EISA審査員・オーディオアクセサリー誌編集長が聴く
もはやクラス超え? マランツ「CD6007」「PM6007」の実力を欧EISAアワード審査員が語る
例えば、上記のCD6006 UK EditionはWHAT HI-FI? アワードの「Product of the year」を3年連続で受賞。さらに遡ってみても、PM6004が同じく「Product of the year」を3年連続で受賞している。
これはWHAT HI-FI? アワードに限った話ではなく、EISAアワードでも同様。2016-2017のアワードをCD6006とPM6006が受賞するなど、こちらでも高く評価されている(余談だが、前年度にはNA8005、翌年度にはSA-10とPM-10が受賞するなど、マランツ製品は毎年様々なジャンルで高い評価を受けている)。
ちなみに、EISAアワードを主催するEISA(アイサ)は、正式名称を「Expert Imaging and Sound Association」といい、1982年に欧州の専門誌によって設立された団体。EISAアワードは、カメラ、ホームシアター、モバイルデバイスなど、ジャンルごとに各国の専門メディアの投票によって選定される賞。そのなかの「ハイファイオーディオ」部門において、小社刊行のオーディオアクセサリー誌も選定に加わっており、前述の伊佐山が編集長を務めているというわけだ。
■スペック面での進化ポイントは?
このように、歴代モデルが高く評価され続けてきた人気シリーズに最新世代機が登場したのだから、期待しないわけにはいかない。まずはその進化ポイントをおさらいしておきたい。
まず、CD6007、PM6007ともにDACを前モデルのシーラスロジック「CS4398」から、上位機にも採用されているAKMの「AK4490EQ」に変更。CD6007は新たにUSB接続でも最大PCM 192kHz/24bit/DSD 5.6MHzのハイレゾファイル再生が可能になった。さらに、フィルター1(スローロールオフ)/フィルター2(シャープロールオフ)の切り替えが可能なデジタルフィルター機能も新たに搭載した。
CD6007では、新採用のDACに合わせた回路の最適化や、アナログ回路用電源への定電流回路を追加するなどして、ノイズレベルを大幅に改善。特に後者は100Hzで約30dBの改善を見せるなど、低周波数帯で大きな効果を見せているという。
またアナログ出力回路は、マランツ独自モジュール「HDAM」を搭載したフルディスクリート仕様。本機のために開発した2,200μFブロックコンデンサーや、MELF型金属被膜抵抗などの新採用パーツを搭載し、左右チャンネルをシンメトリーにレイアウトすることで、チャンネルセパレーションや空間表現力を高めている。
さらにヘッドホン出力も強化しており、「HDAM-SA2」型ディスクリート高速電流バッファーアンプと新開発のハイスルーレートオペアンプを組み合わせたものを搭載。オーディオ回路への影響を最小化するため、ジャックの挿抜で自動的に電源オン/オフが切り替わる機能を採用するほか、最大600Ωのヘッドホンを駆動することを想定し、3段階のゲイン切り替え機能を搭載する。
■B&W「800D3」も鳴らせる駆動力
PM6007は、アンプモジュール「HDAM-SA2」搭載プリアンプ部と「HDAM-SA3」搭載パワーアンプ部を採用しており、構成は前モデルと変わらないが、回路が最適化され、温度変化に伴うアイドリング電流の変動を抑え、動作の安定性が向上している。
※記事初出時、前モデルからHDAMのバージョンが上がった旨の記載をしておりましたが誤りでした。お詫びして訂正いたします。
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