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“挿すだけ”仮想アース「Crystal Ep」はヘッドホン&カーオーディオ環境でも効果的!クオリティアップを専門家がチェック
昨今オーディオ界隈で大注目のアクセサリー、「仮想アース」。なかでも光城精工(KOJO TECHNOLOGY)のスティック型仮想アース「Crystal Ep」は、小型サイズでさまざまな環境で使えることもあって、各方面から視線を集めるアイテムとなっている。以前にも「ピュアオーディオ」&「ビジュアル」環境における音質改善のポイントは解説しているが、ここではさらにヘッドホン再生を野村ケンジ氏、カーオーディオについては土方久明氏が音質変化のポイントを徹底チェックする。
ここ数年、ホームオーディオの世界で「仮想アース」が注目アイテムとなっているのは皆さんもご承知のことと思う。実際、効果的なアースは音質にも少なからぬ影響を与えるのは確か。しかしながら、確実な効果を狙うためにはオーディオ機器用の壁コンセントに専用アースを新設するのがよかったり、アースの距離は短い方が理想的だったり、設置にもいろいろとノウハウがあるようで、単にアース棒を地面に差し込めばよいというわけでもなく、かなりの難問となっていたりもする。
そんな面倒を一気にクリアしてくれる仮想アースは、その手軽さ、効果の分かりやすさもあって、現在は高い注目を集めるオーディオアクセサリー製品となっている。
もともと、KOJO TECHNOLOGYは「Crystal E」というホームオーディオ向けの仮想アース製品を販売している。こちら、幅80×高さ35×奥行き111mmという小型の金属ボックスの中に銅や黄銅をメインとした金属板をレイヤー構造で配置することで、仮想アース効果を実現。オーディオ機器への接続で、装置フレームのGNDや内部回路GNDの導体表面積を拡大、強化を主な目的としており、アースケーブルにYラグ-YラグとYラグ-RCAタイプが各1本付属する。
いっぽう、今回取り上げる「Crystal Ep」は同じ仮想アースながら、直径12×長さ57.5mmという小型のモデルで、RCA端子や3.5mm端子、スピーカー端子に接続するバリエーションが用意されている。各端子に挿すだけで活用できるという、とても手軽な製品となっているのが特徴だ。そのうち3.5mm端子の「Crystal EpT3」が、ポータブルオーディオでも活用できるとの話を聞いたので、今回、いろいろと試してみることにした。
ということで(ずいぶんと前置きが長くなってしまったが)、まずはCrystal Epの特徴について紹介していこう。簡単に言えば円筒形ボディの内部にコンデンサを配置して仮想アースを実現したもので、基本構成は比較的オーソドックスなものといえる。
しかしながら、このコンデンサ部分が特殊で、その内部には帯状に加工され、かつ導体表面が特殊エッチング処理された高純度アルミニウム箔が採用されており、海綿質構造に似た空洞が無数に形成されることで実質11,000cm2(110cm×100cm)の有効面積を確保。これによって、このサイズからは望外といえるアース効果を実現しているという。
また、Crystal Epは端子、本体、キャップの3ピース構造となっていて、2本を連結するなどの拡張性を持ち合わせている。
このように、説明からは効果に関しても使い勝手についてもずいぶんな入れ込みようというか強いこだわりが垣間見られる。実際の製品を見ても、端子部分に良質そうな金メッキが施されていたり、本体も細かい梨地処理やメッキが施されていたりと、丁寧な造りとなっているためポータプルDAP(デジタルオーディオプレーヤー)などに利用しても見かけの不釣り合いは感じそうにもない。
ということで、さっそくCrystal EpT3を手元のDAPやスティック型DAC(ドングルDACなどとも呼ばれるスマホのLightning/USB端子に接続して有線イヤホンが使えるようにするもの)でいろいろと試してみた。なお、Crystal EpT3を3.5mm端子に接続し、同時に4.4mmバランス端子の方へイヤホンやヘッドホンを接続することで試聴している。
