折原一也のCESレポート(3)
<CES>日韓メーカーが提案する「スマート」を検証する
■クラウド型ネットワークサービスで先行するソニーと韓国勢
「スマート」機能は、スマートフォン、スマートテレビと言った具合に、各デバイスごとに分けて語られがちだが、今回あえてデバイスを特定せず「スマート」と呼んでいるのは、こうしたデバイスを越えたネットワーク型サービス、クラウドを前提としたサービスが、今後の焦点になると考えるからだ。
デバイスを越えて利用可能なクラウド型サービスへの取り組みに話を絞ると、「Hulu」や「Picasa」のような、プラットフォームを越えたサービスを除くと、現時点ではソニー・サムスン・LGの3社が積極的で、先行している。
ソニーは、CES開催の前日のプレスカンファレンスにてデジカメ・ビデオカメラで撮影した写真・映像をネットで共有する「PlayMemories Online」を2012年春に開始すると発表。ブースでも展示を行っていた。
PlayMemories Onlineは、無料でネットワーク上のストレージを提供し、同じ写真をBRAVIA、スマートフォン、PS Vita、PS3といったデバイスを越えて共有できる。
ソニーは、既にスタートしている自社の映像配信「Video Unlimited」と音楽配信の「Music Unlimited」にPlayMemories Onlineを加えることで、「Sony Entertainment Network」として、デバイスを越えたクラウド型サービスを大々的に展開していく。
韓国・サムスンもクラウドを前提としたサービスを積極的に推し進めている。サムスンは「Family Story」とう名前で写真をクラウドを使ってシェアする機能をCESで発表し、同社のWi-Fi対応イメージングデバイスを起点として、PC、薄型テレビ、スマートフォンで写真を共有する環境を提供する。
映像配信についても、スマートTV「Smart Hub」の一環として提供している「Smart Hub Premium Video」は、1つのアカウントで購入した作品を同社のテレビ、スマートフォンなどで、デバイスを越えて視聴できる仕様となっており、同社の「スマート」戦略の一翼を担っている。
サムスンが特徴的なのは、友人とのコンテンツ共有や、ゲームによるネット対戦まで推し進めていることで、ゲーム分野でPSN(PlayStationNetwork)と一体化しているソニーのサービスへの対抗も視野に入れている。
LGは、スマートTVのプラットフォーム「SmartCenter」では自社提供によるマルチデバイスの映像配信サービスを手がけていないが、「Home Cloud NAS」という名前で、家庭に置くNASでコンテンツを共有する「My CloudShare」を提供している。
ユーザーIDで管理することで、ホームネットワーク内だけでなく、外出先からでも家族、友人とコンテンツ共有できる。機能としては通常のNASが既に実現しているものだが、PCよりも、むしろスマートTVを中心としたホームネットワーク向け機能としてアピールしているようだ。