元日本コロムビアの本間孝男氏が解説
なぜヨーロッパではBlu-ray Audioが好調なのか? 元洋楽ディレクターが分析する世界のハイレゾ事情
■今後のBlu-ray Audioの動向を占う
こうしたユニバーサルの動きに続いて、このHFPAにはワーナーとソニーというメジャー2社が参加を表明している。以下ではユニバーサルも含め、Blu-ray Audioにおける各メジャーの今後の動きを占ってみよう。
ユニバーサル - リマスタリングが追いつかないのかリリーステンポは控えめ
リリースのテンポは当初予告した数より少なめ。理由は、人気の高い歴史的な名盤に焦点を絞って発売していることもあるが、ハイレゾマスターの整備が追いつかないことにも原因がありそう。現行のデジタルマスターのほとんどがCD用の44.1kHz/16bitのもの。ハイレゾ用のリマスタリングに不可欠なジェネレーションの若いアナログマスターの確保が困難なのかも知れない。
ユニバーサルには旧EMI傘下のブルーノートが加わり、AtlanticとColumbiaを除くほとんど全てのジャズカタログが集まったが、上記の理由でハイレゾ化は容易ではなさそうだ。
HFPAの実質上のスタートはストーンズ50周年ベスト『Grrr!』(2012年11月発売)。春に『イマジン』『勝手にしやがれ』やエルトンの大作『黄昏のレンガ路』などで話題をつなぎ、最近は欧州の版権を持つディープ・パープル『Made In Japan』を出したり、7月にレゲエの大ベストセラー、ボブ・マーリー『レジェンド』を30周年記念で再リリース。5.1ch新ミックスはグラミー賞も受賞した売れっ子エンジニアであるボブ・クリアマウンテンと本気度を見せている。準備が整えば、秋以降はブルーノート、ファンタジー系のJazzカタログのリリース・ラッシュか? ところで、ハイレゾ整備済みのキャピトルのビーチ・ボーイズ『Pet Sounds』のBlu-ray Audioの発売は無いのだろうか。
ソニー - 2014年秋以降にBlu-ray Audioのビッグタイトルを発売か
ユニバーサルが心待ちにしていたソニーの“HFPA”Blu-ray Audioのラインナップの話がようやく具体的になってきた。発売は秋以降となる。ここには、いくつかの海外サイトで噂されている主要な発売タイトルを挙げておこう。
・Miles Davis 『Kind Of Blue』
・Michael Jackson 『Thriller』
・Billie Holiday 『Lady In Satin』
・Billy Joel 『The Stranger』
・Johnny Cash 『At Folsom Prison』
・Janis Joplin 『Pearl』
・Carole King 『Tapestry』
・Bob Dylan 『Highway 61 Revisited』
・Herbie Hancock 『Headhunters』
・Dave Brubeck 『Time Out』
・Elvis Presley 『Elvis Presley』
・Lou Reed 『Transformer』
・The Clash 『London Calling』
・Cyndi Lauper 『She’s So Unusual』
・Stevie Ray Vaughan And Double Trouble 『Texas Flood』
・Sly & The Family Stone 『There’s A Riot Goin’ On』
・Pearl Jam 『Ten』
・James Taylor 『JT』
・Peter Tosh 『 Legalize It』
・Patti Smith 『Horses』
このリストが本物ならベスト。『スリラー』をBlu-ray Audioでぜひ聴いてみたい。これ以外で注目なのは、ソニークラシックが昨年暮れに発売したアーノンクール指揮『Requiem Experience』で、ソニー陣営にとっての初のBlu-ray Audioとなる。”Blu-ray Pure Audio”となっているが、ユニバーサルのHFPAと同じオーサリングで作られているという。モーツァルトとヴェルディのレクイエムの名盤のBlu-ray Audio化で、録音は48kHz/24bitではあるが、ノーマルCDが同梱され、Blu-rayと音を比較できる。ノルウェーの2LがSACDを同梱していたのと同じ手法だ。
ワーナーミュージック - 配信は順調だがBlu-ray Audioは出遅れ気味
問題はワーナーで、発表が遅れている。原因は担当するRhinoの態勢が整っていないことか。目前にレッド・ツェッペリンのリイシュー第二期、第三期を抱えて身動きのとれない状態かもしれない。7月には単発だが大作の『CSNY 1974』が発売された。Limited EditionのBlu-ray AudioはリニアPCM 192kHz/24bitでファンの度肝を抜いた。PONOを主導するニール・ヤングのダメ出しで96kHz/24bitから192kHz/24bitに変更になったため、完成済み12曲がオシャカになったという曰く付きの作品。ハロンガスに守られ40年の間眠りについていたマルチからの新ミックスは凄いの一言。”Pure Audio”とあるが、HFPAと同じオーサリングで作られた。
ワーナーには配信で発売されたハイレゾタイトルが結構あるので、Blu-ray Audioも充実したリストを期待したい。一方で、EMIから移管されたParlophoneの行く末は興味を引く。はたしてピンク・フロイドのBDオーディオ一般発売はあるのだろうか(『狂気』や『炎』のBlu-ray AudioはImmersion EditionのBoxセットに入っている)。
