PR上位モデルのノウハウで進化
デノンから新世代の増幅回路搭載プリメイン「PMA-1700NE」が登場。上位モデルとサウンド徹底比較
■色付けは抑えてワイドレンジ。リアルな演奏が空間描写する
音質で特に判断しやすいポイントは、RCAライン入力による音の違いだ。聴感上のS/N、空間描写性、力感など把握しやすい。プレーヤーにアキュフェーズ「DP-750」を組み合わせて、まずはPMA-2500NEを再生したが、わずかに暖色傾向の中低域に厚みのあるスケールの大きな音で、音の鮮度の高さや解像度の高さにも十分満足できる。同社は、空間描写性を重視しているが、女性ヴォーカル曲を再生すると、ステージ一面にリアルな演奏の様が現れる。
一方、本機では色付けが抑えられ、ワイドレンジかつフラット・レスポンスの広帯域再生となる。これは明らかに、増幅回路の段数を減らし増幅回路の最短化が図られた効果と言える。空間の幅や奥行きも拡張され、ベールを1枚も2枚も剥いだようなリアルな演奏が空間描写された。
左右の干渉の無い最新電子ボリュームの効果も絶大。搭載増幅回路と相まって、チャンネルセパレーションを向上させている。小音量時でもギャングエラーが無く、空間描写性を損なわない。
音の立ち上がりは、PMA-2500NEは良い意味でのゆったり感がある。一方、本機では2段構成の出力段により、S/Nが向上し、スルーレートを一気に高めた俊敏な立ち上がりだ。しかし、決して刺激感のある音色ではなく、独特の落ち着きのあるナチュラル・トーンが背景にある。したがって、USB-DACの信号がダイレクトにパワーアンプに伝送された感覚になり、96kHz/24bitのハイレゾでも、圧倒的な音楽のリアリティを実現し、DSDファイルでは、繊細さや柔らかみのある、アナログ的な音質を存分に堪能させてくれた。
この機能と搭載回路、そして音質的にも、私は本機の方が好ましかった。今後、同社を支える主力モデルとしてはもちろん、プリメインアンプのスター的存在となることであろう。ぜひ一度、試聴されたい。
PMA-1700NEは、PMA-1600NEの後継機で弊社最新のプリメインアンプとなります。前身となる2500/1600は共にデノンのHI-FIオーディオの中でも歴代ベストセラーを続ける中核ラインナップですが、当然ながらこの2つはグレード差は別として、若干のニュアンスの違いというものも存在するかと思います。
ゆったりして懐が広くスケール感のある2500に対し、その1年後に開発した1600は物量的には少しコンパクトですがシャープな切れ込みやヴェールの少ない見通しの良さなど上位に決して劣らないものと思います。
今回はその1600をリファインした訳ですが、持ち前の良さをさらにブラッシュアップすることによりクラスを越えた表現力を得ることは青写真として持っていましたので、そこをターゲットに音質チューンを繰り返しました。
上位機種であるPMA-A110のアーキテクチャーを採用したことにより、ボリューム周りを始め当時得られた様々なノウハウも少し進化させることができました。SX1 limitedで開発したカスタムパーツを多く投入できたことも微小領域の描写性など完成度の高い表現力に寄与しています。
HI-FIオーディオの中では比較的新しいソースといえるUSB-DACは1600より搭載していましたが、USB DAC部のGNDと他の回路を分離するなど、2世代目となりデジタル部の音質チューンもアナログ系以上に進化したポイントです。さらにアナログ再生(MC/MM)についても試聴を重ね、より掘り下げることができたと思っています。
(協力:ディーアンドエムホールディングス)
本記事はオーディオアクセサリー186号所収記事を転載したものです。