PR【PR】ブックシェルフ/フロア型を徹底試聴
新しいリスニング様式に応えるスピーカー、ELAC「Uni-Fi Referenceシリーズ」の実力に迫る
UFR52:音場再現力に長けたパフォーマンスを発揮
続けてフロアスタンディング型のUFR52を聴いてみよう。ウーファーの口径がブックシェルフタイプのUBR62の165mmに対し130mm。型番に付く5は5インチバスドライバー搭載を示し、同シリーズのセンタースピーカー「UCR52」はこのバスドライバーを採用している。バスドライバー3発がスタガーでなくパラレル駆動で同じ帯域を受け持つ3ウェイ5スピーカーである。
フォーティのレコードは低域の豊かな支えが加わり音楽の表情も一変。深々とした奥行きが特徴の録音だが、どっしりしたバランスの広大な音場に変わり、歌声がしなやかに息づく。ブックシェルフUBR62の声の地肌をクローズアップする表現から生身の歌手が全身を使って歌声を響かせる等身大の表現へと変化。
UFR52で最も印象的だったのが、諏訪内晶子「J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ」(SACDハイブリッド)。スペインの教会での録音で音像が拡散しやすい難関ソフトなのだが、ここでは背後に深い音場を従えすっくと立つ一丁のヴァイオリンが複数の内声部が寄り添い収束して進行するポリフォニーを奏でている。ウーファーからはほとんど聴感上の出音はないが、3発をパラで駆動する設計が適切で位相ずれがなく、優れた設計のエンクロージャーを通じ音像の彫琢の支えになっていることがわかる。
もう一枚のCDが三浦一馬presents東京グランドソロイスツ「ブエノスアイレス午前零時 」。総勢17人の奏者によるピアソラナンバーのオーケストラ演奏。この日まで理に落ちて洗練され清潔過ぎる演奏に違和感を抱いていたが、UFR52で聴き直して、十数人の奏者の奏でる楽器の多彩な音色がステージ上にひしめき合う坩堝感から演奏の真意が伝わってきた。
情念のアルゼンチンタンゴ、から抜出しピアソラの原曲に潜む編曲上の可能性をクローズアップしたことが分かる。CDの楽音を色付きなくありのままに伝えるUFR52のフラットなバランスとエンクロージャーの音場再現力がそれに気付かせた。
この2つのスピーカーシステムは形式とサイズを異にするだけではない。フロアスタンディング型UFR52とブックシェルフ型UBR62は、異なった表現の個性を持つスピーカーシステムである。この日聴いたコンテンツでも、演奏を間近で聴くダイレクティビティや克明さが肝要なボーカルソースでUBR62が威力を発揮した。
一方、ステージサイトの臨場感や等身大のスケールが求められるソースは、エンクロージャーと低音の土台の余裕のあるUFR52の好適性が聴き手を引き込ませた。両者の持ち味は実際に耳にして確かめてほしい。
ELAC Uni-Fi Referenceの2つのスピーカーシステムは、新しいリスニング様式の時代にあって、多様になっていく音楽コンテンツとリスナーの音の好みを両手で受け止めている。さすがはアンドリュー・ジョーンズ、素晴しい仕事を残した。
(企画協力:ユキム)