外部クロックやD/Aコンバーター接続での拡張性も魅力
長く愛用できること間違いなし。トライオードの“CDプレーヤー集大成”「TRV-CD6SE」を聴く
拡張性の高さが魅力。TRV-CD6SEグレードアップ・プラン
本機の大きな魅力はその拡張性の高さにある。外部のクロック・ジェネレーターを接続できることやHDMI出力などを使用し、他のDACとの組み合わせの音を楽しむことができる。
まず3種類のマスタークロックジェネレーターを試してみよう。再生するCDは、前の記事で紹介したマイルス・デイヴィスの『タイム・アフター・タイム』である。
外部クロックを導入
●MUTEC「MC-3+USB」「REF10」
■10MHzの「REF10」ではスタジオ級の解像度を実現
最初に接続したのは、スタジオで定評のあるMUTECのクロックジェネレーター「MC-3+USB」と10MHzクロック「REF10」の組み合わせ。入力は44.1kHzのワードクロック側である。
半導体出力と真空管出力の音色の違いはほとんど変わらない。大きな変化は、音の立ち上がりがシャープになり、低域が引き締まったことである。従って、トランペットの高域の響きに切れ込みの良さが出る。音の輪郭も明瞭となり、全体的に解像度が増し、弱音の透明度が向上していることが理解できた。
次に10MHzの「REF10」だけを本機に接続してみた。本機は近傍位相ノイズ約−118dBc/Hzというドイツ製のOCXO(恒温槽型発信器)を搭載するだけに、ダイレクトに接続するとダイナミックレンジが拡張され、さらに躍動感に溢れる、音の立ち上がりの良さが体験できた。
音色的にはシャープさが抑えられると同時に、微細な響きの余韻が浮き上がるかのように再現され、実態感のある演奏が体験できる。空間も格段に広がり、ハイエンドと言えるほどの音の透明度が得られた。色付けが少なく、スタジオ並みの解像度を手にしたいと思う読者が好感を持つ音質と言えるであろう。
●スフォルツァート「PMC-03」
■中音域の響きが極めて濃密なスーパー・アナログサウンド
次に、スフォルツァートの10MHz仕様のクロック「PMC-03」を接続した。本機は、近傍位相ノイズが約−110dBc/HzのOCXOを搭載することが特徴である。
まず驚いたことは、マイルスのトランペットの中音域の響きが、濃密といっていいほど色濃い響きになったことで、高域も鮮やかに伸びている印象を受けた。全体的には、中低域の厚みのあるピラミッド型バランスの音質へと変化を遂げたと言えるであろう。
とりわけSRCで5.6MHz DSDに設定し、真空管出力で聴いた音は、個人的にはスーパー・アナログと言いたくなるほどの高密度な音質を体験させてくれた。この音は、真空管ファンやアナログレコード・ファンも納得する音質と言えるであろう。また、サイズ的にも価格的にも納得できる。