長く愛用できること間違いなし。トライオードの“CDプレーヤー集大成”「TRV-CD6SE」を聴く

●エソテリック「G-02X」

■伸び伸びとした開放感を実現。クセのない自然な音質が魅力

次に、エソテリックの10MHz仕様の「G-02X」を接続した。本機は新開発のカスタムOCXOを搭載し周波数精度は±0・001ppm（代表値）を実現。MUTECのREF10とスフォルツァートのPMC-03の中間的な音が特徴である。

なお、10MHzクロックと44.1/48kHz系の1倍から512倍のクロック信号も出力可能だが、本CDプレーヤーとの接続では10MHz出力を使用した。

極めて解像度は高いが、マイルスのトランペットは濃密過ぎず、伸び伸びとした開放感を感じさせる。空間も広く、奥行きもよく再現されるが、音色的にはいちばんクセの少ないナチュラルな音質と言えるであろう。

これら4機種のクロック・ジェネレーターを組み合わせ試聴したが、使用する発信器の種類や搭載する電源により、違った音質を体験できることを、ぜひ理解していただきたい。また、BNCデジタル・ケーブルの線材で音質も変わるが、大切なことは50/75Ωの伝送特性に優れていることである。

一般的には、10MHzクロック入力では50Ωインピーダンスとなっており、44.1kHzなどのワードクロック入力では75Ωとなっている。ちなみに、50Ω仕様ではサエクの「DG-T50」、75Ω仕様では、サエクが取り扱うライト・ハウスの「D-1000」が価格的にも手頃で、伝送特性が優れているので、私自身も愛用している。

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他社製D/Aコンバーターを導入

●PSオーディオ「Gain Cell DAC」

■外部DACとHDMI接続。ハイレゾ級の解像度と倍音

さて、最後に本CDプレーヤーのHDMI出力をPSオーディオの「Gain Cell DAC」に接続し、CDトランスポートとして再生した。スフォルツァートの10MHzクロック「PMC-03」もCDプレーヤーに接続した。

実際に再生して感じることは、PSオーディオのディスクリート構成のGain Cell増幅回路の特徴が生かされ、アナログ的な豊潤な音が体験できたことである。特に、SRCにより、5.6MHz DSDにアップサンプリングした音は、半導体増幅であるのにもかかわらず、真空管に迫る音質を感じさせ、その解像度はまさにハイレゾに迫ると言いたくなるほどで、エッセンシャルな倍音成分も豊富になる。

最後に、総じて言えることは、「TRV-CD6SE」は単なる真空管出力装備のCDプレーヤーではないことである。近年、この価格帯でこのように活用度が高く、アナログに迫る音質を示してくれるCDプレーヤーが発売されたであろうか？　私は本機の機能と音質に、すっかり惚れ込んだ。CD再生が楽しくなるし、明らかに今までのCDの音の枠を超えている。読者もこの操作と音質をぜひ体験して欲しい。

（角田 郁雄）

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＜Specifications＞
●再生可能ディスク：CD-DA形式で記録されたCD、CD-R、CD-RW、MQA-CD●使用真空管：6922（6DJ8／E88CC）×2本●アナログ出力端子：真空管出力＝RCA（出力レベル3.1Vrms）、ソリッドステート出力＝RCA(出力レベル3.1Vrms）、XLRバランス(2番HOT、出力レベル3.1Vrms）●SN比：112dB（XLRバランス）●デジタル出力端子：同軸RCA（44.1kHz／16bit）、光TOS-Link（44.1kHz／16bit）、I2S HDMIジャック（44.1kHz／16bit、352.8kHz／32bit、DSD5.6MHz）●同期信号入力端子：WORD CLOCK端子BNCジャック＝（44.1kHz、11.2MHz、22.6MHz、45.2MHz／矩形波5Vp-p、内部終端75Ω）、10MHz基準信号BNCジャック（10MHz／正弦波0.5 Vp-p、矩形波5Vp-p、内部終端50Ω）●ヘッドフォン端子：6.3mmステレオ標準ジャック（真空管出力、300mW＋300mW・40Ω）●定格消費電力：28W●外形寸法：345W×105H×335Dmm●質量：8.1kg●取り扱い：（株）トライオード

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本記事は季刊・オーディオアクセサリー vol.176からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。