EISA審査員・オーディオアクセサリー誌編集長が聴く
もはやクラス超え? マランツ「CD6007」「PM6007」の実力を欧EISAアワード審査員が語る
また、ともにフルディスクリート構成で、グランドラインに至るまで左右チャンネルをシンメトリーなレイアウトとすることで、サウンドステージの立体感やきめ細やかなディテールの表現力が実現したという。
そして、新たにJFET入力を用いたMM対応フォノイコライザーも搭載。そのほか、デジタル入力回路は周辺へのノイズ輻射を遮断するため専用シールドボックスに封入され、また電源ラインには導電性ポリマーコンデンサを用いることで高周波ノイズを低減。デジタル入力が選択されていないときには電源供給を停止し、アナログ入力の音質に影響を与えない設計となっているという。
さらに電源部には、このクラスのモデルに投入されることはめったにない大型のトロイダルトランスを採用。加えて、パワーアンプ電源回路部に搭載する新開発の12,000μカスタム・ブロックコンデンサーや、ブリッジ回路に搭載するハイスピード・ショットキーバリアダイオード、リード型金属皮膜抵抗・高音質電解コンデンサーなど、カスタムパーツや新採用パーツも多く搭載している。
このように、本来の価格を考えれば信じられないほど贅沢な仕様とこだわりが投入されたPM6007。伊佐山が試聴を行った結果、エントリー価格帯の製品でありながら、B&Wのフラグシップスピーカー「800D3」をキチンと鳴らせていたという。
■「音質的にはひとまわりもふたまわりも大きくなっている」
そんな本機の音質について、伊佐山は「前モデルよりもさらにS/Nが良く、非常にクリアな再現性、あとは躍動感の高さが段違いでした。また、音楽の表現力が飛躍的に上がっている。描写力や実在感が全然違います」と評価する。
加えて、「エネルギー感が高く、低音が沈み込んで帯域も広くなっています」ともコメントし、「空間表現もさらに高まって、音が前に出てくる感じが印象的でした」と語る。
また、クラスに見合わぬほどのこだわりが投入された電源部にも言及。「試聴した印象からも、電源部のノイズ対策が音に表れていると感じました」と言葉を続けた。
そして、「とにかく音質的には、ひとまわりもふたまわりも大きくなっている印象」と、前モデルからの進化の大きさを改めて高く評価。「800D3のような大型スピーカーを鳴らせるのだから、もっと小ぶりなスピーカーは十分に駆動できるでしょう」と語った。
これまでマランツは、6000シリーズを「ベスト・イン・クラス」な製品とアピールすることがあった。だが今回の新モデルはその言葉を超え、もはやクラスに収まらないほどの実力を備えていると言えそうだ。
この記事が掲載されるころには、販売店にも実機が届き始めているのではないかと思われる。オーディオ趣味を始めてみたい入門者層だけでなく、すでにミドルレンジ以上の機器を所有しているオーディオファイルも、ぜひ一度チェックしてみてほしい。