iOS 14/iPadOS 14で利用可能に
革新的な没入感!AirPods Proの新機能「空間オーディオ」を一足先に試した
■Apple TV+のドルビーアトモス対応コンテンツで空間オーディオを体験
トム・ハンクス主演の映画「グレイハウンド」は、ドルビーアトモス音声で収録されている。ストーリーの開始から37分前後、Uボートとの海上戦のシーン。潜水艦を狙って放たれた高射砲が頭上の位置から発射され、海面が激しく水しぶきをあげる迫力たっぷりのシーンに立体サラウンドが加わって、映画の舞台にぐいぐいと引きずり込まれる。
海兵が集まって作戦を伝えるシーンでは、空間オーディオをオンにすると役者のダイアローグと効果音の分離が一段と鮮明になり、手に汗握る劇中の緊迫感が引き立ってきた。再び機能をオフに切り換えてみると音がこもり、平板な音場感がとても居心地悪く感じられてしまった。
同じくドルビーアトモス音声を収録するSFドラマ「SEE〜暗闇の世界」のシーズン1/エピソード1「神炎」では、開始から30分以降のシーン。激しい雨が地面を叩きつける効果音が驚くほどにリアルだ。空間オーディオをオンにすると、高さ、奥行き方向に限界を感じさせないほど豊かな広がりが生まれた。
ダイアローグも前方方向に力強く迫り出してくるようだ。ただサウンドの立体感が増すのではなく、音が心地よく耳に馴染んで体に染みこんでいくような感覚だ。耳をふさいで使うイヤホンで長時間、派手な効果音を収録した映画やドラマを視聴すると、見終わった後にぐったりと疲れてしまうことがある。空間オーディオが使えるiPhone/iPadとAirPods Proの組み合わせなら、モバイル環境で映画などを楽しむ機会がまた一段と増えそうだ。
そしてヘッドトラッキング機能の出来映えの良さに息を呑んだ。iPhoneの画面を正面に固定し、水平360度に顔の向きを変えてみても、正面に定位していたダイアローグが一定の方向を保ったまま聞こえてくる。頭の動きに対するトラッキングの遅延や、体ごと方向転換した場合の誤認識もない。Apple TV+には今のところドラマ系の作品が中心に揃っているが、音楽ライブなどもぜひ体験してみたくなった。