公開日 2007/06/12 12:46
サンバレー東京試聴会開催! オーディオ工作・真空管ファンのパラダイスここにあり!
根津氏は最後にパガニーニのカプリス9番「狩り」も生演奏してくれた |
今回の試聴会は、サンバレーオリジナルの真空管アンプのなかから、多極管を使ったプッシュプルアンプと三極管を使ったプッシュプルアンプの響きの違いや、300Bと845の真空管の違いによる音の傾向の違いなどについて焦点を絞りつつ、10台ほどの試聴が行われた。
「845は高域の方に明るい光を当てているような音がしているし、300Bはコクのある磨かれた音がします。球によって、音に対する光の当て方が違うと思います」といった店主・大橋氏による解説は非常に分かりやすく、納得のいく内容。また、そこで聴かせてもらったサウンドもいずれも素晴らしく、音楽に向き合って聴く楽しみを存分に堪能することができた。
またペンション・ウインズ・コーナーでは、ウインズの村瀬氏の設計・製作による、ウイスキー樽材や米松材をキャビネットに採用したスピーカーシステムの試聴が行われた。大小さまざまなスピーカーであったが、とくにいちばん小さな「樽ミニ」というスピーカーが、単独で(サブウーファーなど使わずに)鳴っているのが信じられないほど、堂々と鳴っていたことが印象的だった。ここでは、例えば、5人の女性ボーカリストによる「テネシー・ワルツ」を聴き比べるなど、興味深いソフトの発見という意味でも楽しませてくれた。
1日に4回講演が行われたが、いずれも満席で、駆けつけたファンが皆例外なく、熱心に聴き入っていた。
また、同試聴会最終回には、N響ヴァイオリニストの根津昭義さんによるオーディオ談義も行われ、会場の注目を集めた。「私が真空管アンプに目覚めたのは、エレキットのわずか2万円ほどの真空管アンプでした。それで聴いたときに、それまで耳障りだと感じていたヴァイオリンのポルタメントの音や、うるさく感じていたシンバルの音が自然に聴こえて、CDが何枚でも楽しめたんです」等々、音楽家の聴き方がよく分かる興味深いお話。なかでも、スピーカーのセッティングがいかに大事であるかという話になった時には、壁際と、離れた場所とで、生のヴァイオリンを実際に弾いて聴かせてくれ、会場中が沸いた。
サンバレー「ザ・キット屋」は、顧客へのこまやかな対応でオーディオ工作ファン、真空管アンプファンの心を、がっちりとつかんでいることで定評があるが、今回のような試聴会も例にもれず、音楽、オーディオ、顧客への愛で溢れていた。来場者が皆、充実した笑顔を見せており、こうしたオーディオ工作ファン、真空管ファンのコミュニティが、ますます活気を帯びてくるのではないか、という期待が持てた。
(季刊・analog編集部)