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新感覚、空気と骨のハイブリッド伝導。Unique Melody「Mini MEST」のサウンドを体感せよ

公開日 2021/06/01 06:30 草野晃輔
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直接頭の中に音が響く、Mini MESTでしか味わえない音楽体験

今回は中域のサウンドをじっくり確かめたく、DAPとスマホの両方で試聴することにした。まずはAstell&KernのDAP「A&ultima SP1000」にMini MESTを接続し、ハイレゾ音源を聴く。

「A&ultima SP1000」と組み合わせて、まずはハイレゾ音源をじっくり試聴

Unique Melodyは中域の表現力の良さを謳っていたが、想像の遙か上を越えるクオリティだ。密度が濃く粘りのあるサウンドは、立ち上がりに瞬発力がある。クリアな音像がパッと現れ、楽曲のさまざまな表情を立体的に描く。

そして何より驚いたのが、音の定位と距離感だろう。当初は音が頭の中というか、近距離で鳴っているようで違和感を覚えたのだが、聴き進めるにつれ、それが間違いであったことに気づく。

頭内で音がするように感じたのは、ノズルを通して鼓膜に届く気伝導の音と、骨伝導で鼓膜の内側に届く音が重なっているため。自分で発した声が、自分の内側で聴こえる感覚と同じだと分かったのだ。音が複数の経路で聴覚神経に届くためか、カチッとした定位と広大な音場も生み出している。この感覚こそ、新たな音楽体験に他ならない。

TOTOの35周年記念ツアーアルバム『ライヴ・イン・ポーランド 2013』から「アフリカ」を再生する。途端に歓声に包まれ、まるで会場にいるような感覚に陥る。ボーカルもギターもふくよかで、瑞々しい陽性の音色だ。低域はややタイトで締まりがあり、これがグルーヴ感を際立たせる。

さらに面白いのが、骨伝導型ドライバーによるアタック感。振動を感じるわけではないが、ドラムやベースの中域〜やや低域の音の立ち上がりとシンクロして、ズンと音が耳の奥に響く。ライブ会場で音を体が突き抜けていくような心地よさがあるのだ。これも、Mini MESTがもたらす新しい音楽体験といえる。

ジャズもライブ感が素晴らしい。テナーサックスの名手、ハンク・モブレーの「リメンバー」は、艶とハリのある音色が空間を支配する。注目はモダンジャズならではの間が手に取るように感じられること。目を閉じると、ソロ演奏を交代する際に演者がアイコンタクトをしているような気がしてしまう。

クラシックも同様で、カラヤン指揮、ベルリン・フィル演奏の「ワーグナー:楽劇 ローエングリン」では、空間は広大で天井を感じさせない。欲を言えば、高域にもうひと伸び欲しいところだが、中域の表現力がそれを補って余り有る。骨伝導ドライバーがもたらすアタック感が質感を飛躍的に高めており、目を閉じるとホールにいる感覚になるから不思議だ。

続いて、ストリーミング配信音源をiPhone 12 miniでチェックする。3.5mm端子への変換は、アップル純正Lightning -ヘッドフォンジャックアダプターを使った。一聴して、ふだん聴き慣れた音が、大幅に質感アップしていたことに驚く。

聴き慣れたストリーミング配信音源も、Mini MESTで聴くと大きく質感が向上する

Alexandrosの「閃光」では、疾走感が素晴らしい。ドラムとベースの音が瞬時に立ち上がり、中域の芯のある音を太い筆致でもたつくことなく描く。圧巻はギターで、ディストーションの効いた分厚い音が、直接頭の中に迫ってくる。

AimerとVaundyのコラボ曲「地球儀」は、サビでの二人の声の重なりが迫力十分。ソロパートでは、Aimerの透明感あるハスキーがかった声とVaundyの優しくも荒々しさのある声がそれぞれ、普通のイヤホン然とした距離感で聴こえる。これが、サビで二人の声が重なった途端、二人の声が耳の奥にもグッと届き、頭いっぱいに音が広がる感覚に陥る。

音のアタック感が強い打ち込み系の曲とは相性抜群。YOASOBIの「怪物」では、イントロのベース音がぐいぐい耳の奥に迫ってくる。これが、ボーカルを一層際立たせ、サウンドの奥行を感じさせる。サビではリズムパートのアタック感がいっそう強くなり、重々しくもリズムカルに曲を引っ張る。埋もれていた曲の表情を引き出し、これまで聴いていた曲のイメージをいい意味でガラッと変えてくれた。



骨伝導と聴くと、オープンエアなイヤホンやヘッドセットをイメージするかもしれないが、Mini MESTはこれらとは全くコンセプトが異なる本格的なリスニングイヤホンだ。しかも、この骨伝導と空気伝導による音のハイブリッドが、一般的なイヤホンとは違った音楽体験をもたらしてくれる。これは、リスニング体験をいっそう楽しくするものであり、近い将来、この骨伝導を組み合わせたイヤホンがもっと増えるような気がしてならない。そんな可能性を感じさせる製品だ。

もし本稿をここまで読んでも、本機を色モノイヤホンと誤解している人がいるなら、ぜひとも本機のサウンドを試して欲しい。それが間違いだったとすぐに分かるはずだ。

(協力:ミックスウェーブ)

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