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公開日 2003/10/09 20:53
“DVDフォーラム・日本コンファレンス”開催。次世代DVD、DVD-ARの進捗状況
DVD-ARで録画したコンテンツを、静止画とテキストの再生を交えてデモした |
WG5のビジョンとしては、現行DVD-RAMの4.7GBの3倍速から、5倍速への高速化とともにコンパチビリティの確保を目指しているということだ。新しい話題では、5×にするとCAVが可能になるという(現行はnon-CAV)。CAVは回転数を変えることがなくなるので、静寂なドライブの商品化や、より高速なアクセスが可能になってくる。ちなみに、WG5の報告では、DVDビデオカメラで採用されている、80mmDVDのフォルダーの修正なども報告された(ver.2.11)。
WG6は、今年に入ってからの8×DVD-Rと、4×DVD-RWの規格化をすすめてきた。今月中にWG6のドラフトとして配布する予定であるという。いずれにしても、さらに高速ダビングを可能とするDVDレコーダーが来年以降に登場してくる環境が整ってきた。
つづく、著作権管理関連の説明のあと、「DVD Audio Recording規格概要とデモンストレーション」が行われた。これも注目の話題である。説明は、TG4-2 Chair companyである松下電器産業(株)のAVコア技術開発センター 音響グループ 音響第1チーム 主席技師 新保 正利氏によってなされた。
DVD-Audio Recording規格(以下、DVD-AR)は、DVD-Audio規格とセットで、DVD-Audioの高品質コンテンツをDVDの録画用ディスクに記録するものである。ここで誤解してはいけないのは、DVD-ARは、DVDレコーディング規格のディスクを使ったオーディオレコーディングフォーマットである。つまりパッケージメディアのDVD-Audio専用という意味ではなく、DVD-RAMやDVD-RW、DVD-Rに、CDや放送コンテンツなどの音声コンテンツも記録することができる規格である。また高品質な記録以外にも、EMDなどからの圧縮Audioコンテンツも記録できる。圧縮記録を使えば、最大1,000曲もの収録も可能となる。
さらにDVD-ARは、JPEG静止画とテキストをオプションサポートしているので、オーディオに付随する関連コンテンツ記録もできる。オーディオが途切れることのない、バッファーを使用した静止画再生のしくみも用意されている。テキストはコンテンツプロバイダーが提供するテキストのほか、ユーザー自身が作成するテキストも記録できる。またテキストは2種類の言語記述をサポートしている。もちろん著作権管理のためのセキュアな環境をも提供するのは、いわずもがなである。
音声フォーマットは、なんと6種類の圧縮オーディオコーデックをサポートしている。LPCMだとCDレベルで6時間、PPCMで11時間、最大圧縮コーデックでは80時間もの録音ができることになる。この6種類のオーディオコーデックは、DVDディスクにおいては全コーデックがオプショナルとなっている。つまり、これでは再生互換はないということになる。そこで規格では、エンコーダーとデコーダーはLPCMかPPCMが「Mandatory」とされている。これによりメーカーは、LPCMかPPCMのエンコーダー/デコーダーを積んで再生互換機能を採るか、最高圧縮だけを重視して長時間録音レコーダーを作るか、という選択ができるようになっている。
ユーザーは一曲ずつトラックリストに追記していき、ユーザーによるプレイリストを作ることもできる。静止画やテキストの追加により、ポータブル再生機を含めて、DVD-AR対応機種の商品イメージは、ひじょうに多様なものが想定されるだろう。
(AV REVIEW編集部)
【DVD-ARの主な仕様】
●オーディオコーデック:LPCM、Packed PCM(MLP)、ほか6種類
●サンプリング周波数:48/96/192kHz、44/88/176kHzほかコーデックにより異なる
●量子化:16/20/24bit
●チャンネル数:最大6ch
●ビットレート:最大9.6Mbps