こうしたユニバーサルの動きに続いて、このHFPAにはワーナーとソニーというメジャー2社が参加を表明している。以下ではユニバーサルも含め、Blu-ray Audioにおける各メジャーの今後の動きを占ってみよう。
ユニバーサル - リマスタリングが追いつかないのかリリーステンポは控えめ
リリースのテンポは当初予告した数より少なめ。理由は、人気の高い歴史的な名盤に焦点を絞って発売していることもあるが、ハイレゾマスターの整備が追いつかないことにも原因がありそう。現行のデジタルマスターのほとんどがCD用の44.1kHz/16bitのもの。ハイレゾ用のリマスタリングに不可欠なジェネレーションの若いアナログマスターの確保が困難なのかも知れない。
ユニバーサルには旧EMI傘下のブルーノートが加わり、AtlanticとColumbiaを除くほとんど全てのジャズカタログが集まったが、上記の理由でハイレゾ化は容易ではなさそうだ。
HFPAの実質上のスタートはストーンズ50周年ベスト『Grrr!』(2012年11月発売)。春に『イマジン』『勝手にしやがれ』やエルトンの大作『黄昏のレンガ路』などで話題をつなぎ、最近は欧州の版権を持つディープ・パープル『Made In Japan』を出したり、7月にレゲエの大ベストセラー、ボブ・マーリー『レジェンド』を30周年記念で再リリース。5.1ch新ミックスはグラミー賞も受賞した売れっ子エンジニアであるボブ・クリアマウンテンと本気度を見せている。準備が整えば、秋以降はブルーノート、ファンタジー系のJazzカタログのリリース・ラッシュか? ところで、ハイレゾ整備済みのキャピトルのビーチ・ボーイズ『Pet Sounds』のBlu-ray Audioの発売は無いのだろうか。
ソニー - 2014年秋以降にBlu-ray Audioのビッグタイトルを発売か
ユニバーサルが心待ちにしていたソニーの“HFPA”Blu-ray Audioのラインナップの話がようやく具体的になってきた。発売は秋以降となる。ここには、いくつかの海外サイトで噂されている主要な発売タイトルを挙げておこう。
・Miles Davis 『Kind Of Blue』
・Michael Jackson 『Thriller』
・Billie Holiday 『Lady In Satin』
・Billy Joel 『The Stranger』
・Johnny Cash 『At Folsom Prison』
・Janis Joplin 『Pearl』
・Carole King 『Tapestry』
・Bob Dylan 『Highway 61 Revisited』
・Herbie Hancock 『Headhunters』
・Dave Brubeck 『Time Out』
・Elvis Presley 『Elvis Presley』
・Lou Reed 『Transformer』
・The Clash 『London Calling』
・Cyndi Lauper 『She’s So Unusual』
・Stevie Ray Vaughan And Double Trouble 『Texas Flood』
・Sly & The Family Stone 『There’s A Riot Goin’ On』
・Pearl Jam 『Ten』
・James Taylor 『JT』
・Peter Tosh 『 Legalize It』
・Patti Smith 『Horses』
このリストが本物ならベスト。『スリラー』をBlu-ray Audioでぜひ聴いてみたい。これ以外で注目なのは、ソニークラシックが昨年暮れに発売したアーノンクール指揮『Requiem Experience』で、ソニー陣営にとっての初のBlu-ray Audioとなる。”Blu-ray Pure Audio”となっているが、ユニバーサルのHFPAと同じオーサリングで作られているという。モーツァルトとヴェルディのレクイエムの名盤のBlu-ray Audio化で、録音は48kHz/24bitではあるが、ノーマルCDが同梱され、Blu-rayと音を比較できる。ノルウェーの2LがSACDを同梱していたのと同じ手法だ。
ワーナーミュージック - 配信は順調だがBlu-ray Audioは出遅れ気味
問題はワーナーで、発表が遅れている。原因は担当するRhinoの態勢が整っていないことか。目前にレッド・ツェッペリンのリイシュー第二期、第三期を抱えて身動きのとれない状態かもしれない。7月には単発だが大作の『CSNY 1974』が発売された。Limited EditionのBlu-ray AudioはリニアPCM 192kHz/24bitでファンの度肝を抜いた。PONOを主導するニール・ヤングのダメ出しで96kHz/24bitから192kHz/24bitに変更になったため、完成済み12曲がオシャカになったという曰く付きの作品。ハロンガスに守られ40年の間眠りについていたマルチからの新ミックスは凄いの一言。”Pure Audio”とあるが、HFPAと同じオーサリングで作られた。
ワーナーには配信で発売されたハイレゾタイトルが結構あるので、Blu-ray Audioも充実したリストを期待したい。一方で、EMIから移管されたParlophoneの行く末は興味を引く。はたしてピンク・フロイドのBDオーディオ一般発売はあるのだろうか(『狂気』や『炎』のBlu-ray AudioはImmersion EditionのBoxセットに入っている)。