[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第245回】
逆襲のポタアン、イヤピ史上異例の行列…『ポタ研2020冬』注目アイテムを“超個人的ランキング”で紹介
【第2位】イヤホン新作の勢い衰えず!
ポータブルの主役はやはりイヤホン。新製品の登場の勢いとその内容は衰えを見せない!まずは、「これ発売されたら普通にヒットだろ」感を漂わせまくっていた一台、finalの参考出展プロトタイプイヤホンから。
同社B seriesおよびA8000系のイヤーモニタースタイルのハウジング形状を継承しつつ、その素材を樹脂に変更。1万円前後の価格帯を狙っているとのことだが……
これ1万円で発売されたらもう約束された勝利だよ!!!
Proto-AとProto-Bを出展。Aは臨場感重視で少し演出を加えたチューニング、Bは素直にフラット&クリアなチューニングとなっており、E-2000/E-3000のようなシリーズ展開も検討しているとのことだ。Proto-Bの印象としては、フラット&クリアすぎることなく、ベースのドライブ感などは軽くプッシュされて音楽の躍動感も楽しめる音と感じた。よい!
さらに印象的だったのは装着感の良好さ!B seriesとA8000は金属筐体で重量がある。しかし耳との接点を3カ所としたハウジング形状が質量をうまく分散支持することで問題ない装着感を確保している。
対して今回のProto-A/Bは軽量な樹脂筐体、ということは…B seriesとA8000の装着感を「重さでのマイナスを三点支持のプラスで相殺してプラマイゼロで問題ない装着感」と表現するならば、このProto-A/Bの装着感は「三点支持のプラスしかない装着感」となっている!超快適!装着感の面からもおすすめできる!
続いて七福神商事ブース。これまでにも参考出品として展示されてはいたSYMPHONIA「VR1」が、今回は国内発売決定モデルとして登場!こちらの特徴は何といっても14.2mmフルレンジダイナミックドライバーの振動板素材が「セラミック」であること!
セラミックドライバーって他にも聞いたことあるし特別にすごいことなの?と思った方もいらっしゃるかもしれない。既存のセラミックドライバーというのは、圧電素子としてセラミックを利用した、いわゆるピエゾトゥイーターのこと。それと他の形式の中低域ドライバーを組み合わせたハイブリッド構成で用いられていたわけだ。
対してこのVR1は、14.2mmという超大口径ダイナミック型ドライバーの振動板をセラミックで形成し、そのドライバーをフルレンジ一発として用いる!つまりすべての音がそのセラミック振動板から生み出されるのだ。
その音というのは、とにかくブレがない。武術の達人の立ち姿や動きの美しさはそのブレのなさにも由来するのかもしれないが、VR1にもそれに通じるものを感じさせられた。なお、セラミック振動板の製造には研究室レベルの設備が必要とのことで、価格は税込27万9,800円とかなり高価。しかしその価格も理解できる話であり、納得できる音だ。
【第1位】逆襲のポタアン!
ポータブルプレーヤー単体の性能が向上しまくり続けたことでそのニーズを減らしてきてしまったアイテム、それがポータブルアンプ。しかし今回のポタ研では、なぜだかポタアンが大豊作!どうしてこうなったのかは分からないが、今もポタアンを好み、それを必要としているユーザーにとっては嬉しい事態なことだろう。
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