公開日 2022/09/07 07:00
オールノイマンスピーカーでイマーシブサウンドを体験! 渋谷での期間限定イベントをレポート
「KH80 DSP」でAURO-3D音源を体験
渋谷のイベントスペースLUSH HUBに、オールノイマンスピーカーによるイマーシブオーディオを体験できるスペース「Neumann Surround Studio supported by WOWOW」が7月5日から7月29日までの期間限定開催されていた。このスペースは、イマーシブオーディオの楽しさを広げたいという思いから、ゼンハイザージャパン(ノイマンは現在ゼンハイザーの傘下にある)、メディア・インテグレーション(LUSH HUBの運営元)、そしてWOWOWの3社がタッグを組んでスタートさせたもの。
「Neumann Surround Studio supported by WOWOW」は、LUSH HUB内にある6畳ほどのBlue Roomという小部屋に設置されていた。高さ方向のシステムを構築するため金属のポールで各辺3mほどのキューブを組み立て、ノイマンの「KH80 DSP」というスピーカーを15基、サブウーファー「KH750 DSP」を1基配置している。
イマーシブオーディオはヘッドホン再生を狙って作られる場合もあるが、もちろんスピーカーでも再生できる。しかし、スピーカーを天井や上方向にも設置しなければならないため、なかなかそれを再現できる環境が少なかった。メディア・インテグレーションのラボなどハイエンドなシステムは存在するが、ユーザーが気軽にイマーシブオーディオを楽しんでもらえる環境を作りたいと考え、まずは限定イベントとしてスタートしたのだという。
最初にスピーカーの配置について説明すると、フロントに3基(レフト、センター、ライト)、視聴位置の真横に2基(レフト、ライト)、リアに2基(レフト、ライト)と水平方向に合計7基。高さ方向に5基(フロントハイト3基、リアハイト2基)。さらに、下方向に左右2基。トップセンター(頭の真上)に1基。
すでに頭がごちゃごちゃになりそうだが、これらのスピーカーを全部一度に使うとは限らない。というのも、昨今注目されるイマーシブオーディオのフォーマットには、ドルビーアトモス、360Reality Audio、AURO-3Dの3種類があり、それぞれで必要とするスピーカーの数や配置が異なるためだ。
メディア・インテグレーションのスタッフ、嶋田直登さんのナビゲートにより、まずはWOWOWが提供している「ωプレーヤー」を使用し、バチカン国際音楽祭でサン・ピエトロ大聖堂で収録された「ヴェルディ:レクイエム」AURO-3Dの音源を再生してもらう。
過去にもWOWOWの試聴室や山之内氏の自宅システムでも体験させてもらったものだが、改めて教会の豊かな響きがイマーシブオーディオでは深く感じられて、音楽に全身が包み込まれるような感覚を味わわせてくれる。特にヨーロッパの大聖堂は、石造りによる反響や高い天井など、会場そのものに音を豊かに響かせる秘密が隠されている。その会場の雰囲気そのものを再現できることは、イマーシブオーディオならではの大きな強みがある。
しかも、今回はすべてノイマンの同一スピーカーで統一されているため、ハイトやリア方向のつながりの自然さや音色の統一感、広がりの豊かさはこれまでに感じたことのない世界であった。すべてのスピーカー(ユニット)を統一することで、より自然なイマーシブオーディオ環境を構築できることがよく理解できた。たとえば熱海海上花火大会の音源では、花火の爆発音の立ち上がりも鋭く、人々のざわめきなどの距離感もよく再現されている。
今回のKH80 DSPは、25mmトゥイーターと100mmウーファーを搭載する2ウェイ機で、それぞれ70W(トゥイーター)、120W(ウーファー)のアンプを内蔵する。ちなみにDSPという名の通り、設置環境に合わせたルーム補正も可能となっている。
1950年代前後からステレオという再生方式が広がりを見せて以降、60年以上もかけて2本のスピーカーによって奥行きや高さ方向を表現する技法も洗練させてきた。しかし、イマーシブオーディオというツールを手に入れたことで、音楽制作に新たな可能性が生まれてきているのだ。
DAWのプラグインの発展により制作環境も整ってきている。音楽制作サイドとしても、これまでステレオ再生では、複数の楽器の音が重なり音域がかぶってしまうのを整えたり、ピークにリミッターをかけないといけないこともあったところが、イマーシブではそういった操作なく、「より自然なサウンド」が実現できるというメリットもあるという。
ちなみにKH80 DSPは1台3.4kgとさして重たいわけでもないため、天井へ取り付けるのもそれほど難しくない(専用のブラケットなども用意されている)。価格は1本約65,000円で、15本導入しても約100万円程度だ。ステレオスピーカー+アンプをそれなりのグレードのもので揃えるとやはりそれくらいはかかってしまうので、はじめからイマーシブオーディオを狙ったシステムを構築すると考えると、案外現実的なソリューションと言えるのかもしれない。
今回の「Neumann Surround Studio supported by WOWOW」は7月29日までで一旦終了してしまったが、主催者側も驚くほどの反響が得られたという。イマーシブオーディオの製作に関わるエンジニアはもちろん、DTMを活用し音楽制作に携わるミュージシャン、最新技術や音質に関心の高い一般のオーディオファンとさまざまなバックボーンを持つ方が来場したとのこと。
