【特別企画】老舗米国ブランドの確かな説得力
キャメロット・テクノロジーがPC-Triple Cを採用、新電源ケーブル「ARTHUR」を聴く
■味わいが濃くなり、演奏全体の強弱が一段と表現される
試聴に当たっては、アキュフェーズのSACDプレーヤー「DP-750」とプリアンプ「C-3900」の純正電源ケーブルを、今回のキャメロット・テクノロジーの2アイテムに交換して音質をチェックすることとした。試聴ソースは、ジェニファー・ウォーンズのSACD「アナザー・タイム、アナザー・プレイス」と、アンドレア・バッティストーニ指揮、東京フィルのCD「ベートーヴェン/交響曲第5番」の2枚。
まずDP-750にARTHUR 5を使用。S/Nが高まり、ジェニファー盤の冒頭のベースのピチカートがよりふくよかになった印象。声の質感は純正ケーブルに比べてややグラマラス。ヴォーカルの音像フォルムが厚くなるのだ。ベートーヴェンでは、弦のハーモニーがいくぶん濃い味わいとなり、フォルテシモの力強さ、打楽器のパワフルさがグッと立ってくる。空間スケールも拡大する印象だ。
同じくDP-750でARTHUR 3にすると、ARTHUR 5に比べてややエネルギーバランスの重心が高くなるが、細部の描写力は高まる方向だ。ジェニファー盤では、伴奏のコンガやドラム等とヴォーカルとの距離感が見えるようになる。ベートーヴェンは、弦と管の合奏がきれいに広がる。スケール感ではARTHUR 5が勝るが、価格差を考えれば上出来といってよい。
C-3900にARTHUR 5、DP-750にARTHUR 3をそれぞれつないで試聴。すっきりとした音場の見通しながらも、コントラスト感がより強く、筆致が力強い印象となった。味わいは濃いが、それがいたずらに尾を引かず、切れがよいのである。
ジェニファー盤では、ハモンドオルガンのアーシーな響きと、サウンドステージの右奥に定位するコンガの音が明快。声にはしっとりとした色艶がほどよく加わった。ベートーヴェンでは安定感と重厚さが高まり、コントラバスや打楽器のパワー感が増強。演奏全体の強弱や陰影が一段とはっきり表現される傾向に変わる。
今日、世界中からさまざまなタイプの電源ケーブルが輸入されているが、老舗ブランドの説得力には確かなものがあると改めて実感できる試聴であった。