公開日 2018/11/06 00:00
大和ハウスが蓄電池の『オーディオ専用電源システム』開発、音質が激変
防音室「奏でる家」
大和ハウス工業(株)は、同社が手がける防音室「奏でる家」向けに、リチウムイオン蓄電池によるオーディオ専用電源供給システムを開発。現在提供を行っている。今回、実際に「奏でる家」および本電源供給システムを導入した東京都・Sさん宅にて内覧会が行われた。
住宅メーカーである大和ハウス工業は、建物と一体設計を行う防音室「奏でる家」を注文住宅の一環として展開。楽器演奏に加えて、オーディオ・ホームシアター用途への訴求も行っている。同社はこの防音室の特徴として「ドラムまで対応できる防音仕様」「広く・明るい空間性」「防音だけでなく優れた音の響きを備える」「建物との一体設計によるローコスト」の4点を挙げている。
この防音室に、同社が提供する家庭用蓄電池システムをオーディオ専用電源として組み合わせるのが、今回発表された「オーディオ専用電源供給システム」となる。
大和ハウスはスマートハウス「SMAEco」として、リチウムイオン蓄電池、太陽光発電システム、独自のホーム・エネルギー・マネジメントシステムなどを組み合わせた住宅を手がけてきた。このオーディオ専用電源供給システムは、SMAEcoによるリチウムイオン蓄電池を活用したもの(従って、オーディオ専用電源供給システム単体での販売は行っておらず、単体の価格設定もない)。リチウムイオン蓄電池搭載の戸建住宅建設の費用に加え、オーディオ専用の電源切り替え基板の価格 約10万円で、システムの導入が可能となる。
なお、本システムはすでに発売中。日本国内では今回公開されたSさん邸を含めて7例の導入実績があるという。
通常の住宅では、リチウムイオン蓄電池は太陽光発電の蓄電や停電時の非常用電源に用いられる。「奏でる家」においては、この電源を切り替え基板によって家庭のその他家電から遮断し、オーディオ専用として用いることになる。
リチウムイオン蓄電池をオーディオ専用電源として用いるメリットも紹介。通常家庭に供給される電源をオーディオに用いる場合、他の部屋での電気の利用状況などによって±6Vの範囲で変動が起こり、電源供給が不安定になってしまうとのこと。これに対して同社の蓄電池においては±1Vの範囲で安定させることができ、ノイズの混入も避けられるという。なお、同社スマートハウスのリチウムイオン蓄電池には、高い品質を誇るELIIY Powerのものが用いられている。
オーディオ用にこの蓄電池を用いるために、蓄電池システムと一般用の分電盤を繋ぐ配線をスイッチで切ることにより擬似的な停電を発生させ、立ち上がった蓄電池の自立出力をオーディオ専用に供給する。蓄電池の容量は6.2kWh。100%の充電を行っていれば、A級アンプを10時間程度駆動させることができるという。
なお、この疑似停電を発生させ、オーディオ専用に最適な電源出力として切り替えるシステムは、大和ハウス工業独自のもの。特許技術も用いられているとのことだ。
同社の玄晴夫氏は「これまでもオーディオ専用室のために、分電盤を別にする、分電盤からオーディオ専用室へのケーブルの品質を向上させる、アース対策を徹底するなどのアプローチを行ってきたが、これらは電源の質の根本解決とはならなかった。蓄電池をオーディオ電源に用いることで、理想の電源環境を実現できる」と説明してくれた。
なお、「奏でる家」のオーディオルームについては、今回の蓄電池によるオーディオ専用電源に加えて、高・低域の周波数別に残響時間を調整できる音響可変アイテム「オーディオチューン」、部屋の角に設置して全帯域にわたるバランスを整える「コーナーチューン」など、オーディオ/ホームシアター向けのルームアコースティック技術を採用。防音室にとどまらない、音響特性に優れた理想的なオーディオルームの開発・提供を行っている。
発表会が行われたSさん宅では、一般電源と蓄電池によるオーディオシステムの聴き比べを行うことができた。
