PRポータブルオーディオの “序曲” にふさわしい作り込み
濃密で艶やかな “ブリティッシュサウンド” を手の中に。ONIX「Overture XM5」レビュー
昨年から今年にかけ、ONIX(オニキス)から “DAP” “DAC+アンプ” “電源” の3筐体構成のハイエンド・ポータブルオーディオシステム「Miracle」や、DAC内蔵ハイエンド・ポータブルアンプ「Mystic XP1」が登場し、大きな話題となったのも記憶に新しい。
そして今夏、待望のハイレゾ対応DAP「Overture XM5」が登場した。矢継ぎ早に新製品を投入するONIXとはどんなブランドなのか。本稿ではONIXの新製品Overture XM5について詳しく紹介、レビューをお届けするが、まずはONIXブランドについて改めて紹介しておこう。
ONIXは1979年に英・ブライトンで創業したオーディオメーカーだ。創業時は小型パワーアンプ製品を手掛けていたが、1984年から1990年にかけ、Hi-Fiアンプを設計・製造し、世界約28か国へ製品を輸出するまで成長を果たす。現在まで受け継がれている、武骨なブラックスクエア筐体&コントラスト良く映えるゴールドノブという、ブランドの特徴といえるデザインもこの頃から取り入れていた。しかし90年代半ばにはその成長にも陰りが見え始め、97年には台湾オーディオ業界の重鎮であるというPu Hsao Hsiung氏の管理下にある台湾資本に買収される。
ONIXブランドは継続することとなったが、研究開発・製造拠点はアジアへと移行。その後中国のハイエンドオーディオメーカーであるShanling(シャンリン)とパートナーシップを結び、Pu氏管理のもと、ONIXブランドのHi-Fiコンポーネント製品を継続してきたのである。
ただ名前を残すだけでなく、サウンドチューニングに関しても、芳醇で温かみを持ちながらも、忠実で空間性の高い音を聴かせてくれた、元来のONIXらしさ、そして伝統あるブリティッシュサウンドの持ち味を現在まで守っていることが、現行ONIX製品の大きな特長なのだ。
国内でもかつてONIXのHi-Fiコンポーネント製品が販売されていたが、筆者も試聴し、強く印象に残っているのは真空管を搭載したCD/iPodドック付き一体型システム「MC-5」、ハイレゾ黎明期に据え置き型のUSB-DACとして登場した「DAC-25」シリーズが挙げられる。そのいずれも濃密で艶やかなブリティッシュサウンドを聴かせてくれた。だからこそ、MiracleやMystic XP1、今回のOverture XM5登場は、驚きと共に、嬉しさがあったのも事実だ。まさに “ONIX is BACK” である。
前置きが長くなってしまったが、「Overture XM5」について概要を紹介していこう。
筐体はCNC切削アルミ製。ONIXブランドの伝統であるブラックスクエアを基調としたデザインで、長押しでの電源スイッチも兼ねたボリュームノブも金メッキが施されている。ボディの両サイドはカッティングラインを設け、持ちやすさも考慮。3.0型有機ELタッチディスプレイは昨今のDAPの中では小さめだが、ディスプレイ下側には本機ならではの独自性となる4つの物理ボタンが配置されている。
左の3つは順に早戻し/再生・一時停止/早送りの操作にワンタッチでアクセスできる。そして右端のファンクション(Fn)ボタンはスクリーン回転やゲイン切り替え、ボタンロックなど、いくつか用意されている中から任意の機能を割り当てることができる。
音質面ではDACチップにESS製「ES9039SPRO」を搭載し、PCM 768kHz/32bit、DSD512(22.5MHz)までのネイティブ再生に対応。アンプ部は伝統のブリティッシュサウンド・チューニングを施したつくりとなっており、パワーデバイスにはヘッドホンでも難なく駆動できるTI製パワーIC「TPA6120A2」を2基備えている。そのため4.4mmバランス出力では1069mW(@32Ω)、3.5mmシングルエンド出力で310mW(@32Ω)の大出力を実現。ゲインも3段階調整できるので、イヤホン接続時にパワー感が足りないと思うようなことはないだろう。
他にも最適な動作アルゴリズムを組み込んだFPGAやKDS製フェムト秒低位相ノイズ水晶発振器の採用など、細部に渡って妥協なく設計されている。“Overture (序曲)” の名の通り、ONIXポータブルプレーヤーの門出に相応しいつくりといえよう。