先に結論をいえば、効果の程はしっかりと感じられた。概してノイズレベルが低くなり、音がピュアになった印象となる。なかでも、2つ接続した状態がとても効果的で、ブラインドテストでもあきらかに違いが分かった。おかげで、ボーカルはより細やかなニュアンスが伝わってくるし、定位がはっきりとしてくれたおかげで、音場的にも広がり感が良くなっている。
一聴であきらかにGND(グラウンド)側の状況が良くなり、その結果としてS/Nが良くなっていることが分かる。実際、メーカーにもどういった効果を狙ったものか訊ねてみたが、DAP等のポータブル機器に対しては、装置内部のシグナルGND回路の改善を主目的にしているという。
「ポータブルDAPはシグナルGNDとDAP外筐フレームの間に抵抗を介在させているタイプと、ダイレクトに外筐フレームに接続しているタイプがあります。前者、抵抗を介在させているタイプは、Crystal EpT3を挿し込むことでDAP内回路基板のGNDインピーダンスが低下、回路の安定動作に繋がってS/Nの改善に貢献します。また、シグナルGNDを介さずダイレクトにフレームGNDに接続されている場合は、フレームGNDの表面積拡大に繋がってインピーダンス低減に貢献、シールド効果を高めることができます」(土岐氏)
なるほど、DAPの回路設計によって効果の程は変わったりするのか。実際、試聴していて興味深かったのが、高級モデルほど効果の程がよく分かったことだ。たとえばAstell&Kernの「A&ultima SP3000」は、素のままでも(DAPとして)格別のS/Nを持ち合わせているが、Crystal EpT3を使うとさらにS/Nが良くなり、2本連結のものを利用するともうポータブルDAPであることを忘れてしまうほどのピュアなサウンドが楽しめた。
また、ソニー・ウォークマン「NW-WM1Z」でもハッキリと抜き挿しの違いが分かったし、LUXURY&PRECISION「P6 PRO」ではR2R DACらしい耳に心地よいナチュラルなサウンドとなってくれた。また、最上級クラスではないもののSHANLING「M6 PRO」ではまずまず効果的。逆に、Astell&Kernのエントリー向け製品「A&norma SR25」で効果の程はあまり感じられず、ウォークマンのミドルクラス「NW-ZX500」でも同様だった。
ちなみに、ウォークマンは3.5mmと4.5mm同時挿しだと音が出ないなどのトラブルが発生しやすいとの話もあったが、今回のテスト時にそういったことは起こらず。逆に、Astell&Kern製DAPはCrystal EpT3(3.5mm端子のほう)を先に挿してから4.4mm端子を挿さないと音が出ず、何度も抜き挿ししているうちに動作がおかしくなったりもしたので注意が必要だ。
続いて、スティック型DACを試してみる。しかし、残念ながら製品がかなりの小型なため3.5mm端子と4.4mm端子の距離が近く、物理的に両方同時挿しが出来ずほとんどの製品でテストが不可能だった。唯一、Questyle「M15」のみギリギリ利用できたが、こちらではDAP以上にハッキリとS/Nが向上し、とてもピュアなサウンドを聴かせてくれた。ぜひともCrystal EpT3を利用したい製品だ。
ちなみに、iBasso Audioの「DX240MAX」も所有していたので、こちらのデジタル出力端子に接続してテストを行ってみたが、ブラインド試聴では大半の人が区別のつかなそうな微妙な差しかなかった。こちら、アナログ接続はDAP側の端子部分が少し凹んでいるため直接Crystal EpT3を接続することは叶わず。変換ケーブルを利用して接続してみたところ、違いが分かる程度の効果はあった。DX240MAXはポータブルとはいえないサイズと重さの筐体が採用されているので、GNDまわりは本来優秀なのだろう。
実はこの11月に大阪、秋葉原と、2つほどのイベントに出演&ブースをかまえることとなったため、Crystal EpT3を持ち込んで一般ユーザーにも聴いてもらった。自前のプレーヤーで試してもらったので、人によって反応が異なっていたが、概して効果は分かるとの反応をもらった。なかには2本繋ぎの良さに感動した人もいた。筆者だけでなく、他の人にも実感してもらえる “ハッキリ” とした効果が感じられる製品であることを確認できたのは僥倖だ。
このように、Crystal EpT3は確かな実力を持つ効果的な製品といえる。特に2本繋ぎは素晴らしいのひと言。ぜひ皆さんも、体験して欲しい。
