公開日 2015/10/23 19:18
テクニクス新製品「OTTAVA」「Grandクラス」などを期間限定ショールームで聴いてきた
元「テクニクス銀座ショールーム」の近く
パナソニックは、テクニクスブランドから来年発売される新製品をアピールするプレス向け試聴会を行った。
会場となったのは、銀座の音楽サロン「カンタータ」。1971年から90年まで「テクニクス銀座ショールーム」(通称:テクギン)があった銀座コアにほど近い。テクギンでは7階のフロア一面を使って新製品等がアピールされていたほか、ラジオの公開録音や生放送なども行われていた。また87年からは「パナメディア銀座」としてビデオ関連製品も展示。さらにドライヤー等の美容関連商品も展示することで女性客へのアピールも行っていた。
音楽サロン「カンタータ」は、小編成の室内楽コンサートやシャンソン教室なども行われているレンタルスペース。家庭内の部屋のような空間でCDステレオシステム“OTTAVA”「SC-C500」や新"Grand"クラスのアンプ内蔵ネットワークプレーヤーなどを体験することができた。
■“OTTAVA”は「空間のなかに自然に音がある感じ」がするシステム
CDステレオシステム“OTTAVA”「SC-C500」(2016年1月22日発売・税抜20万円)は、これまであまりオーディオにこだわっていなかった音楽愛好家や、日常生活のなかで音楽を自然に楽しみたいユーザーをメインターゲットにした製品。コンパクトなセンターユニットと広指向性スピーカーで構成されており、インテリアにもマッチするシンプルなデザインとなっている。CEATECや音展に出展した際も、デザイン面の評価が高かったとのことだ。
開発にあたっては、欧州で一般家庭を訪問してリスニングスタイルを調べたり、日本で主婦層に好みをヒアリングしたりといった調査も実施。スイートスポットが広く、部屋の様々な場所で良い音を楽しめる「音楽がリスナーに寄り添う製品」を目指したという。
センターユニットは天面にトップローディング式のCDプレーヤーを搭載。こちらは自動ではなく手動で開け閉めする方式とすることで、アナログレコード再生のように触れて操作する楽しみも感じてもらえるようなつくりに。アンプ部には最上位シリーズ“Referenceクラス”にも採用されているJENO Engineや、LAPC機能も搭載している。
ユニークなのはスピーカー部。コンパクトなサイズながら、ユニットの配置等内部構造を工夫することで、置くだけで部屋中に音が広がって様々な場所で良い音を楽しめるように作られている。100kHzまでの再生が可能な“ハイレゾ対応”モデルでもある。
実際に試聴してみると、そのサウンドはいわゆるピュアオーディオシステムとは少し方向性が違う印象。音が部屋中に広がって、空間のなかに自然に存在しているかのような心地がする。なのでシステムと真っ正面で向き合って音楽を聴くというよりも、リビングに置いてBGM的に音楽を流しながらリラックスする…というように「音楽のある空間と時間を楽しむための製品」であると感じた。
なおOTTAVAは近日中に東京および大阪のパナソニックセンターにも試聴機が用意される予定とのことだ。
■Grandクラスの新製品発表はもう少し先に
また現在開発中であり、2016年度中の発売を予定している新“Grand”クラスのアンプ内蔵ネットワークプレーヤー「SU-G30」とリッピングサーバー「ST-G30」も参考出展された。
Grandクラスはこれまでの“Reference”シリーズと“Premium”シリーズの中間にあたる位置づけで、優れたサウンドと、心地よい音楽体験の実現がコンセプト。価格帯が大きく離れていたReference〜Premiumシリーズのあいだを埋める格好だ。
アンプ内蔵ネットワークプレーヤー「SU-G30」は、最上位機R1シリーズにも搭載されたジッター削減回路「JENO Engine」やLAPC機能を搭載。GaN-FET Driverも引き継いで採用するほか、電源部には新開発のスイッチング電源を搭載した。
USB入力時は最大384kHz/32bit PCM、11.2MHz DSDの再生が可能。DLNA再生も可能。BluetoothやAirPlayなどの機能も備えている。
チーフエンジニアの井谷氏によると、「SU-G30」の音はまだ詰めている段階とのこと。特に電源部は新開発となるため、ノイズの問題等さまざまな対策を行っているという。
リッピングサーバー「ST-G30」は、SSD内蔵でリッピングしたCDのデータを保存するとともにDLNAサーバーとしても機能する。USB端子を搭載し、「SU-G30」とUSB経由で組み合わせての使用も可能だ。内部システムはLinuxベース。DIGAの開発部隊が、精密な信号読み取りが求められるBD再生で培った技術を活用して開発しているという。今日の試聴会ではモックのみの展示となった。
