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PR単に上下の差に収まらない関係性に注目

オーディオテクニカの開放型ヘッドホン徹底比較!「ATH-ADX3000」「ATH-ADX5000」の差に迫る

公開日 2024/11/28 06:30 鴻池賢三
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■圧巻のフラグシップATH-ADX5000/開放型をより身近にするATH-ADX3000



試聴の組み合わせ機材としてTEAC「UD-507」を採用

まず、両モデルの基礎体力を見極めるべく、別売のXLR 4ピンケーブル「AT-B1XA/3.0」を用い、TEAC「UD-507」と組み合わせて試聴。結論から言えば、違いは小さくない。あくまでも一定の条件下によるものなので、製品の価値とイコールではないが、ATH-ADX5000のフラグシップたる存在感を再認識させられる。

Norah Jonesの「Don't Know Why」は、微細な音の引き出しや空気感の濃さでATH-ADX5000にアドバンテージが。微細な音が谷間を埋めるように全体が滑らかに感じられ、ボーカルがふくよかで声を張るような急激な変化もダイナミックな表現として楽しめる。両モデルの差異から推測すると、磁器回路の違いやハウジングの構造および開口率の差と考えて良いだろう。

「ATH-ADX3000」(写真左)と「ATH-ADX5000」(写真右)とのハウジング部比較。磁気回路の違いとあわせ、ハウジング構造や開口率が音質差に影響する

パワフルなアンプでバランス駆動するならば、ATH-ADX5000の優位性は疑いの余地がない。もちろん、ATH-ADX3000の実力もなかなかのもの。音抜けの良さは開放型に求める期待に応えてくれ、セパレーションの良さや音場の広さも秀逸。グッと前に出て心に沁みるボーカルの有機的な美しさなどにATH-ADX5000のエッセンスを感じる。ATH-ADX5000の存在がATH-ADX3000を成立させていると考えると、コストパフォーマンスの高さにも魅力を感じる。

バランス接続に使用したXLR 4ピンケーブル「AT-B1XA/3.0」

続いて、両モデルに付属しているケーブルを用い、ポータブルプレーヤー(φ6.3mm出力端子搭載)と組み合わせ、Earth, Wind and Fireの「September」を再生。音の鮮度感という点ではATH-ADX5000の優位性は変わらず、低域の鳴りっぷりも充分。違いを感じたのはボーカルを含む中高域の聴こえ方。ATH-ADX5000よりもATH-ADX3000の方が歪感少なく艶やかで聴き易い。

組み合わせたプレーヤーも決して非力ではないが、ATH-ADX5000を100%鳴らし切るには足りないのだろう。比較ではなくATH-ADX3000を単独で評価しても、 “トゥルーオープンエアーオーディオ” の魅力はたっぷりで、広く開放的な音場に描かれる精緻な音の粒は実に鼓膜に心地よい。



ATH-ADX5000とATH-ADX3000比較したところ、やはりATH-ADX5000の秀でた実力と優位性は揺るぎない。しかしながら、420Ωのインピーダンスはオールマイティーとは言えず、実力を発揮できない再生環境では、ATH-ADX3000がより良いリスニング体験をもたらす可能性を感じた。揺るぎない評価を得ている上位機の設計思想を踏襲するからこそ、それがそのままATH-ADX3000の基本性能の高さに結びついているのだろう。

今回の比較を踏まえると、再生環境も含めて開放型の神髄を目指すならATH-ADX5000、もう一段ライトな環境でオープンエアのある生活を楽しむならATH-ADX3000という選択がベストか。単に「上下」差をつけただけでなく「棲み分け」的な要素を垣間見ることができた。

上位機の多くを引き継ぎ、品位を保ちつつ手に届き易い価格を実現した「ATH-ADX3000」。 “トゥルーオープンエアーオーディオ” のもたらす音体験を、多くのリスナーに楽しんでもらいたいというオーディオテクニカの “ねがい” が結実したプロダクトに、大いなる価値を感じた。


(提供:オーディオテクニカ)

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