最後にひとつだけリクエストを。2本繋ぎ状態はポータブル環境では長すぎるので、並列接続タイプや大容量モデルなど、さらなるバリエーションの追加も期待したい。
ポータブル再生にも効果あり!? Crystal Epの効果を検証!(野村)
ここ数年、ホームオーディオの世界で「仮想アース」が注目アイテムとなっているのは皆さんもご承知のことと思う。実際、効果的なアースは音質にも少なからぬ影響を与えるのは確か。しかしながら、確実な効果を狙うためにはオーディオ機器用の壁コンセントに専用アースを新設するのがよかったり、アースの距離は短い方が理想的だったり、設置にもいろいろとノウハウがあるようで、単にアース棒を地面に差し込めばよいというわけでもなく、かなりの難問となっていたりもする。
そんな面倒を一気にクリアしてくれる仮想アースは、その手軽さ、効果の分かりやすさもあって、現在は高い注目を集めるオーディオアクセサリー製品となっている。
もともと、KOJO TECHNOLOGYは「Crystal E」というホームオーディオ向けの仮想アース製品を販売している。こちら、幅80×高さ35×奥行き111mmという小型の金属ボックスの中に銅や黄銅をメインとした金属板をレイヤー構造で配置することで、仮想アース効果を実現。オーディオ機器への接続で、装置フレームのGNDや内部回路GNDの導体表面積を拡大、強化を主な目的としており、アースケーブルにYラグ-YラグとYラグ-RCAタイプが各1本付属する。
いっぽう、今回取り上げる「Crystal Ep」は同じ仮想アースながら、直径12×長さ57.5mmという小型のモデルで、RCA端子や3.5mm端子、スピーカー端子に接続するバリエーションが用意されている。各端子に挿すだけで活用できるという、とても手軽な製品となっているのが特徴だ。そのうち3.5mm端子の「Crystal EpT3」が、ポータブルオーディオでも活用できるとの話を聞いたので、今回、いろいろと試してみることにした。
内部にコンデンサを配置、3ピース構成で連結もできる
ということで(ずいぶんと前置きが長くなってしまったが)、まずはCrystal Epの特徴について紹介していこう。簡単に言えば円筒形ボディの内部にコンデンサを配置して仮想アースを実現したもので、基本構成は比較的オーソドックスなものといえる。
しかしながら、このコンデンサ部分が特殊で、その内部には帯状に加工され、かつ導体表面が特殊エッチング処理された高純度アルミニウム箔が採用されており、海綿質構造に似た空洞が無数に形成されることで実質11,000cm2(110cm×100cm)の有効面積を確保。これによって、このサイズからは望外といえるアース効果を実現しているという。
また、Crystal Epは端子、本体、キャップの3ピース構造となっていて、2本を連結するなどの拡張性を持ち合わせている。
このように、説明からは効果に関しても使い勝手についてもずいぶんな入れ込みようというか強いこだわりが垣間見られる。実際の製品を見ても、端子部分に良質そうな金メッキが施されていたり、本体も細かい梨地処理やメッキが施されていたりと、丁寧な造りとなっているためポータプルDAP(デジタルオーディオプレーヤー)などに利用しても見かけの不釣り合いは感じそうにもない。
ノイズレベルが低くなり、ボーカルのニュアンスが伝わってくる
ということで、さっそくCrystal EpT3を手元のDAPやスティック型DAC(ドングルDACなどとも呼ばれるスマホのLightning/USB端子に接続して有線イヤホンが使えるようにするもの)でいろいろと試してみた。なお、Crystal EpT3を3.5mm端子に接続し、同時に4.4mmバランス端子の方へイヤホンやヘッドホンを接続することで試聴している。
先に結論をいえば、効果の程はしっかりと感じられた。概してノイズレベルが低くなり、音がピュアになった印象となる。なかでも、2つ接続した状態がとても効果的で、ブラインドテストでもあきらかに違いが分かった。おかげで、ボーカルはより細やかなニュアンスが伝わってくるし、定位がはっきりとしてくれたおかげで、音場的にも広がり感が良くなっている。