Sさん宅のオーディオルームは、ステレオ再生システムとイマーシブオーディオ対応のホームシアターを併存。ステレオ再生はB&Wのスピーカー「804 D3」とラックスマンのプリメインアンプ「L-509X」を中心に据えている。
加えてホームシアター・システムには、デノンの13chアンプ搭載・旗艦AVアンプ「AVC-X8500H」に、センタースピーカーはB&W「HTM2 D3」、サラウンドおよびサラウンドバックにはB&W「706S2」、サブウーファーがECLIPSE「TD725SWMK2」、さらには天井に6ch分のトップスピーカーを用意した7.1.6chという豪華なシステムとなっている。
まずは一般電源を使って、CDを再生する。そもそもこのオーディオルーム自体が「奏でる家」として、天井高をはじめ部屋の寸法をオーディオ用途に最適化して設計。さらには上述の音響可変アイテム「オーディオチューン」も導入されている。防音室ながら低音の膨張や音の詰まりも感じられず、804 D3 + L-509Xという最新システムの音質をいかんなく発揮しているように感じた。
続いて、専用室の入り口に用意された専用ボタンを押して、リチウムイオン蓄電池によるオーディオ専用電源に切り替える。擬似的な停電が発生させられ、同室のオーディオ用電源はすべて蓄電池から供給されるかたちになる。
蓄電池に切り替わると、一聴してクリアネスが大幅に増して、楽器の音の粒立ちがより明瞭になる。全体として解像度も一段上がったのだが、特に低域の解像度のアップは顕著で、やや聴き取りにくかったベースの音階が明瞭になる。もう一度、元の一般電源に戻すと、その差はやはり明らかだ。一般電源の音だけを聴けば十分にシステムの性能が引き出されていると感じたが、比較するとその差は想像以上に大きかった。
「奏でる家」のメリットは、住宅メーカーである大和ハウス工業が「住宅」の一部として防音室を設計・提供することにある。家そのものと同時にオーディオ専用室を設計するため、寸法など理想的な設計が行え、さらにコストも業界他社と比較して1/3程度で済むという。一方で、家の新築と不可分なため、すでに住宅をお持ちの方が専用室の導入のみを依頼することはできない。
【問い合わせ先】
大和ハウス工業株式会社
総合技術研究所 玄氏
TEL/0742-70-2123
住宅メーカーである大和ハウス工業は、建物と一体設計を行う防音室「奏でる家」を注文住宅の一環として展開。楽器演奏に加えて、オーディオ・ホームシアター用途への訴求も行っている。同社はこの防音室の特徴として「ドラムまで対応できる防音仕様」「広く・明るい空間性」「防音だけでなく優れた音の響きを備える」「建物との一体設計によるローコスト」の4点を挙げている。
この防音室に、同社が提供する家庭用蓄電池システムをオーディオ専用電源として組み合わせるのが、今回発表された「オーディオ専用電源供給システム」となる。
大和ハウスはスマートハウス「SMAEco」として、リチウムイオン蓄電池、太陽光発電システム、独自のホーム・エネルギー・マネジメントシステムなどを組み合わせた住宅を手がけてきた。このオーディオ専用電源供給システムは、SMAEcoによるリチウムイオン蓄電池を活用したもの(従って、オーディオ専用電源供給システム単体での販売は行っておらず、単体の価格設定もない)。リチウムイオン蓄電池搭載の戸建住宅建設の費用に加え、オーディオ専用の電源切り替え基板の価格 約10万円で、システムの導入が可能となる。
なお、本システムはすでに発売中。日本国内では今回公開されたSさん邸を含めて7例の導入実績があるという。
通常の住宅では、リチウムイオン蓄電池は太陽光発電の蓄電や停電時の非常用電源に用いられる。「奏でる家」においては、この電源を切り替え基板によって家庭のその他家電から遮断し、オーディオ専用として用いることになる。
リチウムイオン蓄電池をオーディオ専用電源として用いるメリットも紹介。通常家庭に供給される電源をオーディオに用いる場合、他の部屋での電気の利用状況などによって±6Vの範囲で変動が起こり、電源供給が不安定になってしまうとのこと。これに対して同社の蓄電池においては±1Vの範囲で安定させることができ、ノイズの混入も避けられるという。なお、同社スマートハウスのリチウムイオン蓄電池には、高い品質を誇るELIIY Powerのものが用いられている。
