持ち運べる機種から天井投写ができるモデルまで
【2023年春】「カジュアルプロジェクター」12モデル比較レビュー! 多機能アイテムで大画面を楽しもう
ASUS「ZenBeam E2」 〜コンパクトながら素直で自然な画作り〜
コンパクトサイズで300ルーメン(ANSI)の映像の明るさを実現しているモデル。付属されているWi-Fiドングルは、インターネット接続などで動画配信サービスを再生することはできないが、スマホやタブレットからワイヤレスでミラーリングが可能で、アプリによるコントロールにも対応している。動画配信サービスをスムーズに楽しみたい場合は、HDMI接続でストリーミングデバイスを活用する方がいいだろう。
映画は、ホワイトバランスが適切で色味の誇張も感じない。諧調表現も素直でコントラスト感に強調感は無く、総じて柔らかでナチュラルな映像。解像度は854x480だが、映画の雰囲気が得られるのは良い。スピーカーの音もコンパクトなボディから想像できる範囲だが、明瞭で実用も充分。ファンの騒音が静かなことも併せ、サウンド体験は、サイズ以上と思えるものだ。
音楽ライブは、色調が正しく、肌の色が自然に感じられる。サウンドはボーカルの線が細く感じるなど、音楽鑑賞には充分と言えないが、逆に不快感もなく実用レベルだ。アニメは、パネル解像度やレンズによるディテールの甘さはあるが、シャープネスの過多による疑似輪郭が無くてナチュラル。紀行映像は、解像度の不足が否めないが、明部と暗部の諧調表現が適正。明暗も色味もナチュラルで、自然映像も上質に楽しめる。
BENQ「GV11」〜ユニークな機構と多彩な機能性がマッチ〜
円形のデザインが特徴的で、回転させて135度の角度調整ができるため、天井投写も可能な画期的が構造を採用している。台形補正は上下のみだが、自動調整が可能。フォーカスは手動だが、操作しやすいダイヤル式で操作できる。Android TV搭載で視聴可能な動画配信サービスも豊富。高音質技術「treVolo」スピーカーも搭載し、またBluetoothスピーカーとしても使用できる。ユニークな構造と高い機能性がマッチしている。
映画は、色味がナチュラルで好印象。黒は少し浮くが、しっかりと諧調を見せる画作りで情報量も多い。解像度はSD相当だが、シャープネスのような強調はなく、柔らかで奥行きも感じられ、映画の雰囲気が楽しめる。コンセント接続時の「標準モード」は映像が明るく、花火の表現がダイナミック。音質は迫力がもう少しだが、歪感なく上質。クリアでセリフに張りがあり、明瞭度も高い。
音楽ライブは、映画作品のように柔らかな風合い。サウンドは低音に量感とパンチがほしくなるが、中域の表現は良質。アニメ映像は、甘い画調ながら、明るさのお蔭で力強く、原色のビビッドな再現も堪能できる。紀行映像は、瓦など細かな模様でジャギーがあり硬めだが、空気感を醸し出すのは好感だ。
Aladdin X「Aladdin Vase」 〜インテリア性と拡張性の高さは随一〜
花瓶やオブジェのようなデザインが特徴で、天板部に明るさや色の調整も可能なLEDライトも搭載する、インテリア性の高いモデル。独自OSやアプリを搭載し、同社ならではの大画面のあるライフスタイルを提案している。GUIが美しく、日本語表示も違和感がないため、ユーザーへの高い配慮も感じられる。
動画配信サービスにも各種対応しており、プリインストールされているアプリも多数ある。自動台形補正とオートフォーカスを備え、使いやすさもこだわっており、全体の完成度の高さは注目に値する。HDMI入力は搭載されていないが、同社のワイヤレスHDMIコネクターを活用すれば、Wi-Fi経由でHDMI搭載機器と接続でき拡張性も備える。
映画は、黒が浮き気味ながらもコントラスト感はある。色味は、赤の鮮やかさが印象的だ。音楽ライブは、明るい映像でもカラーブレーキングが気にならず、黒の沈みも充分。アニメは原色が色鮮やかでビビッドに楽しめる。キレが良く花火のキラキラ感も再現する。紀行映像は解像感や自然さがもう一歩ほしいところ。サウンドは、ボディのサイズと材質も影響してか、低域不足とビビりが気になるが、セリフを明瞭に聴かせるタイプのようだ。
VIEWSONIC「M1Pro」 〜角度調整が自由で接続端子も豊富〜
レンズカバーがプロジェクターのスタンドとなり、さらに角度調整も自在で天井投写も可能な、ブランドの工夫を感じるモデル。ACアダプターは大きめだが、バッテリーも内蔵する。Bluetooth接続はわかりやすく、音声の出力・入力の双方の接続が可能だ。harman/kardonのスピーカーシステムを搭載しているのも特徴。
ファブリック素材をボディに採用し、デザインもインテリア性が考慮され、さらにGUIの日本語表示もゴシック調で設定できているなど、完成度も充分に高い。また、接続端子もHDMI/USB-C/USB-Aなど豊富に搭載し、またミラーリングにも対応している。
映画は、標準モードでも映画モードでも赤が飛び出したように見えてしまう部分が気になるため、チューニングの余地がある。レンズの性能か、全体的に甘めの画調だが、暗部の階調描写は丁寧で好感が持てる。アニメは、パネルとレンズの解像感からか軟調の画だが、映像の明るさがプラスに働く。紀行作品のように自然を捉えた映像は、ナチュラルに楽しめた。音質は、セリフや低域に厚みがほしいが、存在感を保ちながらすっきりとしたサウンドで、実用的に楽しめる音調。
Xiaomi「Mi Smart Projector 2」 〜4ch・LEDや傾き補正も搭載するハイテク機〜
フルHDの解像度のDMDデバイスを採用し、光源は4ch・LEDを採用するなど先進スペック。500ルーメン(ANSI)の明るさも目を惹く。オートフォーカスや上下左右の自動台形補正に加え、傾き補正にも対応するなど、ハイテクさも魅力だ。Android TV搭載で、動画配信サービスも安心して利用できるのも美点。コンパクトでデザインの洗練度も高く、注目に値する1台だ。
映画は、映像が明るい分、黒も浮き気味に感じるが色付きが無いのは好感。赤は派手めだが、映像モード「ムービー」だと落ち着く。明るく色鮮やかでパワフルな映像は、映画もジャンルを選ばずに楽しめるだろう。音楽ライブは、明部でトーンマッピングに違和感があり、明るめの肌色で黄土色に見えるのが調整不足。カラーブレーキングも出やすい。
内蔵スピーカーは5W+5Wのステレオ仕様で、中低域に厚みと迫力を感じライブ感を豊かに再現。アニメもセリフの厚みとボディ感が心地よい。紀行映像は色再現と解像感の演出が過多だが、トータルでコストパフォーマンスの高さを感じる。