公開日 2018/06/29 10:00
サーモスはなぜオーディオに取り組むのか? インタビューで語られた『気持ちいい音』の3本柱
【特別企画】真空技術をどう活かすか
サーモスといえば、世界で初めて高真空断熱(二重構造の内部を高真空にしたもの)のステンレス魔法びんを製品化したパイオニアであり、現在もこのジャンルで最大規模のシェアを誇るメジャーブランドでもある。
そんなサーモスが、驚いたことにVECLOS(ヴェクロス)ブランドを立ち上げ音響機器の開発をスタートさせた。2015年にBluetoothスピーカー「SSA-40」を発売し、2018年にはデスクトップスピーカーシステムの「SSB-380S」をリリース(関連レビュー)。続いて、この夏にはイヤホン/ヘッドホンの新製品を発売すべく、開発の最終フェーズを進めている。
なぜ、サーモスはオーディオ製品を手がけることになったのか。そして、それらの製品には “サーモスとして” どういったこだわりを持ち合わせているのか。サーモスのオーディオカテゴリーである、VECLOSの製品開発の中心人物となっている、サーモス経営企画部 VECLOS課マネージャーの平松仁昌氏に様々な質問を投げかけてみた。
そもそも、サーモスがオーディオ製品を始めたのは、サーモスが様々な新規事業を模索していたのがきっかけだったという。
「魔法びん事業でサーモスは多くの方からご評価いただいていますが、将来的なことを考えると、新しい事業を多角的に広げていくことが絶対に必要だろうと考えていました。世界初の高真空断熱ステンレス魔法びんを製品化したメーカーですから、新しいイノベーションを突き進めていく文化がもともとあったんです」と平松氏。
そこから「2011年ごろ、我々が得意とする真空技術を活かせるものとして何があるんだろう、という検討がなされました。実はその当時、音響製品はターゲットに入っていませんでした。偶然の産物で、スピーカーユニットが入るんじゃないかと真空容器にはめてみたら良い音がするなという話になったんです。そんな “思いつき” からオーディオ製品の開発がスタートしました」と、この事業への意外なスタートを明かしてくれた。
そして、2015年にサーモス初のオーディオ製品としてBluetoothスピーカーVECLOS「SSA-40」が発売された。初めてのオーディオ製品ということもあり、開発には様々な苦労が伴ったというが、そういった状況の中でも、絶対に譲れない部分があったという。それが、サイズのコンパクトさだ。
「大きなブームになりつつあるBluetoothスピーカーというジャンルに飛び込んでいったわけですが、当時このジャンルをリードするモデルを見たところ、サイズと音質のバランスが悪い製品が多いなと思ったんです。そこにサーモスならではのアドバンテージである真空構造を利用することで、コンパクト化の実現に大いに役立ってくれるだろう」と考えたという平松氏。
「真空構造は、熱はもちろんですが、振動もある程度押さえ込み、伝えにくくする特徴があります。そこで、サイズを最優先して製品の開発をスタートしました。初めてのオーディオ製品ということもあり、開発にはかなり苦労しましたが、結果として満足できるサイズ感の製品にまとめ上げることができました」というように、コンパクトなサイズ感には自信を見せる。
一方で開発側としては、大満足と言い切れるまでは至らなかったという。「音質も十分なクオリティや表現力を持ち合わせていると自負していますが、真空技術を利用した製品というコンセプトが強く前面に押し出され過ぎて、オーディオ製品としての汎用性で課題となる部分がいくつかありました。たとえば、低域の量感がそうです。パソコンの脇に置く、近距離で利用することを前提とした製品なので基本的には大丈夫なのですが、デスクからかなり離れた位置だったり、ルームスピーカーとして活用するには厳しいバランスとなっています。とはいえ、次のモデルの開発に向けた大きな財産となりました」(平松氏)。
その財産について「我々のなかで音に対する明確なコンセプトが生まれました。それは、聴く人にとって『気持ちいい音』を作ることです。これは、優れた定位感により音像が再現されていること、空間的な広がり感が正しく再現されていること、音源に忠実な明瞭な表現ができていること。この3つを柱として、音作りを考えるようになりました」と平松氏は語る。
