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公開日 2024/11/06 17:00

ハイエンド・ブックシェルフスピーカーの新たな息吹。音楽職人が立ち上げた新興英国ブランド・KUDOS

タイムロードの試聴室にて体験
ファイルウェブオーディオ編集部・筑井真奈
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日本初上陸の英国スピーカーブランド・KUDOS



タイムロードは、今年から新たにイギリスの「KUDOS(キュードス)」というスピーカーブランドの取り扱いを開始した。今回日本初上陸のブランドとなるため、どのような背景や技術を持ったブランドなのか、タイムロード社長の平野氏に詳しい話を聞いてみた。


KUDOSスピーカーの開発を手がけるのは、家具職人の家系で、音楽を深く愛する一家に育ったデレク・ギリガン氏。彼はもともと、兄のトレバー・ギリガン氏とともにPAエンジニアとしてキャリアをスタートしたという。

だが、アーティストについてツアーで全国を回らなければならないことに限界を感じたデレク氏は、よりHiFiオーディオへの関心を高め、Neat Acousticsに入社。いくつかのブックシェルフスピーカーの開発に携わった。そんな彼が自分の理想のサウンドを追求するために、KUDOSブランドに参画。KUDOSはもともとはスピーカースタンドを手掛けていたブランドだったが、彼がジョインすることで本格的なスピーカー開発に着手することになった。

平野氏によると、海外のショウでCHORD(コード)のエレクトロニクスと組み合わせて使われていたことから、以前から注目していたブランドだという。今年のミュンヘン・ハイエンドで改めて音を聴いて深く納得し、国内でも導入を決意したのだそうだ。

ミュンヘン・ハイエンドでのKUDOSのブースの様子。CHORDのアンプと組み合わせている

サイドパネルを装備するデザインは全機種共通



現在のKUDOSのラインナップは、“TITANシリーズ” と呼ばれる4モデルのみ。ブックシェルフ型の「TITAN 505」、フロア型の「TITAN 606」「TITAN 707」「TITAN 808」の3モデルである。

ブックシェルフ型の「TITAN 505」(2,860,000円/ペア・税込)。ユニットが装備されたメインキャビネットに、サイドパネルが装着されている

デザインコンセプトは全て共通で、中央のユニットが装着されたキャビネットの左右に、サイドパネルが配置されている。実はこのサイドパネル、ピッタリくっついているのではなくわずかに隙間が設けられており、ユニットの振動を伝えにくいように設計されているという。

キャビネット素材はウッドで、側面の木目も美しい。角を落としたダイヤモンドカットのようなデザインも特徴で、フロア型の足元にはアルミを配置、強靭なスパイクも装備されている。

TITAN 707の足元。底面は斜めにカットされたデザインでアルミプレートを配置。スパイクも同梱されている

ユニット構成は、808以外の3モデルに関してはトゥイーターとミッドウーファーの2ウェイ設計。ノルウェーのユニットメーカーSeasとの共同開発によるものだという。808のみ、下部に分離されたサブウーファーが追加されている。スピーカー設計の考え方としては非常にシンプル。クロスオーバーなどの詳細は非公開だそうだが、シンプルなネットワーク回路で、ミッドウーファーが多くの帯域を担うように設計されているという。

Seasとの共同開発したウーファーユニット。中央には花びらのようなブランドのロゴがあしらわれている

表からはまったく見えないが、実は低域にアイソバリック方式を採用しており、ミッドウーファーの裏側に同口径のユニットがもう1つ配置されている。ポートはバスレフ方式で、それぞれユニット底面に装着されている。また背面端子はバナナのみ対応可能となっている。

「TITAN 707」の内部構造。ウーファーユニットの裏に同口径のユニットを配置したアイソバリック方式を採用する

ハイエンド・ブックシェルフの新たな可能性



タイムロードの試聴室で、TITAN 505とTITAN 707のサウンドを体験させてもらったので、簡単にインプレッションをお届けしよう。アンプにはCHORDの「ULTIMA3」をモノラルで組み合わせ、roonでの再生を行った。

タイムロードの試聴室にて「TITAN 505」を試聴!

ブックシェルフのTITAN 505の完成度の高さにはちょっと驚く。ディテール豊かな空間の再現性と、肉厚な中域再現力が印象的。音楽に包まれるかのようなサウンドステージで、それでいて音の輪郭がしっかり立っており解像感も良好。マッシブなEDMサウンドの、ドスの効いた低域も余裕で鳴らし込んでくる。ハイエンド・ブックシェルフの新たな可能性と感じさせてくれた。

TITAN 707についても音質の方向性は同じだが、低域は一段と締まりをきかせて、混濁しがちな低音階もよく聴こえてくる。ジョン・ウィリアムス&サイトウ・キネンによる「インペリアルマーチ」では、コントラバスの木質感がまさにアコースティックで有機的な響きを帯びる。

続けてフロア型の「TITAN 707」(4,950,000円/ペア・税込)も試聴

平野氏も「音で判断して欲しいスピーカーです」と自信を見せる。「全国のお店さんにも持ち込んで聴いていただいたのですが、非常に評価も高く手応えを感じています」とのこと。

TITAN 707の背面端子。バナナプラグのみ装着可能。またその上は後述するチャンネルデバイダーを使ってマルチアンプを実現する際に使用する

またちょっと面白い試みとして、別売りでパッシブタイプのチャンネルデバイダー「Sigao Drive」も発売予定。スピーカーの背面にはダイレクト接続端子が用意されており、チャンデバと接続してマルチドライブシステムの構築も可能だというのだ。LINNやDevialet、Naimのアンプにはプリセットが用意されているそうで、簡単にマルチアンプシステムとしてアップデートすることができるという。

別売りのチャンネルデバイダー「Sigao Drive」

11月9日(土)には、秋葉原・ダイナミックオーディオ5555 4Fにて、KUDOSも含めた4社の新興スピーカーブランドの試聴会も予定されているとのこと。ハイエンド・スピーカーの新しい息吹にぜひ耳を傾けてほしい。

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