一聴であきらかにGND(グラウンド)側の状況が良くなり、その結果としてS/Nが良くなっていることが分かる。実際、メーカーにもどういった効果を狙ったものか訊ねてみたが、DAP等のポータブル機器に対しては、装置内部のシグナルGND回路の改善を主目的にしているという。
「ポータブルDAPはシグナルGNDとDAP外筐フレームの間に抵抗を介在させているタイプと、ダイレクトに外筐フレームに接続しているタイプがあります。前者、抵抗を介在させているタイプは、Crystal EpT3を挿し込むことでDAP内回路基板のGNDインピーダンスが低下、回路の安定動作に繋がってS/Nの改善に貢献します。また、シグナルGNDを介さずダイレクトにフレームGNDに接続されている場合は、フレームGNDの表面積拡大に繋がってインピーダンス低減に貢献、シールド効果を高めることができます」(土岐氏)
なるほど、DAPの回路設計によって効果の程は変わったりするのか。実際、試聴していて興味深かったのが、高級モデルほど効果の程がよく分かったことだ。たとえばAstell&Kernの「A&ultima SP3000」は、素のままでも(DAPとして)格別のS/Nを持ち合わせているが、Crystal EpT3を使うとさらにS/Nが良くなり、2本連結のものを利用するともうポータブルDAPであることを忘れてしまうほどのピュアなサウンドが楽しめた。
ウォークマンでも効果あり。スティック型DACでは挿せる製品に限りもある
また、ソニー・ウォークマン「NW-WM1Z」でもハッキリと抜き挿しの違いが分かったし、LUXURY&PRECISION「P6 PRO」ではR2R DACらしい耳に心地よいナチュラルなサウンドとなってくれた。また、最上級クラスではないもののSHANLING「M6 PRO」ではまずまず効果的。逆に、Astell&Kernのエントリー向け製品「A&norma SR25」で効果の程はあまり感じられず、ウォークマンのミドルクラス「NW-ZX500」でも同様だった。
ちなみに、ウォークマンは3.5mmと4.5mm同時挿しだと音が出ないなどのトラブルが発生しやすいとの話もあったが、今回のテスト時にそういったことは起こらず。逆に、Astell&Kern製DAPはCrystal EpT3(3.5mm端子のほう)を先に挿してから4.4mm端子を挿さないと音が出ず、何度も抜き挿ししているうちに動作がおかしくなったりもしたので注意が必要だ。
続いて、スティック型DACを試してみる。しかし、残念ながら製品がかなりの小型なため3.5mm端子と4.4mm端子の距離が近く、物理的に両方同時挿しが出来ずほとんどの製品でテストが不可能だった。唯一、Questyle「M15」のみギリギリ利用できたが、こちらではDAP以上にハッキリとS/Nが向上し、とてもピュアなサウンドを聴かせてくれた。ぜひともCrystal EpT3を利用したい製品だ。
ちなみに、iBasso Audioの「DX240MAX」も所有していたので、こちらのデジタル出力端子に接続してテストを行ってみたが、ブラインド試聴では大半の人が区別のつかなそうな微妙な差しかなかった。こちら、アナログ接続はDAP側の端子部分が少し凹んでいるため直接Crystal EpT3を接続することは叶わず。変換ケーブルを利用して接続してみたところ、違いが分かる程度の効果はあった。DX240MAXはポータブルとはいえないサイズと重さの筐体が採用されているので、GNDまわりは本来優秀なのだろう。
実はこの11月に大阪、秋葉原と、2つほどのイベントに出演&ブースをかまえることとなったため、Crystal EpT3を持ち込んで一般ユーザーにも聴いてもらった。自前のプレーヤーで試してもらったので、人によって反応が異なっていたが、概して効果は分かるとの反応をもらった。なかには2本繋ぎの良さに感動した人もいた。筆者だけでなく、他の人にも実感してもらえる “ハッキリ” とした効果が感じられる製品であることを確認できたのは僥倖だ。
このように、Crystal EpT3は確かな実力を持つ効果的な製品といえる。特に2本繋ぎは素晴らしいのひと言。ぜひ皆さんも、体験して欲しい。
最後にひとつだけリクエストを。2本繋ぎ状態はポータブル環境では長すぎるので、並列接続タイプや大容量モデルなど、さらなるバリエーションの追加も期待したい。