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PR自社設計のディスクリートDACを500番シリーズとして初搭載

ティアック “Reference 500”、銘機の系譜。最新USB-DAC/ヘッドホンアンプ「UD-507」の音質的到達に驚愕!

公開日 2024/12/31 06:30 角田郁雄
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■マニア心をくすぐる精密感にあふれた基板



そして2024年10月。ドラマティックとも言える進化を遂げた、第5世代の「UD-507」が登場しました。価格は328,800円です。最大の注目点は、エソテリックのディスクリートDAC技術の流れを踏襲した、独自開発の「TRDD 5」(TEAC Reference Discrete DAC 5)を搭載したことです。電流強化型バッファー、TEAC-HCLD2も搭載し、5つのデジタル入力、2系統のライン入力、高品位なプリアンプ機能を搭載しました。

TEAC USB-DAC/ヘッドホンアンプ/プリアンプ「UD-507」

このHCLD2に改めて触れておきましょう。これは、電流伝送能力の高いダイヤモンドバッファー・アンプをラインドライバーとして、1chあたり正負2回路構成として、バランスの場合は差動動作し、アンバランスの場合は、2並列動作する仕組みで、さらに電流供給能力を高めていることが特徴です。音量調整には、0.5dBステップの高精度ボリュームTEAC-QVCSを搭載しています。

「UD-507」の背面端子。アナログXLRの入力端子は今回初搭載

注目は、内部構成にもあります。電源トランスは2基ありますが、今回は、デジタル系とアナログ回路系です。基板は上下2階建てで、上段はプリアンプとヘッドホンアンプ用のアナログ増幅基板です。先のHCLD2やQVCS素子が確認できます。

UD-507の精密な内部構造を確認

下段には、電源フィルターコンデンサーが配置され、各部のレギュレータ電源に電源供給します。その直近には、FPGA、Spartan7がありますが、これが入力デジタル信号を64bit/512fs処理(例えば、44.1kHzの場合512倍のアップサンプリングを、88.2kHzは半分の256倍になる)を行う、ΔΣモジュレーターの役割を果たします。

コンデンサーと抵抗で構成されるディスクリートDAC「TRDD 5」

このモジュレーターで、1bitまたはマルチbit信号に処理され、左右に配置した1chあたり16エレメント(1エレメントはロジック回路、高精度抵抗、ローパスフィルターの構成)で高精度DA変換される仕組みです。これらの基板は凄く精密感に溢れていて、よくこのコンパクトな筐体に収容できたと感心させられます。オーディオマインドが掻き立てられるほど、魅力的です。

USB-DACボードの全体図

■「UD-507」 -演奏場所の空気や奏者の実在感がさらに鮮明に-



試聴では、最初に前述のヴォーカル曲CD『クワイエット・ウィンター・ナイト』を再生しました。大きな特徴は、CDがハイレゾになったかのような高密度な音であることです。高精度変換により音の鮮度が高まり、演奏場所の空気感や奏者のちょっとした動作を、今まで以上に高解像度に再生します。奏者の実在感も鮮明になります。また、音の立ち上がりが俊敏になりますが、HCLD2は弱音の再現性も高く、ピアノやシンバルの余韻が消え入るまで、美しく再生します。

同じアルバムをハイレゾ、352.8kHz/24bitで再生してみました。感激したことは、録音場所に参加しているかのような臨場感で、従来機器以上のベールを一枚も二枚も剥いだような生々しさを体験しました。

パトリシア・バーバラの『Companion』から、「Black Magic Woman」(DSD 2.8MHz)も再生すると、コンガの革の質感や連打による音のレスポンスの速さに感激しました。ヴォーカルには、肉声のようなクリーミーな質感を憶え、シンバルなどの金属系パーカションの響きの余韻を美しく再現しました。ギターのリヴァーブも鮮やかです。しかも刺激感皆無で、倍音に直熱三極管・300Bのような、滑らかで透明感ある音を感じました。おそらく同社は、テープレコーダーを製作していたので、そのテープ・サウンドの音色を基準にしているからではないか、と推察しています。

確かに高価になりましたが、この機能と搭載技術を考えれば、リーズナブルとも言えますし、同社の技術の粋が投入されたモデルです。私は長年オーディオを愛好してきましたが、新しいモデルを買うと、いつも何かが足りないと感じてきましたが、同社製品はそんな愛好家の気持ちを捉え、満足できる機能を搭載していることも魅力です。

このUD-507に最新のヘッドホンアンプ/プリアンプ「HA-507」を加え、「AP-505」をパワーアンプとして使用する。余裕ができたら、10MHzマスタークロックジェネレーター、「CG-10M-X」を導入しアップグレードしてみる。最終的には、500シリーズで完結できる。そこには、今の時代にふさわしいスタイリッシュさがあります。ぜひ体験してみてください。

ティアックの開発チーム

(提供:ティアック)

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