[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第254回】
AirPods Proの “音・装着性” を徹底強化! 他社製イヤーピース5モデルを着け比べた
それぞれパッケージに含まれる個数が異なるので、価格を比べにくいかと思う。参考までに、様々な要素を無視した単純な割り算で弾き出した1ペア価格は以下の通り。
◇ADV. Eartune:600円程度
◇SOSO.LABO:800円程度
◇Dekoni Bulletz:1,000円程度
◇NOBUNAGA:1,000円程度
◇Sedna XELASTEC:1,340円
ただしフォーム系素材は耐久性の面ではシリコン等に及ばず、適度なタイミングで新品への交換が必要だったりするので、価格だけでは長期的なコストを判断しにくいことは要注意。
なお、以降は各イヤーピースを主に上記の略記で表記していくこととする。君の名前がいくらなんでも長すぎるからだぞ「AZLA SednaEarfit XELASTEC for AirPods Pro」!
■サードパーティ製AirPod Proイヤピはここに注目!
製品を紹介していく前に、AirPods Pro用イヤーピース全般の注目ポイントをさらっと復習・予習しておこう。
1)純正とは異なる素材
サードパーティ製のAirPods Pro用イヤピは、純正品との差別化も意図してか、純正イヤピも採用する一般的なシリコン系素材ではなく、フォーム素材や特殊素材を採用するのがいまのところの主流。シリコンがイヤピ素材として他に劣るわけではないが、純正品にはないメリットを明快に打ち出すという意味では納得のセレクトだ。
2)より幅広いサイズ対応
わかりやすいのはSとMの間の「MS」やMとLの間の「ML」といった中間サイズも提供してくれるSedna XELASTEC。だが純正と同じくS/M/Lのみの展開な製品も、「自分の耳には純正のシリコンLはきつかったけど、フォームのLは素材の柔らかさでソフトにフィットしてくれた!」のように、フィットの幅は広がっていたりする。
3)向上を期待できるのは装着感!静かさ!音!
では、純正イヤピとの素材やサイズなどの違いでどんな要素の向上を期待できるのか?
まずはもちろん「装着感」。装着時の不快感の低減はもちろん、よりしっかりとした固定による落ちにくさも含めて向上を期待できる。
次に「静かさ」。イヤーピースが強く遮音してくれる帯域と、ノイズキャンセリングが強く効いてくれる帯域にはズレがある。「イヤピで中高域の騒音をおおよそ遮断した上で、ノイズキャンセリングで中低域の騒音を打ち消す」ような役割分担になっているのだ。
であるからノイズキャンセリング搭載のAirPods Proでも、最大限の静けさを得るには “最大限にフィットするイヤーピース” が必要。サードパーティのイヤピでそれを確保できれば、純正での現状を上回る静かさを手に入れられる可能性が高い。
そして「音」。まずは単純に、静かさが高まれば細かな音やちょっとした演奏ニュアンスまでが耳に届きやすくなる。オーディオ的に表現すると「S/N(シグナル/ノイズ比)が向上」するわけだ。またイヤーピースのフィットが高まるということは、耳の密閉度が高まるということ。それは一般的には低域の充実につながるとされる要素だ。そこも期待してよいだろう。
そのほか、素材や音を通す部分の形状処理の違いなども音に変化を与える要因となる。好み次第なところもあるので、「向上」と感じられるかは人それぞれになるかと思うが、純正イヤピでの現状の音に不満があるならば、試してみる価値はあるだろう。