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公開日 2003/08/08 15:50
三洋、地上波デジタルを受信可能な携帯電話を発表(1)−内蔵メモリーへの録画機能も−
縦画面と横画面の2通りで視聴が可能。横画面では画面をいっぱいに使ったフル画面表示ができる。縦画面ではデータ放送コンテンツを画面下部に表示可能 |
先日、NECが地上波デジタル放送を受信可能な携帯電話を発表したが、本試作機はそれに続いての発表となる。
地上波デジタル放送は今年の12月から東名阪でサービスが開始される予定。地上波デジタル放送では、一般家庭で受信できる「固定受信」と自動車などで受信する「移動受信」、携帯電話などで受信する「携帯受信」の3つのサービスが行われる予定だが、このうち12月からスタートするのは固定受信のみで、携帯受信はまだサービス開始時期が決まっておらず、早くとも2005年以降の開始となりそうだ。
本試作機はダイバーシティ受信方式を採用。本体外側に設けられた大型のアンテナと、イヤホンに内蔵されたアンテナの2つを使い、出力を合成することでレベル変動を少なくし、安定した受信が可能となる。
また、受信したRF信号を、中間周波数信号を介さずに直接ベースバンド信号に変換する「ダイレクトコンバージョン方式」を採用。これにより、受信モジュールの信号を切手サイズまで小型化した。
ディスプレイは2.2インチの有機ELを採用。解像度は176×220ドット。映像は縦画面・横画面の切り替えが可能で、横画面ではフル画面での映像が楽しめる。今回は有機ELを採用したが、商品の発売時には、液晶も含めて検討し直し、最適なものを採用する考えだ。
さらに、128MBのフラッシュメモリを内蔵し、512kbps時で約30分の録画が可能。記録コンテンツは今のところ10タイトルまでという制限が設けられている。今回は内蔵型のフラッシュメモリだが、将来的にはSDメモリーカードスロットを設けることを検討しているという。また、追いかけ再生への対応についても「技術的には十分可能。ぜひ検討したい」とのことだ。
気になるバッテリーの持続時間は、フル充電時で約90分の地上波デジタル放送連続受信が可能。ちなみに、NECの試作機は1時間強だから、本試作機はそれより長い時間の視聴が可能ということになる。三洋電機では、ユーザー調査の結果、連続視聴時間60分以上が一つの目安としており、「目標には近づいているが、さらにバッテリー容量向上と低消費電力化を押し進めたい」と語った。
本試作機はCDMA2000 1x対応だが、「W-CDMAやPHSなどへの組み込みも可能」という。11万画素のCCDカメラを2機搭載するなど、現行の携帯電話とスペックはほぼ同じ。
価格については、「若干の値上がりはあるが、それほど高くはならない」とし、6〜7,000円程度の値上げが目安としたNECとほぼ同様の見解を示した。
発表会の後半には、実際にダイポールアンテナから送信された映像を、本試作機で映し出すデモが行われた。動画はMPEG4 Simple Profile L1、QVGAの15fps。音声はMPEG2 AAC(サンプリング24.48kHzステレオ/モノラル)を使用。特に横画面での映像は画面が大きく、縦画面よりストレスを感じない。有機ELディスプレイなので視野角も広く、ほぼ真横からでもしっかり視聴できた。
なお、本試作機による放送受信デモが、10月7日〜11日に幕張メッセにて開催される「CEATEC JAPAN2003」会場にて行われる予定。
本発表会席上で行われた質疑応答の全問全答を、別項でご紹介する。
(Phile-web編集部)