公開日 2015/10/16 21:08
<音展>クリプトンが「ラズパイ・オーディオ」高音質化ケースを披露 - 海上忍氏によるイベントも開催
同社スピーカーやアクセサリーを出展
本日16日より開催されている“音展”「オーディオ&ホームシアター展 2015」にて、クリプトンは「KS-7HQM」を筆頭とするハイレゾ対応アクティブスピーカー“KSシリーズ”や、最新モデル「KX-5P」など同社のスピーカーシステムを一斉展示。さらには「ラズパイ・オーディオ」をテーマとしたイベントを開催し、クリプトンによるRaspberry Pi用ケースの試作品も出展された。
■「ラズパイ・オーディオ」試聴イベントを実施。専用ケースの試作品も披露
ファイル・ウェブでも度々取り上げてきたワンボードコンピューター“Raspberry Pi”を使った「ラズパイ・オーディオ」。その可能性にいち早く着目し、その構築方法について本誌でレポートを連載。ラズパイ・オーディオの著作も執筆している海上忍氏が講師として登場。「Raspberry Piで愉しむオーディオ」と題した講演を行った。
なぜクリプトンのブースでラズパイ・オーディオ? と疑問に思う方のために説明しておくと、海上氏はその音質面でのポテンシャルを確認するべく今年7月にクリプトンを訪れ、同社オーディオ事業部長の渡邊勝氏に試聴を依頼した。その際、渡邊氏はその音質的な可能性を認め、一方で音質向上のための様々なアイデアについて語ってくれた。
その“アイデア”のひとつが後述する「専用ケース」だったわけだが、まずはそのオーディオ的可能性を広く知ってもらう必要があると、“音展”のクリプトン・ブースで「ラズパイ・オーディオ」のイベントが実施されることになったのだ。
講師を務めた海上氏は、ラズパイ・オーディオに取り組んだ経緯から、いかにしてRaspberry Piでハイレゾ再生を行う基本的な概念からその方法までを紹介した。この点については海上氏によるこちらの記事で詳しく紹介しているので、ここではラズパイ・オーディオの構成をごく単純化して説明しておきたい。
Raspberry Piはいわば小さなパソコン。そこにオーディオ再生に特化したOS(Volumio)を収めたmicro SDを接続することで、「ミュージックプレーヤー」に仕立てる。ここにUSB-DACを接続すればオーディオ再生が可能となる。「パソコン + USB-DAC」を「Raspberry Pi + USB-DAC」に置き換えたと考えればいい。
ただしRaspberry Piにはディスプレイもキーボードもない。そこで操作はWi-Fi接続したiPhoneから行う。Raspberry Pi自体にWi-Fiは内蔵されていないので、Wi-FiモジュールをUSB端子経由で接続する。再生する音源は、USBメモリーに収めて別のUSB端子に接続する。
ラズパイ・オーディオの基本概念を説明した後、その音質はぜひ自身の耳で確かめてもらいたいと再生デモを行った。まずは数百円程度の専用クリアケースに収めたRaspberry Piを、クリプトンのUSB入力搭載・ハイレゾ対応アクティブスピーカー「KS-7HQM」(製品レビュー)と組みあわせ、ハイレゾ音源を再生した。そのサウンドは、PCと組み合わせた再生と遜色のないもので、来場者も素直に驚きを表していた。海上氏は「パソコンと異なりオーディオ再生に特化できる“ラズパイ・オーディオ”は音質的にも優位性があります」と説明していた。
次にケースを変更して音質の変化を検証。ケース自体は汎用品だが、クリプトンが同社製電源タップなどで用いているノイズ抑制シート「バスタレイド」を取り付けたケースに交換して再びハイレゾ再生を行った。するとその大きな音の変化に、来場者も文字通り唸った。サウンドのフォーカスが数段アップして、ベールを数枚剥いだような変化を聴くことができた。試しにUSBケーブルを一般的なものから、特許を取得したクリプトン製「UC-HR」に変更したところ、情報量はさらに増えて音場の広がり感や定位も向上した。
