います。例えばオルガンと同時に木管楽器や弦楽器が重なってくる曲。オルガンが入るとクラリネットが曇ったりだとか、逆に第一ヴァイオリンが入ってきてオルガンが濁ったりだとか、そういうことがありがちなんです。
でも、デビアレはレスポンスが非常に良いので、そうしたことがなく、聴いていてすごく気持ち良い。これはアナログアンプでもデジタルアンプ、その片方だけでやろうとしても、なかなか出て来ないんです。今日はこの場所で川又さんの選曲による音楽を聴かせていただきました。太鼓もあったし、オルガンもあるなどバリエーションが非常に多かった。そのなかでも共通して “低音が良いな” と思いましたね。アンプというのは物量ではない。デビアレを見るとそう思わざるを得ないですね」
次ページ2つのハイエンドスピーカーだからこそ際立ったデビアレの魅力