そして開発されたのが、SSB-380Sだ。本機は “デスクトップスピーカー” という明確なコンセプトを持っているという。「オールインワンスピーカーとしてデスクトップリスニングに用いる方向性の他社製モデルはありますが、サイズ感として、デスクトップでの使用にリアリティを感じなかった。端的にいうと、大き過ぎてデスクの上に置くと邪魔になりそうと感じてしまったんです」。
そんなサーモスが、驚いたことにVECLOS(ヴェクロス)ブランドを立ち上げ音響機器の開発をスタートさせた。2015年にBluetoothスピーカー「SSA-40」を発売し、2018年にはデスクトップスピーカーシステムの「SSB-380S」をリリース(関連レビュー)。続いて、この夏にはイヤホン/ヘッドホンの新製品を発売すべく、開発の最終フェーズを進めている。
なぜ、サーモスはオーディオ製品を手がけることになったのか。そして、それらの製品には “サーモスとして” どういったこだわりを持ち合わせているのか。サーモスのオーディオカテゴリーである、VECLOSの製品開発の中心人物となっている、サーモス経営企画部 VECLOS課マネージャーの平松仁昌氏に様々な質問を投げかけてみた。
そもそも、サーモスがオーディオ製品を始めたのは、サーモスが様々な新規事業を模索していたのがきっかけだったという。
「魔法びん事業でサーモスは多くの方からご評価いただいていますが、将来的なことを考えると、新しい事業を多角的に広げていくことが絶対に必要だろうと考えていました。世界初の高真空断熱ステンレス魔法びんを製品化したメーカーですから、新しいイノベーションを突き進めていく文化がもともとあったんです」と平松氏。
そこから「2011年ごろ、我々が得意とする真空技術を活かせるものとして何があるんだろう、という検討がなされました。実はその当時、音響製品はターゲットに入っていませんでした。偶然の産物で、スピーカーユニットが入るんじゃないかと真空容器にはめてみたら良い音がするなという話になったんです。そんな “思いつき” からオーディオ製品の開発がスタートしました」と、この事業への意外なスタートを明かしてくれた。
そして、2015年にサーモス初のオーディオ製品としてBluetoothスピーカーVECLOS「SSA-40」が発売された。初めてのオーディオ製品ということもあり、開発には様々な苦労が伴ったというが、そういった状況の中でも、絶対に譲れない部分があったという。それが、サイズのコンパクトさだ。
「大きなブームになりつつあるBluetoothスピーカーというジャンルに飛び込んでいったわけですが、当時このジャンルをリードするモデルを見たところ、サイズと音質のバランスが悪い製品が多いなと思ったんです。そこにサーモスならではのアドバンテージである真空構造を利用することで、コンパクト化の実現に大いに役立ってくれるだろう」と考えたという平松氏。
「真空構造は、熱はもちろんですが、振動もある程度押さえ込み、伝えにくくする特徴があります。そこで、サイズを最優先して製品の開発をスタートしました。初めてのオーディオ製品ということもあり、開発にはかなり苦労しましたが、結果として満足できるサイズ感の製品にまとめ上げることができました」というように、コンパクトなサイズ感には自信を見せる。
一方で開発側としては、大満足と言い切れるまでは至らなかったという。「音質も十分なクオリティや表現力を持ち合わせていると自負していますが、真空技術を利用した製品というコンセプトが強く前面に押し出され過ぎて、オーディオ製品としての汎用性で課題となる部分がいくつかありました。たとえば、低域の量感がそうです。パソコンの脇に置く、近距離で利用することを前提とした製品なので基本的には大丈夫なのですが、デスクからかなり離れた位置だったり、ルームスピーカーとして活用するには厳しいバランスとなっています。とはいえ、次のモデルの開発に向けた大きな財産となりました」(平松氏)。
その財産について「我々のなかで音に対する明確なコンセプトが生まれました。それは、聴く人にとって『気持ちいい音』を作ることです。これは、優れた定位感により音像が再現されていること、空間的な広がり感が正しく再現されていること、音源に忠実な明瞭な表現ができていること。この3つを柱として、音作りを考えるようになりました」と平松氏は語る。
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