SSDの容量は現在議論中。背面からスロットインする方式で、ユーザーが好みのものを使うことができる。また接続する機器として、他社製USB-DACも使えるよう現在検証中とのこと。そのほかe-onkyo musicからのダイレクトダウンロード機能も搭載する予定だという。
■ヘッドホン「EAH-T700」を試聴
そのほか、ヘッドホン「EAH-T700」(2016年1月22日発売・税抜90,000円)もアピール。ハイレゾ対応ヘッドホンは市場全体で、数量ベースだと1.5%、金額ベースだと10%を占めるまでに成長してきている注目ジャンル。そんななか、テクニクスブランドから最高音質のハイレゾ対応ヘッドホンを出したい…という思いで生まれたモデルだという。
Advanced MLF(マルチ・レイヤー・フィルム)ダイアフラムを採用したφ50mmダイナミックドライバーと、アルミ振動板のφ14mmスーパートゥイーターの2ウェイ構成とし、3Hz〜100kHzまでの再生に対応。2つのドライバーは最適な角度に傾けられており、自然な臨場感を実現するという。
既に山之内 正氏や山本 敦氏によるレビューをお届けしているが、編集部によるインプレッションを一言で言うと「非常にバランスのいいヘッドホン」だ。
今回はCHORDのHugoと組み合わせて聴いたが、低域から高域までスムーズに広がるサウンドは2つのユニットを使っていることを感じさせない。シャッキリとした高音と滑らかな中域、タイトで制動が効いた低域。余計な色づけがないが無味無臭というわけではなく、音楽を聴く楽しみ、音の持つエネルギーを感じさせてくれる。ポップスからクラシックまで幅広いジャンルの音楽を楽しめるモデルだと感じた。
なおインピーダンスはまだ公表されていないが、iPhone直挿しでも充分なサウンドを楽しむことができた。
■ヘッドホン「EAH-T700」を試聴
そのほか非常に貴重かつ興味深い展示として、2002年に発売されたターンテーブル「SL-1200MK5G」の全ての部品を分解して紹介するという試みも行われていた。DJ文化全盛期に、世界中のDJから支持されたモデル。こういった製品を経て、最新モデルとして開発がアナウンスされている新ハイエンドアナログプレーヤーにつながっている…と紹介されていた。
会場となったのは、銀座の音楽サロン「カンタータ」。1971年から90年まで「テクニクス銀座ショールーム」(通称:テクギン)があった銀座コアにほど近い。テクギンでは7階のフロア一面を使って新製品等がアピールされていたほか、ラジオの公開録音や生放送なども行われていた。また87年からは「パナメディア銀座」としてビデオ関連製品も展示。さらにドライヤー等の美容関連商品も展示することで女性客へのアピールも行っていた。
音楽サロン「カンタータ」は、小編成の室内楽コンサートやシャンソン教室なども行われているレンタルスペース。家庭内の部屋のような空間でCDステレオシステム“OTTAVA”「SC-C500」や新"Grand"クラスのアンプ内蔵ネットワークプレーヤーなどを体験することができた。
■“OTTAVA”は「空間のなかに自然に音がある感じ」がするシステム
CDステレオシステム“OTTAVA”「SC-C500」(2016年1月22日発売・税抜20万円)は、これまであまりオーディオにこだわっていなかった音楽愛好家や、日常生活のなかで音楽を自然に楽しみたいユーザーをメインターゲットにした製品。コンパクトなセンターユニットと広指向性スピーカーで構成されており、インテリアにもマッチするシンプルなデザインとなっている。CEATECや音展に出展した際も、デザイン面の評価が高かったとのことだ。
開発にあたっては、欧州で一般家庭を訪問してリスニングスタイルを調べたり、日本で主婦層に好みをヒアリングしたりといった調査も実施。スイートスポットが広く、部屋の様々な場所で良い音を楽しめる「音楽がリスナーに寄り添う製品」を目指したという。
センターユニットは天面にトップローディング式のCDプレーヤーを搭載。こちらは自動ではなく手動で開け閉めする方式とすることで、アナログレコード再生のように触れて操作する楽しみも感じてもらえるようなつくりに。アンプ部には最上位シリーズ“Referenceクラス”にも採用されているJENO Engineや、LAPC機能も搭載している。
