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PR通常モデルのR200と比較

50年変わらぬ“手頃なスピーカー”への姿勢。Polk Audioの限定モデル「R200AE」を聴いた

公開日 2022/11/18 06:30 山之内 正
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クラスを超えたサウンドでリアルに描き出す



ここで具体的な音の違いに注目してみよう。R200はサイズの制約を感じさせない安定したバランスのスピーカーで、低音のリズムと中高域の旋律をどちらも鮮明に描き出す。女性ヴォーカルとベースのデュオ「ムジカ・ヌーダ」を聴くと、そのバランスの良さが実感できるし、ベースは豊かな量感を引き出し伸びやかだ。低音が過剰にふくらまず緩みもないのは、Xポートが余分な共振や風切り音を効果的に吸収しているためだろう。低音が過剰なスピーカーだと歌の表情がくもってしまうのだが、R200はその心配がない。

R200AE

同じ曲をR200AEで聴くと、ベースの一音一音の立ち上がりが明瞭で、小さめの音量で聴いてもリズムの形が曖昧にならない良さがある。声の発音もR200に比べてさらに明瞭で、アンプのボリューム位置が同じでも、少しだけR200AEの方が音が大きく感じるほどだ。

R200とR200AEで聴く室内楽は、ヴァイオリンの瑞々しい音色とピアノの澄んだ響きを素直に引き出し、演奏が前に進んでいく推進力の強さにも感心させられる。大きめの音量で聴いても高音がきつめに感じることがないし、ヴァイオリンが強めのアクセントで弾いても立ち上がりがつぶれる様子もない。

R200AEでは、さらに明瞭度が高まっている

この聴きやすさは2つのスピーカーに共通する長所だが、じっくり聴き比べるとR200AEの方が音がほぐれていて、ヴァイオリンとピアノがフォルティッシモで重なって音数が増えるフレーズでも、響きが混濁しにくい。とはいえR200も音が絡まるようなことはなく、ピアノの左手は切れの良いリズムを刻んで軽やかなテンポで演奏が進む。

ピアノのクリアな動きは、ビル・エヴァンストリオの1969年の録音「ビハインド・ザ・ダイクス」でも聴き取ることができた。50年以上前の録音であることを忘れさせるほど一音一音のタッチが鮮明で音色にくすみがなく、高音は明るく澄んだ音を奏でる。ピアノと同じようにシンバルやスネアも発音が濁らず、緩みのないテンションをキープし、切れの良い音で演奏をサポートする。主役のように自在に動き回るベースのソロは、R200AEの方がウッディな感触をリアルに伝えるが、一方のR200もピチカートの粒が揃っていて、十分に気持ちの良いサウンドだ。

ベースとなるR200のレベルも高い

響きの良いホールで録音された金管アンサンブル「アークブラス」では、トロンボーンの柔らかい和音とトランペットの抜けの良い音がバランスよくブレンドして、演奏のうまさと忠実度の高い録音の特長がストレートに伝わってきた。特にトランペットは鋭さが強調されるときつい音になりがちな楽器なのだが、優れた奏者なら音色をコントロールした柔らかい音と鳴らし分けて、表情豊かによく歌う。

R200AEはこの録音の特長であるホールの豊かな残響がスピーカーの外側にまで大きく広がり、ステージの奥行きに深みがある。R200で同じCDを聴くと余韻の広がりは少しだけコンパクトになるものの、ステージ上に並ぶ楽器の位置関係を正確に再現し、3次元の立体的な描写力はどちらのスピーカーもレベルが高い。



R200AEもR200も、どちらも手頃かつ完成度の高いスピーカーだ

記念モデルは、かなりの高額になることが少なくない。しかしPolk Audioは、あえて入手しやすいレンジにR200AEを投入してきた。もちろんベースモデルのR200に比べると価格は高めだが、内容を考えれば納得のいく範囲に収まっている。

そして、バランス良く音を追い込むことについては、Polk Audioらしく、ベースモデルと記念モデルどちらも妥協はしていない。手頃なスピーカーを真面目に作る姿勢は、50年経っても変わっていないのだ。

(提供:ディーアンドエムホールディングス)

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