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公開日 2003/01/01 11:39

Senka21 1月号<スペシャルインタビュー> Part.1

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ワーナー・ホーム・ビデオ 原田 健氏 (左)/ワーナーこの冬の話題作、黒澤明監督作品『夢』(右)
●12月26日にスーパー・ハリウッド・プライス第4弾を投入したワーナー・ホームー・ビデオ。 同時並行で進めて来たローコストオペレーションも形となり、 これからはDVD文化の再構築へ全力投球していく。 販売店とも密接な関係を築き、お客様に対するアピール度をさらに高めていく構えだ。

〜販売店と協力して 展示面もパワーアップ 名作DVDとの出会いの場を創造する〜

◆ワーナー・ホーム・ビデオ 日本代表 原田 健氏
◇インタビュー・麻野 勉

―― セル、レンタルともにDVDがすっかり本格化し、ソフトメーカー各社の今後の取り組みが大いに注目されますね。  

原田 当社では現在、ビジネスの40%強がVHS、60%弱がDVDです。また、新作とカタログ(既発売商品)とでは半々くらいの構成比です。新製品は映画次第というところが大きく、いい映画があれば売れますから、カタログに対してどう積極的に取り組み、ビジネスの基盤を大きくしていけるかが大きなテーマだと思います。  

―― 最近はDVDソフトのフロアでも、各社の低価格商品が大変目に付くようになりました。  

原田 我々としても、この点は今後もきちんとやっていきます。ただ、多くの会社がやり始めたものですから、今度はその中からもう一度抜け出して、違う場所でどう見せられるかを考えています。そこで年末に向けて、15インチ液晶テレビ付きの棚を約1000台用意し、導入を始めました。基幹店約5000店に導入していきたいと思います。  

DVDはあくまで映像文化ですから、新しいから面白いのではなく、むしろ、過去の名作のDVDにどう出会えるかが大切だと考えています。我々ソフトメーカーが、DVDという文化的メディアの価値観をどうつくっていけるか。そのためには、お客様にどのような形で、過去の映像資産に出会っていただけるかが重要です。今回、店内にモニターを入れさせていただこうと考えたのも、店頭で見ていただくのが、やはり一番早いですからね。店の中で、我々の商品が置いていただけるだけのバリューをいかに上げていけるかに力を入れていきたいと思います。  

―― 他と同じことをしていたのではダメだと。  

原田 実は、50インチのプラズマ・ディスプレイも50店に導入しました。そのためのお願いは大変シンプルで、ワーナーの作品を1年間流していただくこと。店内はもちろん、店の外へ向けて置いたり、『ハリー・ポッター』のような大型商品が出た場合には、専用什器の中央に据えてインパクトを持たせたりなど、大画面・高画質を活かした様々な演出が可能になると思います。

各販売店の事情に合わせて、メーカーが協力し、展示のパワーアップを図ることがひとつの課題だと考えています。今後はもう少し小さなディスプレイの導入も考えており、お客様に商品に出会っていただける機会をもっと充実させていきたいと思います。

―― ハードもレンタルも右肩上がりですし、DVDソフト市場は、来年もさらに広がりそうですね。  

原田 先日社内の視聴室に大型のプロジェクターを入れました。280インチの大画面でDVDソフトが見られるのですが、これも、まずは自分たちがDVDを楽しみ、そのポテンシャルを理解することが必要だと思ったからなんです。DVDの持つ能力が十分に理解されないままに、次のフォーマットが提案されています。やっと、大好きなナタリー・ドロンの『個人教授』がDVDで見られるようになったのに、です(笑)。長いこと待ち望んでいた作品がどんどん登場しようとしています。しかも、DVDなら280インチに伸ばしても美しく見ることができる。我々自身が自信を持って、楽しんで、DVDのメディアとしての可能性をもう一度考えていきたいと思っています。  

―― ブロードバンド化が進む中で注目されている、ビデオ・オン・デマンド(VOD)がDVDに及ぼす影響については、どのように考えていますか。  

原田 大作・新作と言われるものは、ペイパービューにしても、VODにしても、移行することにさほど問題はない。事業として考えた場合に、採算のとれるビジネスモデルにできる可能性があるからです。ところが、例えば、『戦艦ポチョムキン』ですとか、私が好きな『国境は燃えている』などの映画が、VODになって採算がとれる時代が来るとは考えにくい。オーサリングだけでも費用がかかる上に、ビデオストリームのビジネスとして成り立たせるためには、それを蓄積するサーバーを新たに構築して、大規模なネットワークをつくらなければならないからです。その意味からも、DVDには大きな役割があり、それを担うだけの能力があると思います。  

―― 低価格DVDが、市場活性化に大いに貢献していますが、御社ではコストダウンの仕組みにもかなり力を入れていますね。  

原田 ここ1年、コスト削減の様々な取り組みを行ってきました。例えば、オーサリングでは、過当競争による設備の過剰投資を背景に、問題は時間だけだということがわかりました。新作のように、今日頼んで3日後にとなると恩恵はありませんが、カタログのように、1週間、1ヵ月後でよければ大幅にコストを下げられる。字幕は付けるが、吹き替えはしないといったことまでやると、従来はミニマムの生産枚数が1万枚くらい必要だったものが、500枚や1000枚でも利益がとれる世界が見えてきました。  

さらに、物流コストの低減やDVDのトールケースのコストも下げるなど、DVDの製造コストという点では、恐らく当社が業界で一番の競争力があると確信しています。当社はDVDソフトを2002年に1200万枚製造しましたが、2003年はそれ以上になるのは必至です。DVDのメディアの製造費という基本的な部分でもかなりのコストダウンが期待できます。これら商品の製造・物流に関するあらゆる費用の低減活動を1年間徹底して行ってきた結果、低価格で最初から出したとしても、500枚から1000枚あれば利益を出せる体制ができあがりました。(senka21編集部) 続く

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