ユニークなのはスピーカー部。コンパクトなサイズながら、ユニットの配置等内部構造を工夫することで、置くだけで部屋中に音が広がって様々な場所で良い音を楽しめるように作られている。100kHzまでの再生が可能な“ハイレゾ対応”モデルでもある。
実際に試聴してみると、そのサウンドはいわゆるピュアオーディオシステムとは少し方向性が違う印象。音が部屋中に広がって、空間のなかに自然に存在しているかのような心地がする。なのでシステムと真っ正面で向き合って音楽を聴くというよりも、リビングに置いてBGM的に音楽を流しながらリラックスする…というように「音楽のある空間と時間を楽しむための製品」であると感じた。
なおOTTAVAは近日中に東京および大阪のパナソニックセンターにも試聴機が用意される予定とのことだ。
■Grandクラスの新製品発表はもう少し先に
また現在開発中であり、2016年度中の発売を予定している新“Grand”クラスのアンプ内蔵ネットワークプレーヤー「SU-G30」とリッピングサーバー「ST-G30」も参考出展された。
Grandクラスはこれまでの“Reference”シリーズと“Premium”シリーズの中間にあたる位置づけで、優れたサウンドと、心地よい音楽体験の実現がコンセプト。価格帯が大きく離れていたReference〜Premiumシリーズのあいだを埋める格好だ。
アンプ内蔵ネットワークプレーヤー「SU-G30」は、最上位機R1シリーズにも搭載されたジッター削減回路「JENO Engine」やLAPC機能を搭載。GaN-FET Driverも引き継いで採用するほか、電源部には新開発のスイッチング電源を搭載した。
USB入力時は最大384kHz/32bit PCM、11.2MHz DSDの再生が可能。DLNA再生も可能。BluetoothやAirPlayなどの機能も備えている。
チーフエンジニアの井谷氏によると、「SU-G30」の音はまだ詰めている段階とのこと。特に電源部は新開発となるため、ノイズの問題等さまざまな対策を行っているという。
リッピングサーバー「ST-G30」は、SSD内蔵でリッピングしたCDのデータを保存するとともにDLNAサーバーとしても機能する。USB端子を搭載し、「SU-G30」とUSB経由で組み合わせての使用も可能だ。内部システムはLinuxベース。DIGAの開発部隊が、精密な信号読み取りが求められるBD再生で培った技術を活用して開発しているという。今日の試聴会ではモックのみの展示となった。
SSDの容量は現在議論中。背面からスロットインする方式で、ユーザーが好みのものを使うことができる。また接続する機器として、他社製USB-DACも使えるよう現在検証中とのこと。そのほかe-onkyo musicからのダイレクトダウンロード機能も搭載する予定だという。
■ヘッドホン「EAH-T700」を試聴
そのほか、ヘッドホン「EAH-T700」(2016年1月22日発売・税抜90,000円)もアピール。ハイレゾ対応ヘッドホンは市場全体で、数量ベースだと1.5%、金額ベースだと10%を占めるまでに成長してきている注目ジャンル。そんななか、テクニクスブランドから最高音質のハイレゾ対応ヘッドホンを出したい…という思いで生まれたモデルだという。
Advanced MLF(マルチ・レイヤー・フィルム)ダイアフラムを採用したφ50mmダイナミックドライバーと、アルミ振動板のφ14mmスーパートゥイーターの2ウェイ構成とし、3Hz〜100kHzまでの再生に対応。2つのドライバーは最適な角度に傾けられており、自然な臨場感を実現するという。
既に山之内 正氏や山本 敦氏によるレビューをお届けしているが、編集部によるインプレッションを一言で言うと「非常にバランスのいいヘッドホン」だ。
今回はCHORDのHugoと組み合わせて聴いたが、低域から高域までスムーズに広がるサウンドは2つのユニットを使っていることを感じさせない。シャッキリとした高音と滑らかな中域、タイトで制動が効いた低域。余計な色づけがないが無味無臭というわけではなく、音楽を聴く楽しみ、音の持つエネルギーを感じさせてくれる。ポップスからクラシックまで幅広いジャンルの音楽を楽しめるモデルだと感じた。
なおインピーダンスはまだ公表されていないが、iPhone直挿しでも充分なサウンドを楽しむことができた。
■ヘッドホン「EAH-T700」を試聴
そのほか非常に貴重かつ興味深い展示として、2002年に発売されたターンテーブル「SL-1200MK5G」の全ての部品を分解して紹介するという試みも行われていた。DJ文化全盛期に、世界中のDJから支持されたモデル。こういった製品を経て、最新モデルとして開発がアナウンスされている新ハイエンドアナログプレーヤーにつながっている…と紹介されていた。