【特別企画】「Acoustic Audio Forum」取材レポート
「音の良い部屋」をマンションで実現するポイントとは? 防音工事会社による試聴会を密着取材!
「音が痩せてしまう」のは、現代建築の中空構造が共振により低音域を吸音していることが主な原因。バンドものなどでは150Hz〜200Hzがベースの音の帯域で、ピアノでは基音440Hzより2オクターブ下が110Hz周辺であることに触れ、そのあたりの帯域が部屋によって吸音されることで音が痩せてしまうと説明する。
これに対し同社は、防音工事によってこれを改善できることを、実際の事例での工事前後の計測データも交えてリアルに解説。「工事前は、吸音アイテムは全然ないのに、低音の残響時間が短い。それは壁や床で吸われているから」とし、防音工事によってその状態を改善させたと紹介。
これにより中低音域の残響時間が伸び、依頼主からは「『同じ機材なのに工事の前後で全然鳴り方が違う。全部の機材を入れ替えたんじゃないかというくらい変わった』と言ってもらった」という。
■音の良い部屋づくりのポイントは実はシンプル
「部屋の固有の響きがつきまとう」という問題については、部屋の寸法比が大きく関係していると解説。例えば8畳間のように平面もしくは断面が正方形になるような部屋では特定の周波数で定在波分布が偏在し、ブーミングが発生しやすくなる。
部屋の寸法比については、「石井式リスニングルームについて考える」をテーマに行われた前回のレポート記事に詳しいが、定在波の分布が偏らない比率にすることが重要なポイント。
「いい音がするかどうかは、部屋の寸法比が分岐点」(鈴木氏)と、オーディオにとって部屋の寸法比がいかに重要かを改めて説明し、単純に防音性能を上げるだけでなく、寸法比などにも気を配って防音工事を行うべきだとした。
そして鈴木氏は「音を良くするためには、重く、振動しにくい壁や床を作るという、実は単純なことがポイント」だとコメント。オーディオ機器同様に“振動しないこと”が部屋も重要であり、こんなことからも、部屋はオーディオの一部であることを改めて思わされたイベント取材となった。