そして今夏、待望のハイレゾ対応DAP「Overture XM5」が登場した。矢継ぎ早に新製品を投入するONIXとはどんなブランドなのか。本稿ではONIXの新製品Overture XM5について詳しく紹介、レビューをお届けするが、まずはONIXブランドについて改めて紹介しておこう。
■姿を変えながらも “ブリティッシュサウンド” を守るONIXブランド
ONIXは1979年に英・ブライトンで創業したオーディオメーカーだ。創業時は小型パワーアンプ製品を手掛けていたが、1984年から1990年にかけ、Hi-Fiアンプを設計・製造し、世界約28か国へ製品を輸出するまで成長を果たす。現在まで受け継がれている、武骨なブラックスクエア筐体&コントラスト良く映えるゴールドノブという、ブランドの特徴といえるデザインもこの頃から取り入れていた。しかし90年代半ばにはその成長にも陰りが見え始め、97年には台湾オーディオ業界の重鎮であるというPu Hsao Hsiung氏の管理下にある台湾資本に買収される。
ONIXブランドは継続することとなったが、研究開発・製造拠点はアジアへと移行。その後中国のハイエンドオーディオメーカーであるShanling(シャンリン)とパートナーシップを結び、Pu氏管理のもと、ONIXブランドのHi-Fiコンポーネント製品を継続してきたのである。
ただ名前を残すだけでなく、サウンドチューニングに関しても、芳醇で温かみを持ちながらも、忠実で空間性の高い音を聴かせてくれた、元来のONIXらしさ、そして伝統あるブリティッシュサウンドの持ち味を現在まで守っていることが、現行ONIX製品の大きな特長なのだ。
国内でもかつてONIXのHi-Fiコンポーネント製品が販売されていたが、筆者も試聴し、強く印象に残っているのは真空管を搭載したCD/iPodドック付き一体型システム「MC-5」、ハイレゾ黎明期に据え置き型のUSB-DACとして登場した「DAC-25」シリーズが挙げられる。そのいずれも濃密で艶やかなブリティッシュサウンドを聴かせてくれた。だからこそ、MiracleやMystic XP1、今回のOverture XM5登場は、驚きと共に、嬉しさがあったのも事実だ。まさに “ONIX is BACK” である。
■ポータブルオーディオの “序曲” にふさわしい作り込み、「Overture XM5」
前置きが長くなってしまったが、「Overture XM5」について概要を紹介していこう。
筐体はCNC切削アルミ製。ONIXブランドの伝統であるブラックスクエアを基調としたデザインで、長押しでの電源スイッチも兼ねたボリュームノブも金メッキが施されている。ボディの両サイドはカッティングラインを設け、持ちやすさも考慮。3.0型有機ELタッチディスプレイは昨今のDAPの中では小さめだが、ディスプレイ下側には本機ならではの独自性となる4つの物理ボタンが配置されている。
左の3つは順に早戻し/再生・一時停止/早送りの操作にワンタッチでアクセスできる。そして右端のファンクション(Fn)ボタンはスクリーン回転やゲイン切り替え、ボタンロックなど、いくつか用意されている中から任意の機能を割り当てることができる。
音質面ではDACチップにESS製「ES9039SPRO」を搭載し、PCM 768kHz/32bit、DSD512(22.5MHz)までのネイティブ再生に対応。アンプ部は伝統のブリティッシュサウンド・チューニングを施したつくりとなっており、パワーデバイスにはヘッドホンでも難なく駆動できるTI製パワーIC「TPA6120A2」を2基備えている。そのため4.4mmバランス出力では1069mW(@32Ω)、3.5mmシングルエンド出力で310mW(@32Ω)の大出力を実現。ゲインも3段階調整できるので、イヤホン接続時にパワー感が足りないと思うようなことはないだろう。
他にも最適な動作アルゴリズムを組み込んだFPGAやKDS製フェムト秒低位相ノイズ水晶発振器の採用など、細部に渡って妥協なく設計されている。“Overture (序曲)” の名の通り、ONIXポータブルプレーヤーの門出に相応しいつくりといえよう。
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