折原一也のCESレポート(3)
<CES>日韓メーカーが提案する「スマート」を検証する
■動き出した「スマートホーム」。タブレットで電力/白物家電管理
「スマート」の将来像として常に語られてきた「スマートホーム」への取り組みも、タブレットを軸にした具体的な取り組みが紹介されていたため、簡単に触れておきたい。大きなトピックは2つある。
一つは、東芝がスマートメーター(高機能な電力計)の最大手であるランティスギア社と提携し、スマートメーターと連携して家庭内機器の電力使用をコントロールする「ライフデザインボックス」によるスマートホームソリューションの提供だ。操作デバイスには同社のレグザ・タブレットを用い、消費電力のモニタリングや機器のコントロールが行える。
「ライフデザインボックス」はインターネット接続に対応し、スマートメーターとも連携。プール用ヒーターやスプリンクラーといった電力消費の大きな機器の電源を、遠隔操作対応のOAタップを用いてコントロールすることで、電気料金を抑えることができる。電力会社側には、電力消費がピークとなる時間帯の電力を抑制できるというメリットがあるため、自動管理に同意するプランを選ぶと、消費者は電気料金の割引を受けられる。
現時点のターゲットは大型家電の消費電力管理のみだが、「ライフデザインボックス」というネットワーク端末が家庭内に設置されたら、将来的には家庭内の様々なデバイスの管理に発展することになるだろう。
もう一つは、サムスンによる白物家電の「スマート」化だ。CES会場ではWi-Fiを内蔵し、同社のタブレット対応コントロールアプリは、テレビから洗濯機、掃除機まで、一つのアプリでコントロールできるようになっている。現時点ではそこからクラウド化するという構想までは発表されていないが、ネット対応の白物家電が実際に商品化されていることは注目に値する。
「スマート」を巡る動きを一望してみると、既に主役は薄型テレビやタブレットといったデバイスではなく、ネットワークサービス全体になりつつあることが分かるだろう。
日本には配信やデジタル放送のコンテンツ保護など厄介な問題があるため一歩出遅れているが、米国における韓国勢のアピールを見ると、家庭のあらゆる面の「スマート」化は、そう遠くない日に実現されることになりそうだ。