[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第248回】
現代DAPの基準は中華にあり!5万-10万円の“ド真ん中クラス” 中国DAP 3機種の実力チェック!
例えば「バランス駆動の2.5/4.4mm両対応を重視」だとしても、それを満たす製品にバッテリー駆動時間が極端に短いだとか、今時micro B端子だとかの弱点があったり、Bluetooth非搭載!みたいな尖った取捨選択があったら、2.5/4.4mm両対応は満たしていたとしても、ちょっと選びにくいだろう。
しかし、現在のド真ん中クラス中国DAPにそのような手落ちはない!機能もスペックも全部入り!だから何を重視するにしても選びやすい!というわけだ。
表にある中で大きなポイントとなるところを確認しておこう。
先日のアップデートでウォークマン「NW-ZX507」が対応してきた、「ダウンコンバートなしでのハイレゾストリーミング(一律192kHz/32bit出力なのでアプコンになるがダウンではない方式!)」。これには中国各モデルとも、発売時点もしくはウォークマンに先んじてのアップデートで、何らかの形で対応済みだ。
それとも関連するがAndroidアプリのインストールにも、こちらも発売後のアップデートでの対応も込みで、いちばん手軽で安心安全なGoogle Play Storeに全モデルが対応。その他、スマホアプリからのリモート操作、Bluetoothレシーバーとしての動作などにも対応する。
現行世代ウォークマンはプレーヤーとしての純化を重視してそのあたりのワイヤレス機能はあえて削ってきている。対して中国DAPは「全部入り」を重んじる傾向で、メインストリーム機として盛り込めるものは全て盛り込んである。
それらの付加的な機能にも魅力を感じている方や、現時点で使うかはともかく将来的な対応力は確保しておきたい方にとっては、この多機能っぷりは見逃せないポイントとなるだろう。
さて、全体的なポイントや傾向を把握した上で、ここからは各メーカー各モデルのポイントに目を移していこう。
▼HiBy「R6ProAL」
まずはHiBy「R6ProAL」(実売目安6万6000円)。今回ピックアップした中では最もお手頃な価格、かつ最もコンパクトなモデルだ。先行して発売されていた「R6Pro」(税込実売目安9万7000円)の筐体素材を、ステンレスからアルミ合金に変更したモデルであり、大幅なコストダウンと軽量化を実現している。
HiByはハードウェアに加えてソフトウェア開発力も大きな売りとしており、以前のラインナップでは独自開発の「HiBy OS」を主力とし、超高速起動を筆頭とした軽快な操作感が際立っていた。
しかしハイレゾストリーミングや動画コンテンツ対応などを考えてだろう、DAPのメインストリームにおいてはAndroid採用が進んでおり、HyByもこのR6系列などではAndorid採用に踏み切っている。
その面では個性は薄れているが、その土台にあるソフトウェア開発技術は健在。Androidでありつつ、Amazon Music HDへの一早い対応、パラメトリックEQをシステムレベルで実装した「MSEB Tuner」、AndroidのSRCを迂回してビットパーフェクト出力を行う「DTA」技術など、そこかしこで高い開発力が発揮されている。
サイズ感としては、同じく3.5mmシングルエンド+4.4mmバランスの構成であるNW-ZX507のそれに近い。縦長スリムなZX507の方がさらに持ちやすい印象はあるが、こちらも十分な持ちやすさを確保している。
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