今回のイベントでは、クリプトンが試作したラズパイ・オーディオ専用ケースも披露された。本ケースの天板と底面には、クリプトンの最上級オーディオアクセサリーでも採用されている「ネオフェード・カーボンマトリクス」が用いられ、ケース周囲はステンレス製とした。ネオフェード・カーボンマトリクスは「いかに早く振動を自然減衰させ理想の減衰特性を目指すか」を追求してクリプトンと三菱化学ガスが共同開発した新素材だ。今回、ギリギリで完成した試作機ということでその音を確認することはなかったが、汎用ケースにノイズ抑制シートを貼り付けただけで非常に大きな効果があっただけに、そのサウンドには期待が持てる。なお、本機は試作品につき、価格や、発売するかどうかについても現時点では未定とのことだ。
イベントで、ラズパイオーディオでDSD再生を行うデモ、AirPlay互換機能を使ったApple Musicの再生デモなども行われた。海上氏は音質的なポテンシャルに加えて、iPadから操作できる利便性についても強調していた。また、Raspberry PiはDLNAサーバー/クライアントとして用いることも可能で、さらなる発展性があることも紹介された。
クリプトンのアクティブスピーカー「KSシリーズ」というと、“パソコンの横に置いて使う”というイメージがあったが、ラズパイ・オーディオと組み合わせてiPadか操作すれば、いわゆる「ネットワークオーディオ」的な再生が可能になる。海上氏は導入のハードルの高さは否定しないとしつつ、今後は日本語化や多機能化なども目指したいとコメントしていた。
なお、海上氏による「ラズパイ・オーディオ」イベントは、同じくクリプトンのブースにて、明日17日(土)16:00〜17:30、明後日18日(日)14:30〜16:00にも開催される。音展に足を運ばれる方は、ぜひ自身の耳でラズパイ・オーディオのポテンシャルを確認してほしい。
■最新スピーカー「KX-5P」や各種アクセサリーも一斉展示
クリプトンのブースでは、最新モデル「KX-5P」(関連ニュース)、ハイレゾ対応エントリーモデル「KX-1」、フラグシップモデル「KX-1000P」など、一貫して“密閉型”にこだわった同社スピーカーを一斉展示。USB入力搭載アクティブスピーカー「KSシリーズ」や、同社のオーディオアクセサリー群も展示された。またUSBケーブル「UC-HR」の出願中だった特許が取得されたことも報告されていた。
■「ラズパイ・オーディオ」試聴イベントを実施。専用ケースの試作品も披露
ファイル・ウェブでも度々取り上げてきたワンボードコンピューター“Raspberry Pi”を使った「ラズパイ・オーディオ」。その可能性にいち早く着目し、その構築方法について本誌でレポートを連載。ラズパイ・オーディオの著作も執筆している海上忍氏が講師として登場。「Raspberry Piで愉しむオーディオ」と題した講演を行った。
なぜクリプトンのブースでラズパイ・オーディオ? と疑問に思う方のために説明しておくと、海上氏はその音質面でのポテンシャルを確認するべく今年7月にクリプトンを訪れ、同社オーディオ事業部長の渡邊勝氏に試聴を依頼した。その際、渡邊氏はその音質的な可能性を認め、一方で音質向上のための様々なアイデアについて語ってくれた。
その“アイデア”のひとつが後述する「専用ケース」だったわけだが、まずはそのオーディオ的可能性を広く知ってもらう必要があると、“音展”のクリプトン・ブースで「ラズパイ・オーディオ」のイベントが実施されることになったのだ。
講師を務めた海上氏は、ラズパイ・オーディオに取り組んだ経緯から、いかにしてRaspberry Piでハイレゾ再生を行う基本的な概念からその方法までを紹介した。この点については海上氏によるこちらの記事で詳しく紹介しているので、ここではラズパイ・オーディオの構成をごく単純化して説明しておきたい。
Raspberry Piはいわば小さなパソコン。そこにオーディオ再生に特化したOS(Volumio)を収めたmicro SDを接続することで、「ミュージックプレーヤー」に仕立てる。ここにUSB-DACを接続すればオーディオ再生が可能となる。「パソコン + USB-DAC」を「Raspberry Pi + USB-DAC」に置き換えたと考えればいい。
