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PRコラボイヤホン「NOVUS」専用EQもチェック

銅製ボディには “確かな音質の違い” がある!「A&ultima SP3000T Copper」を通常モデル/前世代モデルと聴き比べてみた

公開日 2024/11/29 06:30 野村ケンジ
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■銅製ボディは柔らかく耳に心地よい音。違いは明白、でも好みで選べる


まずは、無印SP3000TとSP3000T Copperのサウンドの違いから。結論をいえば、違いは確実に存在するものの、好みの範疇といったレベル。どちらを選ぶかはあくまでもユーザー次第といえる。

具体的には、ステンレスボディのSP3000Tは総じてソリッド、クリアなサウンド表現となっていて、SP3000とも共通する音色の方向性を感じるが、SP3000T Copperはそういった特徴を残しつつもエッジを和らげたような、ナチュラル志向の音色傾向にシフトしている。結果として、アコースティック楽器は僅かに実体感が高まり、リアルさが向上。ヴォーカルも、クールだったり力強かったり、優しかったりと、ほんの僅かながらも分かりやすい表現の歌声になってくれた。

ソリッドでクリアな音調のSP3000Tに対し、SP3000T Copperは鋭さが少しやわらいだ、ナチュラルなサウンド。どちらか選ぶとしたら、自分の好みに従っていい

なによりも、音が耳に心地よい。もともと無印もフォーカスの高さと聴き心地のよさの両立が巧みだったが、SP3000T Copperは少しだけ聴き心地のよさ方向にシフトしている。それでいて、フォーカス感はほぼ遜色ないのだから恐れ入る。

長い期間にわたって付き合うこととなる高級ハイレゾDAPとしては、こういった聴き心地のよさは大きな魅力ポイントとなるだろうし、限定1000台という希少性も考えると、これからどちらかを選ぶとすればSP3000T Copperのほうがやや優勢に感じる。

次に、SP3000T CopperとSP2000Tで、新旧の違いをチェックしてみた。カラーバリエーションが異なるため見分けやすいが、ボディデザイン自体は並べないとどちらか分からないくらい似ている。しかしながら、そのサウンドは別物といっていいほど異なっている。SP2000Tはよりソリッドな音色で、かつディテール表現が丁寧で緻密な印象。対してSP3000T Copperは、フォーカス感については大差ないものの、ディテール表現のきめ細やかさでかなり優位。さらに、抑揚表現のダイナミックさでは圧倒的な迫力を持つ。SP2000Tユーザーには、買い換えをオススメしたい。

■3つのアンプモードも個性豊か。コラボイヤホン専用EQも見逃せない


そして、SP3000T Copperのトリプルアンプシステムで、3つのモードそれぞれのサウンドを確認してみた。傾向としては、OPアンプモードが緻密な表現の万能選手、SP3000T Copperらしさが幅広いイヤホンで味わえるHYBRIDアンプモード、奔放で臨場感溢れるTUBEアンプモードといったイメージか。OPアンプモードは3モードのうち最もディテール表現に秀でているうえ汎用性が高いため、上級クラスのヘッドホンなどと相性がよかった。

とはいえ、SP3000T Copperらしさを最も感じられるのがHYBRIDアンプモードなので、基本的にはこちらを多用したくなりそう。TUBEアンプモードはややイヤホンを選ぶ傾向にあるが、相性の良いモデルとの組み合わせであれば魅力的なサウンドを聴かせてくれるので、こちらも積極的に試していきたい。

最後に、SP3000T Copperから搭載された新しい機能、Astell&KernとEmpire Earsのコラボイヤホン「NOVUS」専用EQモードを試してみた。そもそもSP3000/SP3000Tとの組み合わせを念頭に開発されているNOVUSだが、そのポテンシャルをより一層引き出すために調整されたイコライザー設定だそうだ。

オフの状態ではいわゆる “ハーマンターゲットカーブ” が脳裏に浮かぶサウンドバランスだが、オンにすると高域、低域ともにさらに自然な、聴き心地の良いサウンドへと変化。そのまま長時間にわたって楽しく聴き続けることができた。これがNOVUS本来のサウンドだとすればこれまで以上に魅力的に思えるし、それがスイッチのオンオフひとつで簡単に実現できるのは嬉しいかぎり。NOVUSユーザーにとっては必須のEQ設定だろう。ちなみにSP3000Tの通常モデルやSP3000でも、ソフトウェア・アップデートを行えば利用できるようになる。

SP3000T Copperで追加された専用EQ設定で、「NOVUS」の音質をもう1段引き上げられる

このようにSP3000T Copperは、SP3000やSP3000Tの魅力を内包しつつ、独自のサウンドを楽しませてくれるなかなか稀少な製品といえる。限定生産1000台のリミテッドエディションという、いまでないと入手できないモデルでもあるので、気になる方はなるべく早いタイミングで試聴、体験してみて欲しい。


(提供:アユート)

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