PR野村ケンジ氏・折原一也氏が対談
「なんだこれ?」 「イヤホンの音じゃない」。B&W最新イヤホン/ヘッドホンをプロ2人が語り尽くす
■B&Wが最も得意とするサウンドをイヤホンに落とし込めている「Pi8」
野村 先程までPi6を絶賛してましたが、ハイエンドの上を行くプレミアムハイエンドを標榜するだけあって、B&Wの音を経験して惚れたという人はPi8一択ですね。
折原 はい(笑)。
野村 ミッドからハイの解像感が素晴らしいですし、とんがっている訳では無いのにクリアでディテールが出ている。B&Wが一番得意とする表現をイヤホンに落とし込めている。音の見通しが圧倒的に良いです。ワイヤレスヘッドホンのPx8に近い音がよく出せたな、そんな要素こそ僕がPi8に惚れ込んでいるポイントです。
一世代前のハイエンド機になるPi7 S2も、B&Wらしい音というのは作れていたんですけど、Pi8は格が違う。そこから3歩くらい踏み込んだ音に仕上がっている。ワイヤレスヘッドホンの傑作機であるPx8や、そのノウハウを投入したPx7 S2eの開発でエンジニアリングを向上させた結果ですよね。
それこそドライバー数だとPi7 S2のダイナミックとBAの2発から、Pi8はダイナミック1発の構成になっているわけで、ドライバー数しかみない人からするとスペックダウンと捉えられてしまうかもしれません。でも、音を聴くと明確にグレードアップしてますし「B&Wらしさ」がさらに感じられます。僕は聴いてしまった上で言っちゃう形ですが「B&Wが好きなら聴かないで買っても大丈夫」というくらい満足度高いです。
折原 技術的なことでいうとDACチップが外付けになって、「S/Nを猛烈に上げてきたな」というのが音質的なポイントかと。音の特徴もしっかりB&Wサウンドの延長線上。イヤホンが好きという方は、オーディオ的な音を聴いてきたという経験に差があると思いますけど、ハイエンドのオーディオを知っている人からすればPi8のサウンドは、低音がしっかり効いていても不思議とキツさが無く、全域の解像度も高い。
野村さんがいったように、「B&Wのスピーカーで鳴るような音が、より緻密にイヤホンから鳴る」というのは素直にすごい。普通に考えるとイヤホンの音じゃないですよ。
野村 これは憶測ですけど、ここまでサウンドチューニングの技術が高まってくるとイヤホン/ヘッドホン/スピーカーとプロダクトジャンルを意識せずに、エンジニアの方々が開発されているように捉えられます。オーディオブランドとして本道・王道の音、理想として追求するものがしっかりあるからこそ昨今のPx8やPi8の高評価に繋がっている気がします。
折原 Pi6でもPi8でもいいですけど、どちらかを聴き続けたユーザーは、他ブランドのイヤホンを試聴したときに「あれ?」という違和感を得るほど、ユーザーの耳を肥やす実力を備えたプロダクトですね。それでありながら、マニア同士が対峙した時に「本物」だと意識させるような格式の高さが備わっているのも見事です。
野村 初代モデルの「Pi7」「Pi5」の時代はもうちょっとマニアックで、Pi7 S2、「Pi5 S2」の時代、特にPi7 S2は、B&Wの音が好きな人にマッチするようなサウンドだった感じ。Pi5の方も、Pi6ほど器用にまとめ上げられていないものの「汎用性」を意識したサウンドチューニングが行われていましたね。
現世代のPi8/Pi6では、それぞれの方向性がはっきりと明確化されるほどに進化したといったところでしょうか。
Pi6については装着感が良いとか、色が可愛いな、みたいにもっとカジュアルな気持ちで選んでほしいです。それでも、しっかり音が良いので「気が付いたら中途半端なイヤホンがもう買えなくなってしまった」という風にいち早くなっていただければと思います(笑)。
折原 それは良いですね(笑)。「色」について仰ってましたけど、確かにデザイン的なところでいうとPi8/Pi6の両モデル共にプレミアム感が素晴らしいですよね。見た目の要素からでも「こだわりをもって選んだ」と受け取ってもらえます。
メジャーブランドや制作系から端を発するブランドは実用感が出てしまうし、デザインから発するラグジュアリーな趣味感はなかなか真似できるメーカーは少ないと思います。
野村 逆に言えば、ファッションアイテム的な志向に「上手く振れたな」という気持ちもあります。ブランドの標榜する音の正確性というのは、ともすればモニターみたいなイメージが強いですけど、ことB&Wのイヤホン・ヘッドホンに関しては最初からコンシューマー向けに展開しているのと、有線ヘッドホンの自体からデザインは凝っていた物を出していたので、それがユーザーのフィードバックを経て、より洗練されたといった印象です。
実際4万円台(Pi6)や、7万円台(Pi8)のイヤホンでそれぞれ4色ずつカラーバリエーションを用意しているブランドは少ないですし、ハイエンド機ではどうしてもブラック/ホワイトに留まるところですね。
■「Px7 S2e」は優秀すぎる2番手、「Px8」がいたからこそ誕生できた革新的モデル
折原 そろそろヘッドホンについても触れていきましょうか。野村さんは実際にPx8を使用されているんでしたっけ?