ただしRaspberry Piにはディスプレイもキーボードもない。そこで操作はWi-Fi接続したiPhoneから行う。Raspberry Pi自体にWi-Fiは内蔵されていないので、Wi-FiモジュールをUSB端子経由で接続する。再生する音源は、USBメモリーに収めて別のUSB端子に接続する。
ラズパイ・オーディオの基本概念を説明した後、その音質はぜひ自身の耳で確かめてもらいたいと再生デモを行った。まずは数百円程度の専用クリアケースに収めたRaspberry Piを、クリプトンのUSB入力搭載・ハイレゾ対応アクティブスピーカー「KS-7HQM」(製品レビュー)と組みあわせ、ハイレゾ音源を再生した。そのサウンドは、PCと組み合わせた再生と遜色のないもので、来場者も素直に驚きを表していた。海上氏は「パソコンと異なりオーディオ再生に特化できる“ラズパイ・オーディオ”は音質的にも優位性があります」と説明していた。
次にケースを変更して音質の変化を検証。ケース自体は汎用品だが、クリプトンが同社製電源タップなどで用いているノイズ抑制シート「バスタレイド」を取り付けたケースに交換して再びハイレゾ再生を行った。するとその大きな音の変化に、来場者も文字通り唸った。サウンドのフォーカスが数段アップして、ベールを数枚剥いだような変化を聴くことができた。試しにUSBケーブルを一般的なものから、特許を取得したクリプトン製「UC-HR」に変更したところ、情報量はさらに増えて音場の広がり感や定位も向上した。
今回のイベントでは、クリプトンが試作したラズパイ・オーディオ専用ケースも披露された。本ケースの天板と底面には、クリプトンの最上級オーディオアクセサリーでも採用されている「ネオフェード・カーボンマトリクス」が用いられ、ケース周囲はステンレス製とした。ネオフェード・カーボンマトリクスは「いかに早く振動を自然減衰させ理想の減衰特性を目指すか」を追求してクリプトンと三菱化学ガスが共同開発した新素材だ。今回、ギリギリで完成した試作機ということでその音を確認することはなかったが、汎用ケースにノイズ抑制シートを貼り付けただけで非常に大きな効果があっただけに、そのサウンドには期待が持てる。なお、本機は試作品につき、価格や、発売するかどうかについても現時点では未定とのことだ。
イベントで、ラズパイオーディオでDSD再生を行うデモ、AirPlay互換機能を使ったApple Musicの再生デモなども行われた。海上氏は音質的なポテンシャルに加えて、iPadから操作できる利便性についても強調していた。また、Raspberry PiはDLNAサーバー/クライアントとして用いることも可能で、さらなる発展性があることも紹介された。
クリプトンのアクティブスピーカー「KSシリーズ」というと、“パソコンの横に置いて使う”というイメージがあったが、ラズパイ・オーディオと組み合わせてiPadか操作すれば、いわゆる「ネットワークオーディオ」的な再生が可能になる。海上氏は導入のハードルの高さは否定しないとしつつ、今後は日本語化や多機能化なども目指したいとコメントしていた。
なお、海上氏による「ラズパイ・オーディオ」イベントは、同じくクリプトンのブースにて、明日17日(土)16:00〜17:30、明後日18日(日)14:30〜16:00にも開催される。音展に足を運ばれる方は、ぜひ自身の耳でラズパイ・オーディオのポテンシャルを確認してほしい。
■最新スピーカー「KX-5P」や各種アクセサリーも一斉展示
クリプトンのブースでは、最新モデル「KX-5P」(関連ニュース)、ハイレゾ対応エントリーモデル「KX-1」、フラグシップモデル「KX-1000P」など、一貫して“密閉型”にこだわった同社スピーカーを一斉展示。USB入力搭載アクティブスピーカー「KSシリーズ」や、同社のオーディオアクセサリー群も展示された。またUSBケーブル「UC-HR」の出願中だった特許が取得されたことも報告されていた。