[2022-2023]伊尾喜大祐が徹底レビュー!
銀河鉄道999、8 Mileが最新の画と音で甦る!4Kリマスターソフトベスト5
『さよなら銀河鉄道999-アンドロメダ終着駅- 4Kリマスター版』
前作の2年後の世界を舞台に、人間と機械化人との戦いの決着を描く完結編。メーテルと母・プロメシュームの過去、行方不明の鉄郎の父親など、前作に残された謎もすべて明かされる。Dolby Visionで収録された映像は、前作を軽く凌ぐ高密度と豊かな発色の作画に唸る。ダイナミックな透過光表現のHDRの効果も圧巻だ。
Dolby Atmosによる音声も、オリジナルがモノラルだとは信じがたい完成度でリミックス。CH1の音場の前後で飛び交う銃撃や頭上に轟く雷鳴と雨音が印象的。CH3では駅に響く999の汽笛と眩く輝くヘッドライト、CH5、幽霊列車の緑の怪光など、3DサウンドとHDRならではの輝度表現が光る。CH9ではメーテルとの再会を彩るピアノの響きの美しさ、CH17の工場内の風音や人の声の如き稼働音、そしてCH19から始まる最終決戦のスペクタクルまで、聴きどころ満載。全編が鬼気迫る映像と音響に満ちたペシミスティックな超大作だ。
[SPEC]
●制作:1981年/日 ●監督:りんたろう ●声の出演:野沢雅子、池田昌子、麻上洋子 他 ●本編映像:130分、16:9、HDR10 ●本編音声:日本語Dolby Atmos、日本語リニアPCM 5.1ch 他
『戦国自衛隊 4Kデジタル修復』
戦国時代にタイムスリップした自衛隊の一小隊と、天下統一を目指す長尾景虎=後の上杉謙信の軍勢との共闘を、想像を絶するスケールで描いたSF戦国アクション。70年代角川映画の本気がみなぎる超大作が、弩級の4K/Dolby Vision/Dolby Atmosで甦った。
CH1の冒頭いきなり、自衛隊の夜間行軍シーンの鮮明さに「こんな映像が入っていたのか!」と驚愕。35mmフィルムに含まれていた映像情報が、隅々まで徹底的に引き出されている。戦車が行く重低音も、隊員たちのセリフも鮮度が高く驚きだ。CH2のタイムスリップ場面の鮮烈なイメージから、CH3の音場の四方八方から降り注ぐ無数の矢と、対抗する機銃掃射のサウンド、そして羽田健太郎のスコアも熱い。CH14からの川中島の合戦では、武田信玄の大軍勢の鬨の声、自衛隊の迫撃砲、ヘリの飛行音がホームシアターを轟かす!
[SPEC]
●制作:1979年/日 ●監督:斎藤光正 ●出演:千葉真一、夏木勲(夏八木勲)、渡瀬恒彦 他 ●本編映像:138分、ビスタ、Dolby Vision ●本編音声:日本語Dolby Atmos、日本語リニアPCM 4.0ch(ステレオ) 他
『パルプフィクション』
ご存じ、タランティーノの大出世作が待望の4K UHD BD化。4K/Dolby Visionの映像は、目が醒めるような高精細さと、健康的な太陽光から不健全な社会の闇までリアルに描き出すハイコントラストで収録されている。同梱されているBD版と観比べてみると、そのクオリティアップは一目瞭然だ。2人の黒スーツの生地の質感、アタッシュケースの中身の黄金色の照り返しなど、4K/Dolby Visionならではの描写力。
音声はBD同様で、Dolby TrueHD 5.1ch収録。セリフと効果音が実にシャープで、挿入曲の数々はややナロウだが広がり感が楽しい。CH1の強盗の登場にザワつくカフェ店内、CH2のヴィンセントとジュールスのクリスプでリズミカルなセリフの応酬など、リアリティに溢れる。CH3の拳銃の発砲が爆発的な量感、CH6のツイストコンテストのブーミーな音楽と客席の盛り上がり、そしてCH12の車の衝突事故のインパクトなど、迫力満点のサウンドに度肝を抜かれるだろう。
[SPEC]
●制作:1994年/米 ●監督:クエンティン・タランティーノ ●出演:ジョン・トラボルタ、サミュエル・L・ジャクソン、ユマ・サーマン 他 ●本編映像:155分、スコープ、Dolby Vision ●本編音声:英語DTS-HD Master Audio 5.1ch、日本語Dolby Digital 2.0ch 他