OpenHome台頭からRoon登場、そして・・・
ネットワークオーディオはどこから来たのか、どこへ向かうのか − 10年の歴史をふり返る<発展/成熟編>
▶2016年初頭
Roonによるネットワークオーディオのプラットフォーム「Roon Ready」が発表
Roon Readyでは、RAATというプロトコルにより、音質を担保したまま、Roonの出力先として対応するネットワークオーディオプレーヤーを使えるようになる。いわばネットワークオーディオプレーヤーをRoonと組み合わせる「LAN DAC」として使う形であり、Roonの音楽体験をネットワークオーディオプレーヤーでも完璧な形で楽しめるようになった。
PC、タブレット、USB-DAC、ネットワークオーディオプレーヤーのすべてで共通の操作性と音楽体験を実現したことにより、狭義のPCオーディオとネットワークオーディオの垣根は今度こそ完全に消滅した。発表以来、今に到るまでRoon Readyに参画するメーカー/ブランドは増え続けている。
▶2016年4月
エソテリック、ネットワークオーディオプレーヤー「N-05」を発売
エソテリック初のネットワークオーディオプレーヤー。OpenHomeに対応して純正コントロールアプリも盤石であり、初号機でありながら特筆すべき完成度の高さを実現していた。国内の歴史あるハイエンドメーカーからもついにネットワークオーディオプレーヤーが登場したことで、業界に大きなインパクトを与えた。(関連ニュース)
▶2017年1月
DLNAが解散
解散後も認証作業は継続されるが、今後ガイドラインのアップデートは行われない。DLNAはアイデアという点では間違いなく素晴らしく、時代を作り、歴史を作った。しかし、DLNAを採用した製品は実際に音楽を聴くうえで、操作性に難を抱えていたものも多かった。DLNAは良くも悪くも、ネットワークオーディオに巨大な影響を与え続けたガイドラインだと言える。
筆者としては、同じくUPnPをベースにするDLNAの「事実上の上位/改良版」と呼べるOpenHomeに速やかに移行してほしいと前々から願っているのだが、国内外を問わず未だにDLNAを製品に採用するメーカーが多く、移行は遅々として進んでいない。(関連ニュース)
▶2017年1月
TIDAL、「TIDAL Masters」でMQA音源のストリーミング配信を開始
独自の圧縮技術により通常のWAVやFLACに比べてファイルサイズを小さくできるMQAは、当初からストリーミングサービスと高い親和性を持っていたと言える。TIDAL Mastersによって、定額制音楽ストリーミングサービスでCD以上のスペックの音源を聴ける時代が到来した。(関連ニュース)
2017年5月
TuneBrowser、バージョン4.0.0でOpenHomeに対応
「PCの再生ソフトがコントロールのためにOpenHomeを採用する」という例その2。TuneBrowserは強力なライブラリ機能を持つ再生ソフトであり、OpenHome対応でさらに魅力を増した。
2017年5月
Qobuz、FLACによるハイレゾ音源の定額制ストリーミング配信を開始
TIDAL/TIDAL Mastersに負けじと、Qobuzもハイレゾ音源のストリーミングサービスを開始。MQAを採用したTIDALとは異なり、QobuzはFLACでそのままハイレゾ音源をストリーミングしており、両社の思想の違いが表れている(現時点で日本はサービス未導入)。
2017年12月26日
アイ・オー・データ、コントロールアプリ「fidata Music App」をリリース
同社製品と組み合わせるべく作られた純正コントロールアプリ。完成度は非常に高く、同社fidata/Soundgenicとの組み合わせではサーバーに関する各種設定・操作も可能。DLNA/OpenHomeの両方に対応する汎用アプリとしての側面も持ち、fidata/Soundgenic以外のプレーヤーとも組み合わせて使用できる。(関連ニュース)
▶2017年
AIスピーカーの胎動
GoogleアシスタントやAmazon Alexaといったプラットフォームに対応した、様々な製品が一気に登場した。音楽再生における音声コントロールの精度はまだ発展の余地が大きいとはいえ、今後のAIの進化を考えれば、いずれネットワークオーディオの「コントロール」の部分を大きく変えるに違いない。
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