PR評論家・高橋敦がレビュー
B&Wのヘッドホンが「著しく進化」。注目機「Px7 S2」実力チェック!
その設計は初代から採用されているが、初代ではハウジング内のスペースの関係から、その設置角度はベスト角度よりやや小さな角度にとどまっていたという。しかしハウジング内部形状の見直しによってPX7の12°からS2では15.4°への角度アップを達成。フォーカス感や空間描写のさらなる向上を得ている。
この点、メーカーはさらっと「ハウジング内部形状の見直しによって」と表現しているが実際には、ハウジング形状の変更など、全体的な最適化によって達成されたものと思われる。新型ドライバーの開発などもあってこそ実現した角度アップだろう。
12°から15.4°。その3.4°にはそこまでするほどの価値、音の向上をもたらす大きな意義があると開発陣は踏んだわけだ。
音質を大きく進化させつつノイズキャンセル性能も必要十分
ノイズキャンセリングはPX7のシステムをベースに改良を加えたもの。外音パススルー機能も当然備えている。
試してみての印象としては「ノイキャンヘッドホン全体の中で特別に強力なノイキャン性能というわけではないが、不満を感じることはない十分な性能を確保」というところ。初代PX7のノイキャン性能もやはり十分だったので、そこからジャンプアップを遂げたというほどではない。
となると今回のノイキャン周りの改良は、ノイズ低減性能の向上よりも、再生音質への影響を抑えることに重きを置いたものか。実際に後述のように、音の方の進化は明確だ。
なおそのノイキャン/外音取り込みも含めて、操作系はタッチではなく物理ボタンとなっており、慣れれば手探りでも確実性の高い操作が可能だ。
また、スマートフォンアプリ「Bowers & Wilkins Music」でも各種操作や設定が可能。ノイキャン/外音取り込みの切り替えだけでなく、イコライザーによるサウンドの微調整やバッテリー残量の確認などを行えるほか、音声アシスタント機能も利用できる。
通話性能や有線接続など使い勝手にもしっかり配慮
現在のニーズに対応し、通話性能向上にも力が入れられている。マイクの配置と角度の変更で集音精度を向上し風切り音を抑制。その上でノイズ低減アルゴリズムも強化。
細かなところでは、初代PX7には用意されていたアナログ有線接続用3.5mm端子は廃止。代わりに充電 & DAC接続用USB-C端子につなぐUSB-C/3.5mmアナログ変換ケーブルが付属し、アナログ接続自体には引き続き対応する。
なおUSB-DAC接続時のスペックは48kHz/24bit。あくまでもワイヤレス接続がメインで、aptX Adaptiveの48kHz/24bitに最適化した設計となっているためだろう。とはいえもちろん、同じ48kHz/24bitでもUSB接続時のそれはロスレス伝送なので音質面の優位はある。
Bluetoothのバージョンは最新の5.2。現時点で特にアナウンスはないが、5.2対応を前提とした機能や仕様へのアップデート対応も期待したいところだ。
音質レビュー:「空間表現が際立って素晴らしい」
ではサウンド・インプレッション。対応スマホとのaptX Adaptive接続にて、Apple Musicのハイレゾロスレス配信楽曲を中心に試聴した。