公開日 2022/06/24 15:05
東北勢の躍進光る。第9回「ヨーロピアンカーオーディオコンテスト 東日本会場」レポート
6/19に道の駅うつのみや ろまんちっく村にて開催
6月19日(日)、栃木県宇都宮市の「道の駅うつのみや ろまんちっく村」第3駐車場にて、第9回ヨーロピアンカーオーディオコンテスト・東日本会場が開催された。
ヨーロピアンカーオーディオコンテスト(以下ユーロコン)は、ヨーロッパ系のカーオーディオの輸入商社5社(ジャンラインアンドパートナーズ、佐藤商事、フェリースソニード、エムズライン、トライム)が共同で企画するカーオーディオのコンテスト。5社が取り扱う車載用スピーカーもしくはアンプを搭載する車が参加資格を有する。具体的なスピーカブランドとしてはDYNAUDIO、VENTURE AUDIO、morel、BLAM、ETON、DLS等、アンプとしてはBRAXやHELIX、audison、Sinfoni/QUARTORIGO、mosconi/GLADEN等が該当する。
2019年までは石川県小松市のこまつドームで開催されていたが、新型コロナウイルス蔓延防止の観点から2020年は中止、2021年は西日本大会・東日本大会と2箇所に分けて実施された。2022年も引き続き東西に別れての開催となり、西日本会場は5月15日(日)に兵庫県で開催。ちなみに、課題曲は東西共通で、双方に同じ車をエントリーするのは不可というルールになっている。
大会当日は午前中から気温が上がり、午後には最高気温30度を突破する一方、夕方15時頃からは局所的な雷雨に見舞われるなど、目まぐるしい天候変化の中でのコンテストとなった。しかし、16時半頃には雨も上がり、空には虹がかかる晴れやかな中で表彰式を迎えられる幸運にも恵まれた。
今回のエントリー台数は、Wエントリーも含めて103台。ディーラープロフェッショナルコース、ユーザープロフェッショナルコース(価格レンジによってA、B、Cの3コースに分かれる)に、各ブランド・輸入元別のエキスパートクラスが5コース、全部で9つのコースが用意されている。
改めてカーオーディオコンテストの概要を説明すると、コースごとに2曲の課題曲が与えられ、その曲に合わせてオーディオシステムを作り込んでいく。審査員はその曲を聴いて、「サウンドステージ」や「定位の正確性」「S/N感」といった項目ごとに採点を行い、もっとも合計点の高かった車が優勝となる。東日本会場の審査員は、審査委員長の山之内 正氏を筆頭に、小原由夫氏、土方久明氏、生形三郎氏の4名体制で行われた(鈴木 裕氏は急病のため欠席)。
ユーロコンにおいては、主催5社による「基準車」5台が設けられ、それぞれについて審査委員が評価、コメントを記入したシートが公開されている。基準車の音と審査員のコメントを分析し、いかに上位に食い込む音作りを研究するかということが、カーオーディオショップとエントラントの戦略となる。
記者がユーロコンの取材に赴いたのも2019年以来3年ぶりとなったが、大きな傾向として、トランスポートにさまざまなバリエーションが増えていたことが非常に印象的であった。2019年時にはソニーあるいはAstell&KernのDAPのいずれかを送り出しに使用する車が多かったが、今年はオーディオテクニカの車載プレーヤー「AT-HRP5」、iBassoもしくはFiiOのDAP、はたまたソニーの“キャリアブル”プレーヤー「DMP-Z1」など、多くの工夫が見られたのが面白い。
またUSBを含むデジタルケーブルによるノイズ対策、KOJO TECHNOLOGYの車載用仮想アースといったアクセサリーを効果的に活用し、ノイズ対策やサウンドステージの構築などに工夫を凝らす車も多く見受けられた。
課題曲は、コースによって異なるが、以下の4曲となる
【プロフェッショナルクラス】
【エキスパートクラス】
