デバイスが進化したらさらにすごそう
無料公開中の「FANZA 8K VR動画」をマジメにレビューした
今回の8K VR動画を楽しむ上での、細かな使い勝手にも触れておきたい。
まず、当初気になっていたストリーミング再生時の画質や操作性は、とても安定していた。映像が乱れることはなかったし、早送り・早戻し時のバッファー速度も、通常のHQ作品より少し時間はかかるものの、それほど長く待たされる感覚はなかった。
映像のサイズ(視聴者側から見たときの、カメラから画面の遠さ)は、アプリの「ズーム設定」から調整可能だ。-6.25から+6.25まで、0.05刻みで調整できるので、何のとはあえて言わないが、自分のポジションに合わせて調整すれば、リアリティがさらに高まる。
色調整機能はもう少し頑張って欲しいポイント
一方で色調整については、率直に言うと物足りない。こちらについても、色調を-1.00から+1.00までの0.05刻みで細かく変えられるのだが、変わるのは全体的な色調にとどまる。
たとえば今回のコンテンツの場合、視聴し始めてすぐに、唇の色と舌の色がまったく同じに見えるのは妙だと気づいたが、調整したいと思っても、そもそも調整する機能がない。肌色も少し違和感があったが、調整できない。
人間の視覚は肌色に敏感と言われる。こういったコンテンツに限らず、肌色が少しでも不自然だと、没入感が削がれてしまう。テレビ並みとは言わないまでも、もう少し細かな色調整ができると嬉しい。
また、Meta Quest 2の価格を考えると仕方ないことだが、フォーカスがビタッと合うのが中央部のかなりシビアな一点のみで、装着位置をミリ単位で調整しなければならない。コンテンツではなくデバイスのレンズの問題ではあるが、高解像度な映像を楽しむ上で、次期モデルなどではさらなる高性能化を期待したい。
そして余談だが、このDMMアプリ、プライバシー機能も改善の余地があると感じた。具体的には、パスコードロックを取り入れて欲しい。ほかのアプリのようにパスワードを記憶して自動ログイン設定しておくと、他の人がそのデバイスを使ったとき、大惨事につながりかねない。一方で、毎回複雑なパスワードを入力するのは面倒だ。4-6桁程度の数字などで簡易的なロックを掛けられるようにしてもらえると、とても助かるという方は多いのではないか。
言い訳ばかり長く、実質的な内容が少ないレビューとなってしまったが、実際に体験してみたら、8K VR動画の素晴らしさに感動してしまった。昔に比べかなり画質が良くなったと思っていたHQ VR動画も、8K VR動画の前ではかすんでしまう。
8K VR動画を増やすには、機材のリプレース、撮影時のさまざまな準備、そして配信時のサーバーや回線の負担増など、諸々課題がありそうだ。だがそういった課題を乗り越える価値は十分にあると感じた。今後はこれが当たり前になってほしいし、さらに進化してほしいと強く願っている。