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PR最上位機に匹敵するサラウンド表現

通常サイズで“モンスター超え”!「AVC-X6800H」がデノンAVアンプ「第二章」を告げる

公開日 2024/03/22 06:30 大橋伸太郎
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■サラウンド性能はA1Hに匹敵。さながら俊敏で高性能なスポーツカーのようなアンプだ



大橋氏の自宅の7.1.4ch環境で試聴を実施

試聴は自宅視聴室で行った。『インディ・ジョーンズ 運命のダイヤル』は、映像もさることながら音質で傑出したソフト。X6800Hはアクションシーンで音楽が高潮しフォーリー(擬音)と重なりあっても混濁しない。

DSPの的確な動作をアンプ部の改良が支えセパレーションが良く、オブジェクトのスピーカー間の移動が正確でにじみがなく動線が明瞭なため、アクションがスピードを増したように感じられる。アルプス山中を行く列車の頭上を連合軍爆撃機が頭上を行き交い、山中のトンネルを通過しても、アトモスのデコードとマッピングが正確で、頭上の出来事の高さの違いが鮮明に描き出される。

宇宙飛行士歓迎パレードに沸く1969年のNY。ジョーンズ博士が騎馬警官から奪った馬で目抜き通りを駆け抜け地下鉄線路に侵入すると、音場の響きの変化はてきめんで、試聴室にNYダウンタウンの雑踏の匂い、次にメトロのひんやり湿った匂いが立ちこめる。

終盤滑走路でのアクションは、頭上を行く先発機の機関音が前方から右後方へ、太く頭上にのしかかる。ドルビーアトモスの高さ方向の階層数がX8500Hより増えていることがわかる。見上げるほどの高さ、斜めに仰ぎ見る高さ、頭上すれすれをいく高さとさまざまに表現し分けるのは、DSPの進歩という他ない。

左がAVC-X8500Hで、右がAVC-X6800H。いかにサイズが違うのか分かるだろう

「TAR」の主人公は女性指揮者。聴覚に優れ鋭敏な音の感性を持つ主人公がSNSスキャンダルの餌食となり、精神的内圧が次第に高まっていくさまを音の演出で描く。

女の叫び声や何者かが走り抜ける音、主人公の幻聴とも現実音ともつかない音が、ときに遠巻きに、ときに明瞭な定位で間近に現れ、デコードとマッピング能力が試されるが、本機はそれが正確無比でサスペンスフルだ。

本作は音楽家映画でもある。マーラーの交響曲第5番とエルガーのチェロ協奏曲の静寂からの立ち上がりが劇的効果を生むが、X6800Hは力任せでなく、楽音が混濁せず分解能を失わず、音場に奔流となって流れ出す。量感と音圧でいえばX8500Hが勝るが、本機は大音量でもオケの楽音がほぐれて、しなやかで音塊にならない。

AVC-X6700H、そしてAVC-X8500Hからの進化ポイントとして、GUIのアップデートも挙げられる

「フィールライク・メイキング・ライヴ!」(ボブ・ジェームス・トリオ)の4KブルーレイはSACDの広がり感に対し、映像の中のトリオの位置と楽音の定位がストイックに一致。ピアノは左翼、中央にアコースティックベース、右翼にドラムスが整然と展開する。

ドラムスは出音位置が広く音が散乱するが、それも逐一正確に描出。ベースのローエンドの伸びと胴鳴り、オンマイクで捉えたピアノの鋭いアタック、シンバルのきめ細やかな質感を試聴空間にくっきり刻印する。映像と音のもう一段精密な一致は、イマーシブ多チャンネル時代にずっと求められてきたものである。



モンスターに「肩を並べる」のでなく「超える」プレミアムコンパクトという開発使命は、達成されたといっていい。サラウンドの表現力ではA1Hが好敵手である。

瞬発力や量感という点では、大きなトランスを積み、電源部に余裕のあるX8500HAにまだ分があるが、それはキャラクターの違いで、A1HやX8500HAが大排気量の豪華なGTなら、X6800Hは運動性能に優れた俊敏で高性能なスポーツカーにたとえられる。

忘れてならないのは、普及機並の設置スペースで、この高性能が発揮されるという事実だ。


(協力:ディーアンドエムホールディングス)

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