今回のコンテストでは、青森・イングラフと、岩手・サウンドフリークスの躍進が大きく目立った。全国規模のコンテストでは関西に拠点を置くAV KANSAIの圧倒的な強さが目立つだけに、東日本会場は当初から激戦が予想されていた。ディーラープロフェッショナルコースを審査した小原由夫氏は「ショップのデモカーをきちんと仕上げているお店は、他のコースにおいても上位に食い込んでくる率が高い」と、ショップのチューニングの腕がしっかり出音に反映されていると指摘する。
ショップのデモカーなどをいくつか聴かせてもらったが、非常にハイレベルな戦いになっていることを感じさせた。たとえばバルトークのオーケストラはとにかく音数が多く、なまじのシステムでは楽器の音がマスクされて細部の表現が甘くなってしまうきらいがある。さすが上位に来る車は、鋭い楽器のパッセージをきちんと表出し説得力の高いサウンドを聴かせてくれる。
セリア・ネルゴールは、ヴォーカルの湿度感をどう描き出すか、ベースの沈み込みや高域のきらびやかさをどう表現するかなど、聴きどころが多く難易度の高い楽曲。中域に厚みを持たせヴォーカルを蠱惑的に聴かせるチューニングや、バックのオーケストラの広がりを壮大に描き出す車もあり、さまざまな解釈が見られて非常に興味深い。
表彰式が好天の中で行えたのは僥倖であった。各コースごとに6位から1位まで順位が発表され、審査員が4-6位には賞状を、1位から3位にはトロフィーを手渡していく。ガッツポーズをとって写真や動画撮影など、仲間内で、あるいはライバル同士であってもお互いの健闘を称え合う。今回は惜しくも入賞を逃したが、次回へのリベンジを誓い作戦を練り始める人もいる。
審査委員長の山之内 正氏は講評にて、「定位の正確性をヴォーカルでチューニングしている場合も多いと思うが、オーケストラの楽器の正確な位置関係も重視して欲しい」とコメント。また、低域の立ち上がりなど、時間軸方向の精度の高さも重視しているとし、上位入賞を狙うにあたってはそういったポイントにもより意識を向けて欲しいと強調した。
2023年のユーロコンは、再び東西の会場を統一して全国規模での開催を計画しているという。新任の審査委員として、BENNIE Kのサウンドプロデューサーやレコーディングエンジニアとして活動する峰岸良行氏が加わることも発表された。音作りの現場に長く携わる審査員が加わることで、ユーロコンがどんなふうに進化を遂げるかも、来年以降も非常に楽しみである。
ヨーロピアンカーオーディオコンテスト(以下ユーロコン)は、ヨーロッパ系のカーオーディオの輸入商社5社(ジャンラインアンドパートナーズ、佐藤商事、フェリースソニード、エムズライン、トライム)が共同で企画するカーオーディオのコンテスト。5社が取り扱う車載用スピーカーもしくはアンプを搭載する車が参加資格を有する。具体的なスピーカブランドとしてはDYNAUDIO、VENTURE AUDIO、morel、BLAM、ETON、DLS等、アンプとしてはBRAXやHELIX、audison、Sinfoni/QUARTORIGO、mosconi/GLADEN等が該当する。
2019年までは石川県小松市のこまつドームで開催されていたが、新型コロナウイルス蔓延防止の観点から2020年は中止、2021年は西日本大会・東日本大会と2箇所に分けて実施された。2022年も引き続き東西に別れての開催となり、西日本会場は5月15日(日)に兵庫県で開催。ちなみに、課題曲は東西共通で、双方に同じ車をエントリーするのは不可というルールになっている。
大会当日は午前中から気温が上がり、午後には最高気温30度を突破する一方、夕方15時頃からは局所的な雷雨に見舞われるなど、目まぐるしい天候変化の中でのコンテストとなった。しかし、16時半頃には雨も上がり、空には虹がかかる晴れやかな中で表彰式を迎えられる幸運にも恵まれた。
今回のエントリー台数は、Wエントリーも含めて103台。ディーラープロフェッショナルコース、ユーザープロフェッショナルコース(価格レンジによってA、B、Cの3コースに分かれる)に、各ブランド・輸入元別のエキスパートクラスが5コース、全部で9つのコースが用意されている。
