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公開日 2003/11/27 17:30
J-COM、地上波デジタルに関するセミナーを開催〜2年以内のパススルー送信も
ジュピターテレコムCEOの森泉氏 |
同社は今月17日、地上波デジタルの再送信を12月よりスタートすると発表しており、そのサービス内容を紹介するのが今回のセミナーの主な内容だ。
なお、同社では、地上波デジタルの再送信に、放送信号を変換して送信する“トランスモジュレート”方式を採用しており、同社専用のSTBを使用しないと視聴できない。
同社CEOの森泉知行氏はセミナーの冒頭、「当初は狭いエリアでの放送しか行われない地上波デジタル放送では、ケーブルテレビが果たす役割は大きい」と語り、「関東で、開始当初は12万にとどまるとみられる民放視聴可能エリアを、J-COMなどケーブルテレビ会社が微弱電波を拾って再送信することで、200万世帯にまで広げられる」とアピール。さらに、番組のデコードにはSTBを使用するため、高価な地上波デジタル対応テレビやチューナーを買う必要が無く、低コストで済む点も強調した。
また同氏は、「地上波デジタルの再送信事業だけでは、これまでのデジタル化への投資を回収できない」とし、「多チャンネル」「ビデオ・オン・デマンド」「双方向通信」「ローカルショッピング」などが行える新たなサービスを、来春から始めることを明らかにした。このサービスには松下製のほか、複数のメーカーのSTBが使われるという。
同氏はさらに、「ケーブルテレビ各社は、今までのんびりと成長してきたが、今後は通信業界から続々と参入が続き、競争が激化するのは必至。5年後、ケーブルテレビ会社は多様なサービスを行う新たな業態へと進化しているはずだ」と語り、更なるサービスの拡充を目指す方針だ。
セミナー終了後の質疑応答では、トランスモジュレートに関する質問が多く出された。NHKは2年後を目途に、トランスモジュレート方式から、専用STBを介さずに地上波デジタルが視聴できるパススルー方式への変更を要請しているが、森泉CEOは「現状、地上波デジタル対応テレビがあまり普及していないことから、当初はトランスモジュレートが最適と判断した。今後、対応テレビの普及が進み、トランスモジュレート方式がユーザーの利便性を損なうようになれば、2年後と言わずその前にでも、パススルー方式を採用する用意はある」と説明した。ただし、パススルーと平行してトランスモジュレートも同時に送信を続けるとのことだ。
以下、質疑応答の全問全答をご紹介する。
Q:STBの目標設置台数は?
A:モノが足りていないと聞いているが、なるべく多く調達したい。04年末までに10万台の普及を目指している。
Q:NHKが2年後にトランスモジュレートからパススルーへの変更を申し入れていると聞いたが。
A:弊社のトランスモジュレート方式には「64QAM」という方式を使用しているが、テレビメーカーに同方式の復調回路を採用してもらうよう働きかけている。それが難しいということであればパススルーを行うが、パススルー開始後もトランスモジュレートを平行して続けていく。トランスモジュレートでは、1世帯に2台以上テレビを置くと、STBも2台以上必要になる。これがユーザーの利便性を損なうほど地上波デジタル対応テレビが普及してくれば、2年後と言わず、すぐにでもパススルー送信を行う。
Q:C-CASのデータをマーケティングに活用するのか?
A:実は、J-COMではデータベースを活用したマーケティングをまだ行えていない。CASを使うことにより、視聴情報の入手、Tコマースの購入履歴など世帯ごとのマーケティングが可能となるので、今後力を入れていきたい。来年度予算でデータベースを構築することは決定しており、まずは既存の加入世帯のデータ整理に当たっていく。将来的には、緻密なマーケティングを通して、広告獲得もねらっていきたい。
Q:トランスモジュレートによる画質劣化は?
A:ない。
Q:当初使用する松下製のSTBには双方向機能があるのか?
A:無い。だが、デジタル放送では双方向通信機能が最も重要であると認識している。双方向機能のないSTBはダメなSTBだ。来春開始予定の新サービスでは、双方向通信機能を装備するSTBを採用する。松下以外にも複数のベンダーのSTBを採用する予定だ。
Q:12月1日から放送が開始するので、熱心なユーザーは11月中にSTBの設置を済ませたかったはずだ。なぜそれができなかったのか。また、地上波デジタルサービスに関する質問数はどの程度か。
A:センター設備の納期が11月末で、試験電波などでテストする都合上、12月スタートとなった。問い合わせの数は数百、もうすぐ1,000近くになる。
【問い合わせ先】
(株)ジュピターテレコム
フリーコール0120-999-000
(Phile-web編集部)