HOME > レビュー > “3代目”はClass Aアンプの音質が目玉!HiByのミドルクラスDAP「R6 III」をレビュー

PR使い勝手や質感も手堅く仕上げた中級機

“3代目”はClass Aアンプの音質が目玉!HiByのミドルクラスDAP「R6 III」をレビュー

公開日 2023/05/19 06:30 海上 忍
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

■実用性と高級感をほどよく調和させたデザイン


まずはDAPの基礎、外観と操作性から。物量優先設計のDAPと比べればアルミ製ボディは軽く感じられるが、細かくサンドブラスト処理された表面はほどよい光沢を放ち、質感上々。メタリックな雰囲気を纏いつつもある種の清潔感があり、飽きのこない印象だ。ウロコ状の刻みが付いたボリュームノブも見栄えするだけでなく、少し回すとクリック感を出す細やかな配慮がうれしい。

今回試用したグレイモデルは、サンドブラスト仕上げで程よい光沢感を持つ

右上に配置されたボリュームノブも、触り心地や回し心地に配慮したつくり

端子部もすっきり。USB Type-Cポートを中心に、3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスがラインアウト/ヘッドホンアウトでシンメトリーに配置されており、整然とした印象だ。プラグを挿すとき迷わないという実用上のメリットもあり、デザインの妙を感じさせる。

USB Type-Cポートを中心に、ライン出力/ヘッドホン出力を配置。それぞれ3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスジャックが備わる

ファイル再生は標準装備のアプリ「HiBy Music」で行う。曲間処理の選択(ギャップレス再生とフェードイン/アウト)やリプレイゲインの選択(トラックとアルバム、ゲイン値調整可)など、DAPで音楽再生を楽しむユーザーの心情を理解した設定項目は納得の充実度。もちろん、直接DSPにアクセスしPEQ(パラメトリック・イコライザー)と音場調整を行うHiBy独自の音質チューニング機能「MSEB」も装備されている。

初めからインストールされている再生アプリは「HiBy Music」。快適な使用感を追い求めるのはもちろん、カスタマイズ性も充実

従来モデルから引き続き、ボリュームノブを回すと一時的に音量レベルが大きく表示される

■細やかにして伸びやか、Class Aモードの表現力は必聴モノ!


R6 IIIのサウンドキャラクターは、言ってしまえば「クール&ウォーム」。アンヴィバレントな表現に聞こえるかもしれないが、鋭いアタックから細やかな余韻を伴いつつスピーディに収束するシンバルも、光沢感とハーモニクスの伸びやかさを湛えるアコースティックギターも、ごく自然に同じサウンドステージに存在し一体感がある。整然とした中に情熱を潜めているような、描写力の幅がいい。

その力が完全に解き放たれるのがClass Aモード。設定メニューで「オーディオ設定」→「アンプタイプ」の順に項目を開くと、「Class A」と「Class AB」という2つの選択肢が現れる。デフォルトでは後者が選択されているが、前者に変更するとR6 IIIのアンプ部がA級動作するようになる。

アンプのClass A/Class ABの切り替えは、設定メニューから行える

この2つのモードは、想像以上に表情が違う。ピアノやアコースティックギターなどの弦楽器は、Class Aモードのほうがタッチの細やかさ、ハーモニクスの伸びやかさがわかりやすい。音の立ち上がり/立ち下がりが向上するからか、高速なパッセージも音のひとつひとつを明確に感じ取れるし、弦の光沢感も別モノだ。

ちなみにClass A選択時の連続再生時間は、シングルエンドで約9時間/4.4mmバランスで約6時間。Class AB選択時はそれぞれ約15時間/約12時間ということだから、屋外へ持ち出すときはともかく、自宅ではClass A一択となるはずだ。

Class Aモードの繊細かつ伸びやかな表現力は大きな特徴。バッテリー持ちを気にしないでよい屋内などでは、常にClass Aで聴いていたくなる

そのままAmazon Musicのストリーミング再生、HiBy Music組み込みの機能でネットワーク再生と歩を進めたが、キビキビとした操作感も手伝いストレスがない。

高級感と実用性をあわせ持ったデザインにスムーズな操作性、こだわりのソフトウェア/ハードウェア設計に基づく音質は、さすが銘機R6の3代目といったところ。特にA級アンプの繊細なサウンドを味わいたいなら、機能的にも価格的にも手堅くまとまったR6 IIIは納得の選択肢となるだろう。
(企画協力:ミックスウェーブ)

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

関連リンク