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名門TANNOYが現代に伝える“粋”。銘機6モデルのサウンドから音楽再生の根幹を探る
■TANNOYの御家芸、同軸2ウェイユニット搭載機の躍動感溢れるサウンド
続いて、デュアルコンセントリック・ドライバーを搭載したRevolution XTのトップモデルとなる「8F」を試聴する。結論から言ってこのシリーズは、伝統の同軸ドライバーを搭載しながら、スリムなボディと現代的なサウンドバランスを両立したモデルである。点音源性が一層向上されると共により広い指向特性を獲得した同軸ユニット、台形形状キャビネットや、ツインキャビディ結合バスレフシステムの搭載など、設計思想からしても、現代的な考えで作られたものだと伺える。
そのサウンドは、デュアルコンセントリックならではのスピーディーかつ明快で躍動感溢れる音楽表現を、バランス良いプロポーションで楽しませるものだ。スリムなボディからは、予想を遙かに上回る強力な低域再現が、底面にもたらされたバスレフポートによって広がり豊かにもたらされる。
Platinumの直後に聴くと、やはり同軸ドライバーならではの、明瞭な楽器定位、空間表現の利を強く実感させられる。総じて、ブリリアントかつハートフルな、説得力ある音楽表現を堪能させるのだ。なお、このシリーズのより詳細なレビューは、過去記事もご覧頂きたい。
■クラシカルなデザインが印象的なLEGACYシリーズ。低域の迫力に圧倒
シンプルかつクラシカルなデザインが印象的なLEGACYシリーズは、1970年代に発表された人気のHPDシリーズをアップデートして現代に復刻したもの。HPDはハイ・パフォーマンス・デュアルコンセントリックの略で、それまでの同社製同軸ドライバーに比べ、より広帯域かつ低歪み、そして、高耐入力が実現されたものだ。そして、さらに今回の復刻でも、オリジナルのサウンドを大切にしながら、マグネットの強化やエッジの耐久性アップなどがさらに推し進められたという。
トップエンドのARDENを一聴してまず圧倒されるのは、低域の迫力だ。クラシック音楽の録音では、無音時の暗騒音に含まれる超低域成分までが易々と繰り出され、ホール演奏独特の空気感を如実に立ち表わす。まさしくこの領域こそ、コンサートホールの響きを希求するTANNOYの本領なのだろう。シリーズ中で唯一の「ロールラバーエッジ」も、ARDENという名の通りの雄大な森を想起させる、そのリッチな低域感に寄与していると推察した。
サウンドバランスとしては、大きな起伏がもたらされており、ワイドレンジでフラットなエネルギーバランスを持つ現代的なソースよりも、中域や中低域に主要なエネルギーを持つようなアナログ録音期のソースを再生すると、まるで魔法が掛かったかのように音楽が生き生きと歌い出す。
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