改めてカーオーディオコンテストの概要を説明すると、コースごとに2曲の課題曲が与えられ、その曲に合わせてオーディオシステムを作り込んでいく。審査員はその曲を聴いて、「サウンドステージ」や「定位の正確性」「S/N感」といった項目ごとに採点を行い、もっとも合計点の高かった車が優勝となる。東日本会場の審査員は、審査委員長の山之内 正氏を筆頭に、小原由夫氏、土方久明氏、生形三郎氏の4名体制で行われた(鈴木 裕氏は急病のため欠席)。
ユーロコンにおいては、主催5社による「基準車」5台が設けられ、それぞれについて審査委員が評価、コメントを記入したシートが公開されている。基準車の音と審査員のコメントを分析し、いかに上位に食い込む音作りを研究するかということが、カーオーディオショップとエントラントの戦略となる。
記者がユーロコンの取材に赴いたのも2019年以来3年ぶりとなったが、大きな傾向として、トランスポートにさまざまなバリエーションが増えていたことが非常に印象的であった。2019年時にはソニーあるいはAstell&KernのDAPのいずれかを送り出しに使用する車が多かったが、今年はオーディオテクニカの車載プレーヤー「AT-HRP5」、iBassoもしくはFiiOのDAP、はたまたソニーの“キャリアブル”プレーヤー「DMP-Z1」など、多くの工夫が見られたのが面白い。
またUSBを含むデジタルケーブルによるノイズ対策、KOJO TECHNOLOGYの車載用仮想アースといったアクセサリーを効果的に活用し、ノイズ対策やサウンドステージの構築などに工夫を凝らす車も多く見受けられた。
課題曲は、コースによって異なるが、以下の4曲となる
【プロフェッショナルクラス】
【エキスパートクラス】
今回のコンテストでは、青森・イングラフと、岩手・サウンドフリークスの躍進が大きく目立った。全国規模のコンテストでは関西に拠点を置くAV KANSAIの圧倒的な強さが目立つだけに、東日本会場は当初から激戦が予想されていた。ディーラープロフェッショナルコースを審査した小原由夫氏は「ショップのデモカーをきちんと仕上げているお店は、他のコースにおいても上位に食い込んでくる率が高い」と、ショップのチューニングの腕がしっかり出音に反映されていると指摘する。
ショップのデモカーなどをいくつか聴かせてもらったが、非常にハイレベルな戦いになっていることを感じさせた。たとえばバルトークのオーケストラはとにかく音数が多く、なまじのシステムでは楽器の音がマスクされて細部の表現が甘くなってしまうきらいがある。さすが上位に来る車は、鋭い楽器のパッセージをきちんと表出し説得力の高いサウンドを聴かせてくれる。
セリア・ネルゴールは、ヴォーカルの湿度感をどう描き出すか、ベースの沈み込みや高域のきらびやかさをどう表現するかなど、聴きどころが多く難易度の高い楽曲。中域に厚みを持たせヴォーカルを蠱惑的に聴かせるチューニングや、バックのオーケストラの広がりを壮大に描き出す車もあり、さまざまな解釈が見られて非常に興味深い。
表彰式が好天の中で行えたのは僥倖であった。各コースごとに6位から1位まで順位が発表され、審査員が4-6位には賞状を、1位から3位にはトロフィーを手渡していく。ガッツポーズをとって写真や動画撮影など、仲間内で、あるいはライバル同士であってもお互いの健闘を称え合う。今回は惜しくも入賞を逃したが、次回へのリベンジを誓い作戦を練り始める人もいる。
審査委員長の山之内 正氏は講評にて、「定位の正確性をヴォーカルでチューニングしている場合も多いと思うが、オーケストラの楽器の正確な位置関係も重視して欲しい」とコメント。また、低域の立ち上がりなど、時間軸方向の精度の高さも重視しているとし、上位入賞を狙うにあたってはそういったポイントにもより意識を向けて欲しいと強調した。
2023年のユーロコンは、再び東西の会場を統一して全国規模での開催を計画しているという。新任の審査委員として、BENNIE Kのサウンドプロデューサーやレコーディングエンジニアとして活動する峰岸良行氏が加わることも発表された。音作りの現場に長く携わる審査員が加わることで、ユーロコンがどんなふうに進化を遂げるかも、来年以降も非常に楽しみである。