PRReserve/Signature Elite/Monitor XT、どれが好み?
なぜ? 実は「大きいほど人気」なPolk Audioのスピーカー、全3シリーズの“大型モデル”比較試聴でわかった魅力
最も手の出しやすい「Monitor XTシリーズ」
最初は、Monitor XTシリーズから試した。同社シリーズの中では最もスタンダードなラインだが、キャビネット、スピーカーユニットとも、よくここまでの物量を投入したと思える、超ハイコスパのスピーカーだ。コストダウンのため、キャビネットの仕上げは簡素化されているが、逆にマットブラック仕上げはある意味視覚的な迫力もある。
ブックシェルフ「MXT20」を試聴
まず、ブックシェルフの「MXT20」を聴いたが、一言で表現するなら「安いけど完成度の高い音!」という印象で、ハイスピードでキレが良い音がする。アデルではイントロのピアノの音がクリアで、圧倒的な生々しさこそ後に聴いた上位シリーズに譲るものの、低音もしっかり出る。
キックドラムの力強さとエレクトリックシンセサイザーのキレが求められる、LE SSERAFIMのようなEDM調の楽曲との相性も抜群。エリック・アレキサンダーについては、距離感の近さを求めたい現代ハードバップジャズとして少し腰高な表現になるものの、ムターでは聴感上の解像度を保ちながら、ヴァイオリンは滑らかな質感というよりシャープなディテールが優先される。
また、ボリュームを絞っても低音域の音痩せが少ないのは見逃せないメリットだ。
フロア型「MXT70」を試聴
続いてフロア型の「MXT70」だが、値段の先入観を超える完成度の高い音に感心した。合計5つのスピーカーユニットは視覚的な迫力を出しつつも、キャビネットの大型化と合わせて、各ユニット単体での負荷が下がることで、高音域から低音域の全帯域にかけての分解能が向上して、アデルのボーカルもグイグイと前に出てくる。
確かに本機を聴くと、大型モデルが売れる理由がわかる。そして、そのハイスピードさが活きるのがLE SSERAFIMで、音のディテールとスピード感が統一され、聴き応えが良い。エリック・アレキサンダーでは、楽器が同時に鳴った際のダイナミクスの描き分けが、ブックシェルフタイプのXT20を凌駕する。
ムターを聴いて印象的だったのは、ローレンジの沈み込みで、オーケストラの低音楽器を構成するコントラバスの立体感が両立できていることだ。大型の磁気ユニットを使用した複数のウーファーで負荷分散を行っている効果が感じられる。
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