PR【PR】ブックシェルフ/フロア型を徹底試聴
新しいリスニング様式に応えるスピーカー、ELAC「Uni-Fi Referenceシリーズ」の実力に迫る
筐体設計に表れるELACのこだわり
ここまでUni-Fi Referenceのディテールを見てきたが、もう一点触れておきたいのがエンクロージャー部の構造だろう。トップとサイドパネルの接合部が少しラウンドしており、塩ビの外装シートで覆われていて外からわかりにくいが、結合部は接着でなく「ほぞ」で組んで強度を上げている。この設計をELACは「フル・ペリメーター・ブレース」と命名している。
また、フロアスタンディング型は背面にポート2発を開口しているが、一般的なバスレフ形式ではない。ブックシェルフ型もフロア型もウーファー下部のベースの部分が厚くなっているのだ。内部で底板へ縦に円筒状の孔を開け、そこから貫通させたダクトをフロント・バッフル下部にあるフレア型ポートで水平に広げ、低域成分をベースの前面から出す凝った縦穴/横穴構造「デュアル・フレア・スロットポート」である。共振の少ない厚みのある板材で低重心になる副次効果も得られる。Debut Referenceで初めて取り入れた工法によるものとなっている。
上記構成からも多分に見て取れるように、新しいリスニング様式を視野においたのがUni-Fi Referenceシリーズである。それでは、ハイレゾからアナログまで様々な音源を用いてその実力に迫ってみたい。
UBR62:サイズ感を忘れる描写豊かな音を再生
ブックシェルフ型UBR62を抱えてみるとサイズからの想像を裏切ってずっしり重い。エンクロージャーに精密感があり、端子はバイワイヤ対応。この価格帯でありながら手の込んだスピーカーであるという印象を受けた。
一聴してそのプレゼンスを表すなら、鮮度感とダイレクティビティ豊かな力強く明るい音色で朗々と歌うスピーカーだ。優秀録音だが硬い質感になりやすいキャロル・キッド「オール・マイ・トゥモローズ」(FLAC:192kHz/24bit)を再生してみると、ソットヴォーチェからフォルテッシモまでしなやかに聴かせる。バスレフエンクロージャーの擦過音が抑えられSNに優れ、弱音と余韻が美しい。
ビル・エヴァンス・トリオ「ワルツ・フォー・デビー」(FLAC:96kHz/24bit)は、スコット・ラファロのベースのピチカートの解像感、質感が高く、胴鳴りに濁りがなく引き締まって音程が安定。響きが美しく生動感豊かだ。音がしっかり前に出て描写が克明で曇り、甘さがなく、響きにむらがない。指使いが見える。ベースソロで朗々と歌う。小さいスピーカーなのに音程が下がっていっても描写が甘くならない。
CD音源ではアンナ・ネトレプコの「闇に抱かれ」を再生。歌と背後にひろがるオケとの対比が美しい。ソリストが凜と浮かび上がるように音場に屹立し力強く歌い上げる。同軸ユニットのミッドとハイ、ウーファーのクロスオーバーの設定とつながりが優れていることがわかる。ウーファーの形状の工夫も音場の形成に役立っている。
LPについても大変素性が良く、カラブリア・フォーティ「プレリュード・トゥ・ア・キス」は、活き活きとしたアナログサウンドを聴かせる。歌声が近い。再生帯域が広くエンクロージャーに起因する雑音や遅れがなく、レスポンスが高く晴れやかに歌い上げる。アナログならではの倍音が豊かで色彩感に溢れ、小振りなスピーカーから大らかな音楽が生まれる。