早くも人気モデルに
新13インチ MacBook Proレビュー。または私は如何にしてMagic Keyboardを愛するようになったか
バタフライ式キーボードでは、ほかの問題も起こった。異物が侵入したのだろうか、1回しかキーを押していないのに2回押されるという現象が起きた。しかもそれがEnterキーに発生したものだから、Slackなどのチャットツールで、入力の途中で送信される問題が頻発した。
ただし、この不具合はアップルも認めており、無償の修理プログラムが用意されている。実際、修理に出したらすぐに戻ってきた。
このようなできごとを通して、キーボードの方に人間が慣れる、いわば機械が人間を馴致するという、少し不思議な体験をした。
だから今回、新型MacBook ProのMagic Keyboardを使ってみたときの感動と言ったらなかった。最初の1-2分で、タイピングとはこんなにスムーズに行えるものなのか、という静かな感動が湧いてきた。
まるで長年会っていない、かつては親しかった友人とばったり再会したかのような驚き、その後にやってくる懐かしさ、じんわりとした嬉しさ。Magic Keyboardでこの原稿をタイプしながら、今もそういった感覚を受けている。
改めてシザー式キーボードの良さを再確認した次第だが、単に昔の方式が良かった、という単純な話でもない。かつてのMacBook Proのシザー式キーボードと比べても、圧倒的に良く出来ている。
■「カチャカチャ、ターン!」が気持ちよくキマる
まず、キーを押したときの音が静かだ。これまでのバタフライ式キーボードは、わりと高めの周波数帯のタイプ音がチャカチャカと響いていたが、Magic Keyboardでは、同程度の力で打鍵すると、音がほとんど気にならないレベルに抑え込まれている。たとえばビデオ会議をしながら手元でメモを取るといった使い方でも、タイピング音が響いて相手に迷惑をかけることは少なそうだ。
そして本当にびっくりしたのは、Enterキーの打鍵音だけ、わりと大きめ、かつ高めの音になっていたことだ。キーが物理的に大きいのでこういう音になった可能性もあるが、私は意図的なチューニングではないかと感じた。というのは、やや強めに押したときだけEnterキーの打鍵音が大きくなるからだ。多少気を付ければ、常に静かに打つこともできる。
それにしても、このEnterキーのサウンドは快い。いわゆる「カチャカチャ…ターン!」の「ターン!」が、とても気持ちよく響く。文章を打っていると次第に高揚してきて、Enterを思い切り叩きたい衝動に駆られる(周りに迷惑がかかるのでやらないが)。