公開日 2011/12/06 18:49
パイオニア「N-50」で話題のハイレゾ音源を体験!試聴イベントレポート
イベントでしか聴けない貴重な非売品音源も登場
12月3日(土)、パイオニア プラザ銀座 地下1階視聴室にて、ファイル・ウェブ主催イベント「話題のハイレゾ音源を『N-50』で聴く」を開催致しました。
パイオニア プラザ銀座は今年2月にオープンしたショールーム。3フロアから構成されており、パイオニアのさまざまな製品を体験することができます(詳細はこちら)。
イベントは13:00からと15:30からの2回構成。講師には評論家の山之内 正氏を迎え、ハイレゾ音源をN-50で試聴しました。今回はリファレンスシステムとしてTADのフラグシップ機器が用意されました。
【使用機器一覧】 ネットワークプレーヤー:PIONEER N-50 プリアンプ:TAD C2000 パワーアンプ:TAD M600(×2台) スピーカー:TAD Reference One PC:MacBook Pro(2010年モデル、OS:Mac OS X 10.6) NAS:QNAP TS-119(SSD内蔵) LANケーブル:エイム電子 NA3-Rシリーズ |
ネットワークオーディオを導入してから4年という山之内氏。「CDを上回るクオリティの音源が、今やどんどん手に入るようになってきました。アナログの時代からパイオニアのプレーヤーを使ってきたので、パイオニアからネットワークプレーヤーが登場したのはとても感慨深いですね」とコメント(幼少期の山之内氏とパイオニアとのエピソードはこちら)
「総額1,300万円以上というTADのフラグシップ機器を74,800円のN-50で鳴らすということで、荷が重いのではと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、そこがネットオーディオの面白いところ。同価格帯のCDプレーヤーでは出せなかったような音を楽しむことも可能なのです。私自身も、ネットワークプレーヤーを入れたあとにアンプやスピーカーを入れ替えました。それは、音の評価基準がまるで変わるという体験をしたからです。今日はN-50の持っているポテンシャル、そしてハイレゾ音源の持つ可能性を聴き取れるのではと思います」。
続いてパイオニアの八重口能孝氏がN-50を紹介。N-50を世に送り出すにあたって、商品企画段階で2つのコンセプトがあったと言います。
「初めてのネットワークプレーヤーなので、しっかりと作り込んだ製品にしよう、ということがひとつ。そして価格は手頃にして、いろいろな方にネットオーディオを楽しんでいただくきっかけとなれる製品にしよう、ということがもうひとつです。この相反する2つのコンセプトを両立すべく努力しました」。
ネットワーク機能やUSB-DAC機能はもちろん、192kHz/24bitのFLAC/WAVをはじめMP3などの圧縮音源再生対応、iPod/iPhoneデジタル接続、AirPlay、iOS/Androidアプリでの操作など、多彩な機能を持つN-50。「機能面でも音質面でもご満足いただける製品を目指しました」。
■ネットワークプレーヤー機能を使った試聴
試聴タイムでは、はじめにN-50をネットワークプレーヤーとして使用。NAS内に保存した音源を、N-50で読み込んで再生します。
まずは音源に44.1kHz/16bit、96kHz/24bit、そして44.1KHz/16bitに「Hi-bit 32 Audio Processing(Hi-bit 32)」処理を施した3種類の同一楽曲を用意し、聴き比べました。
「Hi-bit 32」とは、微小信号をなめらかに再現するビット拡張技術。16bitや24bitの音声を32bitに拡張して処理することで、よりアナログの正弦波に近い波形を再現できるというものです。
「44.1kHz/16bitではピアノの高音の音色が少しきつい感じがします。低域のスピード感なども、96kHz/24bitをいちばんベストな状態としたら、その次がHi-bit 32を通したもの、そして44.1kHz/16bit、という風に違いが出ますね」と山之内氏。その後、ピアノ曲や合唱、ジャズ、女性ボーカルなどさまざまなジャンルの音源を、96kHz/24bitや192kHz/24bitで試聴しました。
■USB-DAC機能を使った試聴
続いて、USB-DAC機能の実演ということで、PC内に保存したオクタヴィア・レコードの192kHz/32bit音源再生に。この音源は今年11月1日にリリースされたもので、R.シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」(エド・デ・ワールト指揮/オランダ放送フィルハーモニー管弦楽団)など同社レーベルの人気音源を、192kHz/32bit WAVデータでUSBメモリに収めています。音源を保存したUSBメモリ自体も比較試聴を行い、音の良いものをセレクトしたとのことです(タイトルの詳細はこちら)。もちろんDRMはフリーです。
再生環境はMacBook Pro(2010年モデル、OS 10.6)、再生ソフトにはAudirvana Plusを使用しました。なお192kHz/32bit音源は、現状ネットワーク経由では再生できません。
イベントには特別ゲストとして、音源の販売元であるオクタヴィア・レコードの小野 浩さんが登場。192kHz/32bit音源の制作方法を説明しました。
「DSDで録音したDIFFデータをPyramixで352.8kHz/32bitのPCMに変換し、それをダウンコンバートして192kHz/32bit float形式のWAVファイルにします。DSDは非常に軽いのですが、PCMはデータ量がとても大きくなってしまい、『ツァラトゥストラはかく語りき』の冒頭は、2分弱ながら168MBという巨大なファイルサイズになっています。ただ、それだけの情報量を聴き取れるものと思います。96kHz/24bitでも同じ音源を収めていますので、192kHz/32bitデータと聞き比べて楽しんでいただけると思います」(小野さん)
「この曲の冒頭はコントラバスのトレモロと大太鼓のトリル、パイプオルガンとコントラファゴットのロングトーンから始まるのですが、コントラバスのトレモロはなかなかきちんと聞こえるものではありません。でも192kHz/32bit音源の方では、そのディテールがよく聴き取れますね」と山之内氏も音の印象を語っていました。
試聴では、バッハ「目覚めよと呼ぶ声あり」(ラデク・バボラーク/ホルン、アレシュ・バールタ/オルガン)、J.S.バッハ「イタリア協奏曲」第1楽章(セルゲイ・エデルマン/ピアノ)を96kHz/24bitと192kHz/32bitで聴き比べ。そして最後に、192kHz/24bitの音源(このイベントのためだけに作られたファイルで非売品)と、192kHz/32bit音源の比較試聴を行いました。
小野さんは「量子化ビット数が増えるに従って低音の実在感が変わってくるように思います。低音がしっかり鳴ると、その倍音もきちんと鳴るということになるので、高音域の楽器の音もしっかり鳴ることになるんですね」とコメント。そのほかにも音源の聴きどころ、制作時のこぼれ話など貴重なお話が多く飛び出しました。
今回ご来場いただいたみなさま、有り難うございました。ファイル・ウェブでは今後もオーディオ&ビジュアルの楽しみをご体験いただけるさまざまなイベントを開催して参ります。読者のみなさまのご参加をお待ちしております!