今回の予想以上の反響を受け、今後もイマーシブの体験の場を継続的に仕掛けていきたいと考えているという。イマーシブオーディオによるクリエイティビティをさらに広げるためにも、彼らの今後の取り組みも期待したい。
「Neumann Surround Studio supported by WOWOW」は、LUSH HUB内にある6畳ほどのBlue Roomという小部屋に設置されていた。高さ方向のシステムを構築するため金属のポールで各辺3mほどのキューブを組み立て、ノイマンの「KH80 DSP」というスピーカーを15基、サブウーファー「KH750 DSP」を1基配置している。
イマーシブオーディオはヘッドホン再生を狙って作られる場合もあるが、もちろんスピーカーでも再生できる。しかし、スピーカーを天井や上方向にも設置しなければならないため、なかなかそれを再現できる環境が少なかった。メディア・インテグレーションのラボなどハイエンドなシステムは存在するが、ユーザーが気軽にイマーシブオーディオを楽しんでもらえる環境を作りたいと考え、まずは限定イベントとしてスタートしたのだという。
最初にスピーカーの配置について説明すると、フロントに3基(レフト、センター、ライト)、視聴位置の真横に2基(レフト、ライト)、リアに2基(レフト、ライト)と水平方向に合計7基。高さ方向に5基(フロントハイト3基、リアハイト2基)。さらに、下方向に左右2基。トップセンター(頭の真上)に1基。
すでに頭がごちゃごちゃになりそうだが、これらのスピーカーを全部一度に使うとは限らない。というのも、昨今注目されるイマーシブオーディオのフォーマットには、ドルビーアトモス、360Reality Audio、AURO-3Dの3種類があり、それぞれで必要とするスピーカーの数や配置が異なるためだ。
メディア・インテグレーションのスタッフ、嶋田直登さんのナビゲートにより、まずはWOWOWが提供している「ωプレーヤー」を使用し、バチカン国際音楽祭でサン・ピエトロ大聖堂で収録された「ヴェルディ:レクイエム」AURO-3Dの音源を再生してもらう。
過去にもWOWOWの試聴室や山之内氏の自宅システムでも体験させてもらったものだが、改めて教会の豊かな響きがイマーシブオーディオでは深く感じられて、音楽に全身が包み込まれるような感覚を味わわせてくれる。特にヨーロッパの大聖堂は、石造りによる反響や高い天井など、会場そのものに音を豊かに響かせる秘密が隠されている。その会場の雰囲気そのものを再現できることは、イマーシブオーディオならではの大きな強みがある。
しかも、今回はすべてノイマンの同一スピーカーで統一されているため、ハイトやリア方向のつながりの自然さや音色の統一感、広がりの豊かさはこれまでに感じたことのない世界であった。すべてのスピーカー(ユニット)を統一することで、より自然なイマーシブオーディオ環境を構築できることがよく理解できた。たとえば熱海海上花火大会の音源では、花火の爆発音の立ち上がりも鋭く、人々のざわめきなどの距離感もよく再現されている。
今回のKH80 DSPは、25mmトゥイーターと100mmウーファーを搭載する2ウェイ機で、それぞれ70W(トゥイーター)、120W(ウーファー)のアンプを内蔵する。ちなみにDSPという名の通り、設置環境に合わせたルーム補正も可能となっている。
1950年代前後からステレオという再生方式が広がりを見せて以降、60年以上もかけて2本のスピーカーによって奥行きや高さ方向を表現する技法も洗練させてきた。しかし、イマーシブオーディオというツールを手に入れたことで、音楽制作に新たな可能性が生まれてきているのだ。
DAWのプラグインの発展により制作環境も整ってきている。音楽制作サイドとしても、これまでステレオ再生では、複数の楽器の音が重なり音域がかぶってしまうのを整えたり、ピークにリミッターをかけないといけないこともあったところが、イマーシブではそういった操作なく、「より自然なサウンド」が実現できるというメリットもあるという。
ちなみにKH80 DSPは1台3.4kgとさして重たいわけでもないため、天井へ取り付けるのもそれほど難しくない(専用のブラケットなども用意されている)。価格は1本約65,000円で、15本導入しても約100万円程度だ。ステレオスピーカー+アンプをそれなりのグレードのもので揃えるとやはりそれくらいはかかってしまうので、はじめからイマーシブオーディオを狙ったシステムを構築すると考えると、案外現実的なソリューションと言えるのかもしれない。
今回の「Neumann Surround Studio supported by WOWOW」は7月29日までで一旦終了してしまったが、主催者側も驚くほどの反響が得られたという。イマーシブオーディオの製作に関わるエンジニアはもちろん、DTMを活用し音楽制作に携わるミュージシャン、最新技術や音質に関心の高い一般のオーディオファンとさまざまなバックボーンを持つ方が来場したとのこと。
今回の予想以上の反響を受け、今後もイマーシブの体験の場を継続的に仕掛けていきたいと考えているという。イマーシブオーディオによるクリエイティビティをさらに広げるためにも、彼らの今後の取り組みも期待したい。