公開日 2017/06/19 19:36
オーディオを楽しむ“部屋”の重要性とは? “プロの音響設計集団”アコースティックラボにノウハウを聞く
【特別企画】“部屋をつくる"オーディオルーム・プロジェクト
音響設計のプロフェッショナル集団、アコースティックラボが手掛けるオーディオルームを訪ねる本企画。筆者の鈴木 裕氏はこれまで2回にわたりユーザー宅を訪ねてきたが、実際にご紹介した吉田郁雄さん宅と小久保弘さん宅のこの2つの事例をもとにして、(株)アコースティックラボの蔵前ショールームを訪ね、同社の代表、鈴木泰之氏と草階拓也氏にインタビュー。防音や響きの仕組み等に関してQ&A形式で紹介し、オーディオを楽しむ上で部屋の重要性を改めて提唱していくことにしよう。
本誌で紹介した2人のユーザーを事例に“部屋”の重要性を改めて提唱する
■プロの音響設計集団に部屋作りのノウハウを聞く
AVルームの問題を総合的、抜本的に解決してくれるのが音響設計のプロフェッショナル集団、アコースティックラボだ。筆者はこのプロ集団が手がけたお二人のユーザー宅、吉田邸(レポート記事)と小久保邸(レポート記事)を訪ねてきたが、そこで得た知見をもとにいくつか疑問をぶつけてみた。最終的にはそれなりのバジェットを持ってアコースティックラボに相談するのが最良の結果を得られるのは間違いないが、自身で部屋を作る方にも参考になるように質問していった。
――部屋の比率、横幅と奥行きと高さの関係が大事ということを何回も伺っていますが、それには唯一絶対的な数字があるのでしょうか?
そんなことはありません。いろんな比率があります。部屋自体、必ず無数の定在波が存在するのですが、直方体の場合は波動方程式で求めることも出来ます。比率が悪いとブーミングが発生します。
定在波自体には良いものと悪いものがあるわけではありません。分布のしかたに良し悪しがあるのです。分散させてやって均等化するようにすると、部屋のクセはなくなってすっきりした響きになります。定在波の周波数分布が良ければ、その定在波は部屋の響きにとってなくてはならないものです。
――いい定在波、という言葉が新鮮に感じます。
定在波は必然的に発生するものです。たとえば、コンサートホールにもごくごく低い帯域、10〜20Hzに定在波があって、それがホールらしい感じを生み出しています。人間というのはそういうものを感じているんですね。
西洋も日本も部屋は箱型で定在波が発生し、無意識のうちに部屋の反射音として聞いているんです。8帖の場合は正方形ですから定在波が重なってしまうのでひどいブーミングが発生する部屋になってしまいます。でも定材波そのものが悪物ではないんです。
――吉田邸の場合、ガランとした部屋なのに響きが多すぎて回っている感じとか、混濁した響きが出ていないのが不思議な感じすらしました。
ある周波数の音に偏らないということが大事です。散らしてあげるんです。散らすことによって満遍なく鳴るようになります。狭い6帖のような部屋でも音がこもらずスッキリした響きにすることも可能です。
■部屋は寸法比が最も重要で天井も高い方が有利に働く
この比率の話題は重要だが、企業秘密になっているわけではない。良いとされている寸法、たとえばアコースティックラボのショールームのひとつの寸法比は1:1.15:1.61だ。このショールームや吉田邸、小久保邸の部屋を実際に体感してみると、基本的には天井が高めに感じられる。
逆に言うと、たとえばオーディオイベントで使う、何十畳もあるのに天井が低い部屋というのは、オーディオ的にはあまり芳しくないということになるし、実際にブーミーな低音になっている例は多い。
この問題、ただしオーディオマニアが自身の手で実現するのはかなり困難に感じる。一軒家の最上階であれば、フラットな形の天井を取り去って、屋根の形に沿った天井にするというのがあるかもしれないが。ということで次の質問をしよう。
本誌で紹介した2人のユーザーを事例に“部屋”の重要性を改めて提唱する
■プロの音響設計集団に部屋作りのノウハウを聞く
AVルームの問題を総合的、抜本的に解決してくれるのが音響設計のプロフェッショナル集団、アコースティックラボだ。筆者はこのプロ集団が手がけたお二人のユーザー宅、吉田邸(レポート記事)と小久保邸(レポート記事)を訪ねてきたが、そこで得た知見をもとにいくつか疑問をぶつけてみた。最終的にはそれなりのバジェットを持ってアコースティックラボに相談するのが最良の結果を得られるのは間違いないが、自身で部屋を作る方にも参考になるように質問していった。
――部屋の比率、横幅と奥行きと高さの関係が大事ということを何回も伺っていますが、それには唯一絶対的な数字があるのでしょうか?
そんなことはありません。いろんな比率があります。部屋自体、必ず無数の定在波が存在するのですが、直方体の場合は波動方程式で求めることも出来ます。比率が悪いとブーミングが発生します。
定在波自体には良いものと悪いものがあるわけではありません。分布のしかたに良し悪しがあるのです。分散させてやって均等化するようにすると、部屋のクセはなくなってすっきりした響きになります。定在波の周波数分布が良ければ、その定在波は部屋の響きにとってなくてはならないものです。
――いい定在波、という言葉が新鮮に感じます。
定在波は必然的に発生するものです。たとえば、コンサートホールにもごくごく低い帯域、10〜20Hzに定在波があって、それがホールらしい感じを生み出しています。人間というのはそういうものを感じているんですね。
西洋も日本も部屋は箱型で定在波が発生し、無意識のうちに部屋の反射音として聞いているんです。8帖の場合は正方形ですから定在波が重なってしまうのでひどいブーミングが発生する部屋になってしまいます。でも定材波そのものが悪物ではないんです。
――吉田邸の場合、ガランとした部屋なのに響きが多すぎて回っている感じとか、混濁した響きが出ていないのが不思議な感じすらしました。
ある周波数の音に偏らないということが大事です。散らしてあげるんです。散らすことによって満遍なく鳴るようになります。狭い6帖のような部屋でも音がこもらずスッキリした響きにすることも可能です。
■部屋は寸法比が最も重要で天井も高い方が有利に働く
この比率の話題は重要だが、企業秘密になっているわけではない。良いとされている寸法、たとえばアコースティックラボのショールームのひとつの寸法比は1:1.15:1.61だ。このショールームや吉田邸、小久保邸の部屋を実際に体感してみると、基本的には天井が高めに感じられる。
逆に言うと、たとえばオーディオイベントで使う、何十畳もあるのに天井が低い部屋というのは、オーディオ的にはあまり芳しくないということになるし、実際にブーミーな低音になっている例は多い。
この問題、ただしオーディオマニアが自身の手で実現するのはかなり困難に感じる。一軒家の最上階であれば、フラットな形の天井を取り去って、屋根の形に沿った天井にするというのがあるかもしれないが。ということで次の質問をしよう。
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