オーディオ用にこの蓄電池を用いるために、蓄電池システムと一般用の分電盤を繋ぐ配線をスイッチで切ることにより擬似的な停電を発生させ、立ち上がった蓄電池の自立出力をオーディオ専用に供給する。蓄電池の容量は6.2kWh。100%の充電を行っていれば、A級アンプを10時間程度駆動させることができるという。
なお、この疑似停電を発生させ、オーディオ専用に最適な電源出力として切り替えるシステムは、大和ハウス工業独自のもの。特許技術も用いられているとのことだ。
同社の玄晴夫氏は「これまでもオーディオ専用室のために、分電盤を別にする、分電盤からオーディオ専用室へのケーブルの品質を向上させる、アース対策を徹底するなどのアプローチを行ってきたが、これらは電源の質の根本解決とはならなかった。蓄電池をオーディオ電源に用いることで、理想の電源環境を実現できる」と説明してくれた。
なお、「奏でる家」のオーディオルームについては、今回の蓄電池によるオーディオ専用電源に加えて、高・低域の周波数別に残響時間を調整できる音響可変アイテム「オーディオチューン」、部屋の角に設置して全帯域にわたるバランスを整える「コーナーチューン」など、オーディオ/ホームシアター向けのルームアコースティック技術を採用。防音室にとどまらない、音響特性に優れた理想的なオーディオルームの開発・提供を行っている。
発表会が行われたSさん宅では、一般電源と蓄電池によるオーディオシステムの聴き比べを行うことができた。
Sさん宅のオーディオルームは、ステレオ再生システムとイマーシブオーディオ対応のホームシアターを併存。ステレオ再生はB&Wのスピーカー「804 D3」とラックスマンのプリメインアンプ「L-509X」を中心に据えている。
加えてホームシアター・システムには、デノンの13chアンプ搭載・旗艦AVアンプ「AVC-X8500H」に、センタースピーカーはB&W「HTM2 D3」、サラウンドおよびサラウンドバックにはB&W「706S2」、サブウーファーがECLIPSE「TD725SWMK2」、さらには天井に6ch分のトップスピーカーを用意した7.1.6chという豪華なシステムとなっている。
まずは一般電源を使って、CDを再生する。そもそもこのオーディオルーム自体が「奏でる家」として、天井高をはじめ部屋の寸法をオーディオ用途に最適化して設計。さらには上述の音響可変アイテム「オーディオチューン」も導入されている。防音室ながら低音の膨張や音の詰まりも感じられず、804 D3 + L-509Xという最新システムの音質をいかんなく発揮しているように感じた。
続いて、専用室の入り口に用意された専用ボタンを押して、リチウムイオン蓄電池によるオーディオ専用電源に切り替える。擬似的な停電が発生させられ、同室のオーディオ用電源はすべて蓄電池から供給されるかたちになる。
蓄電池に切り替わると、一聴してクリアネスが大幅に増して、楽器の音の粒立ちがより明瞭になる。全体として解像度も一段上がったのだが、特に低域の解像度のアップは顕著で、やや聴き取りにくかったベースの音階が明瞭になる。もう一度、元の一般電源に戻すと、その差はやはり明らかだ。一般電源の音だけを聴けば十分にシステムの性能が引き出されていると感じたが、比較するとその差は想像以上に大きかった。
「奏でる家」のメリットは、住宅メーカーである大和ハウス工業が「住宅」の一部として防音室を設計・提供することにある。家そのものと同時にオーディオ専用室を設計するため、寸法など理想的な設計が行え、さらにコストも業界他社と比較して1/3程度で済むという。一方で、家の新築と不可分なため、すでに住宅をお持ちの方が専用室の導入のみを依頼することはできない。
【問い合わせ先】
大和ハウス工業株式会社
総合技術研究所 玄氏
TEL/0742-70-2123