野村 はい。Px8が好きすぎるので、折原さんに冷静な判断をお任せしたいです(笑)。2年前に初めて聴いて「これ、スピーカーと同じ音を鳴らしてるじゃない」と気づいたときから虜ですね。
折原 2年前、僕もその時同席していたと思います。音の作り込みに関しては同じように驚いた覚えがあります。
野村 スピーカーと同じ音というけど、ヘッドホンが優れているのは「部屋の環境に左右されないこと」で、Px8を通してB&Wの音作りについて再認識したとまで思わされました。あともう一つの衝撃として「ワイヤレスだから音が悪い」という固定観念が打ちのめされたこと。Bluetoothコーデックとかも多少は関係するけど、決定打ではないんだなというのを思い知らされました。
折原 B&WのヘッドホンはPx7 S2eとPx8の2機種を展開していて、価格差は約2倍。もちろん音質面でも差となって表れているけど、両シリーズともしっかり完成度が高い。Px7 S2eの時点で「B&Wの音が表現できている」と十分に思えるんですけど、改めてPx8を聴くと「なんだこれ!?」ってなるほどに音が良い。
野村 Px8、B&Wのヘッドホンユーザーとしていわせてもらうと、Px7 S2eの完成度に至るまでには3代に渡る長い歴史があるんです。(初代モデル「PX7」は2019年11月発売。2代目「Px7 S2」は2022年7月発売。3代目Px7 S2eは2023年9月の発売。なお、Px8は2022年10月の発売)
Px7 S2eが発売されたときには思わず「Px8の半額でこの音かよ! Px8の立場は……!」と、思わず悔しくなりましたね(笑)。Px7 S2からマテリアルを変えずに、チューニングを詰めただけで完成度を高めたというのがB&Wのすごさですよ。
悔しいけど素直にどっちを選んでも良いです。案件とか関係なく個人で「Px8良いよ!」と、布教活動に勤しんでいたところ、既に「Px7 S2e買っちゃいましたよ!」という人と巡り合ったんですよね。Px8ユーザーの僕が勧めるものだから「失敗したなー」とか目の前で言ってるんですけど、「いや、大丈夫大丈夫それでオッケー!」と本心を伝えさせていただきました。
折原 思ってた以上にPx8に惚れ込んでるし、Px7 S2eも悔しさとともにしっかり評価されてますね(笑)。
野村 僕がいうと布教感がどうしても出ちゃいますね。音をより深く聴き込む、集中して聴き込むとなるとPx8一択。ただ、外で使うのがメイン、屋外じゃなくても会社やカフェとかでも使いますよって人はPx7 S2eで十分以上の満足度を得られます。
Px8は、ある意味静かなオーディオルームでヘッドホンを聴くという使い方が最良だと思います。でも決して、それは遮音性が低いとかそういうわけではなくて、密閉型ヘッドホンでも感じてしまう周りのノイズを、一切物理的に失くしたところで楽しむという方法論みたいな考え方です。
折原 Px8はかつてB&Wも展開していた有線のハイエンドヘッドホンの路線を継承していますね。ワイヤレスでそれを成し遂げたことが本当に凄い。B&Wのスピーカーを所有している方でも「デスクトップで使いたい」みたいなニーズを叶えてくれるのはPx8の方ですかね。
一方のPx7 S2eは価格帯適合とか考えると、他社のハイエンドワイヤレスヘッドホンと値段が変わらなくなってくるし、より比較対象として名前が挙げられるようになると思うので、そういう観点で言えば音場や音像の再現性は抜き出ています。
野村 音質を担保しながらPx7 S2eをここまで安く出来たのは、ハードの部分はPx8と共通というのが大きいでしょう。もちろんユニットやDSP、ファブリックとレザーみたいな差異は設けられているけど、設計構造は共通。新たに設計を起こさない分、コストが掛からないし、ブランド最上位機の設計をそのまま踏襲しているからこその完成度も高いわけです。
USB端子の位置ひとつ取ってみても、有線接続時の使い勝手を考慮して中心から少しオフセットした位置に配置されています。こういうきめ細やかさがあるのは、やっぱり高級品を作っているメーカーだからこそ。Px7 S2eはハイエンドブランドならではの細部への作り込みが、「この値段で手に入ってしまう」と思っていただくと妥当です。
折原 イヤホンの話にも通しますけど、カラーバリエーションを含めたデザイン的なこだわりもB&Wの独壇場ですね。ヘッドホンを取り巻くカラバリは、「これだったらいいでしょう」みたいな最大公約数的な考えがやっぱり大きい。
野村 カラバリ的な観点でいろいろ用意できているモデルって他だと、AppleのAirPods MAXくらいですかね。B&Wのワイヤレスヘッドホンは、ハウジングのメタルパーツや、Px8だったらナッパレザー、Px7 S2eだったらファブリックというようなヘッドバンド素材に至るまでトータルでコーディネートしているのがやっぱり嬉しい。
周りから見られても「がちゃがちゃしたヘッドホン着けてるな」とはまず思われないし、それどころか着けているこっちは「服とも合わせてみようかな」という気持ちにまでさせてくれる。リスニングという本来の役割以上に、ライフスタイルの楽しさも実現させてくれるポテンシャルもありますよ。
折原 そういう部分、“映え” 的な要素ってブランドとして狙ってたりするんですかね?
野村 いや、意外と狙ってるから(笑)。だって、アンバサダーにベッカム起用してますからね(笑)。あれが映えじゃなかったらなんなんですか! って話ですよ。髭面のイケメンにイヤホンとかヘッドホンとかさせてね! ……超カッコいいじゃん。
折原 確かにそうだ。 リアルに超カッコいい(笑)。ポータブルオーディオがさらにファッションとして成立する時代になったということに隔世の感を覚えますね。